今日はホームセンターに来ている。
特にこれといって用事はない。ここは多種多様な工具や調理器具、ライトや乾電池に作業服、最近では水や非常食類も豊富だし、果ては家具などのインテリアやちょっとしたキャンプ用品までもあったりして、まさに天国だ。どんな工具類があるのか、実際に目で見て触って確かめて、実戦でどのように使うか、またどういったものが使いやすいかを見極めに定期的に訪れている。
籠城するならこれほど良い場所はない。ゾンビを倒すための武器から衣料品の調達、劣悪環境下でも快適に過ごせる寝具が豊富に揃っているからだ。拠点として持つのは最高の場所である。
惜しむらくは広さと出入口の多さだろうか。一人で立ち回るにはあまりにも広すぎるのだ。出入口を何ヶ所かバリケードするにしても、脱出の際にルートが取りやすいよう考えておかねばならない。だがあまり手を抜くと、どこからでも侵入できてしまう。店内は死角になる場所が多く、殲滅したかどうかが分かりにくいのも難点だ。
こうもズラリと並んだ工具を眺めていると、どんなふうに工夫して武器を作るか、それを考えてはワクワクしてしまう。ハンマーや斧、バールやモンキーレンチなど、物理的に殺傷能力の高い工具はフォルムも格好良くて惚れ惚れする。
でも僕は筋力や体力にあまり自信がない。加えて反射神経も良いとは言えない。こういう見た目が格好良くて、パワー系のものは僕には扱えないのだ。一撃を振り下ろすだけで体力をかなり消耗してしまうから、何体も倒さなければならなかったり、終わりが見えない状況下では悔しいが選べないのだ。
ではどうするか。
その質問にぴったりくる答えを探しにホームセンター巡りをしている。
何と何を組み合わせたら、より少ない力でたくさんのゾンビを倒せるか、それが重要だ。
この日本でゾンビが流行らない理由、それはやっぱり日常生活に銃がないからだと僕は思う。子供でも扱えて、当たれば致命傷を与えることができる武器が、日本にはないのだ。
せいぜい金属バットか、木刀、竹刀、弓くらいのものだろう。
日本人らしく、日本刀という手もあるが、今時きちんと手入れをしてある刀が一体どこにあるというのだろう。万一手入れがしっかりしていても、切りつけるほどにその切れ味は落ちていく。そして重い。想像以上に重いし、振り回すにしては長い。日本の古き良き侍像としてはサマになるのだが、実際には使えない代物だ。
Zガンという身を守る武器が国民に与えられているが、この銃だけにいつまでも頼っているわけにもいかないだろう。そうなるとやはり自分で作り上げるしかないのだが、今のところスマートな武器は思いついていない。
最近ではDIYとかでホームセンターの工具コーナーでも、若い人を見かけるようになったが、主流はまだまだガテン系の人たちだ。熱心に棚を眺めていると、怪訝そうな表情で筋肉ムキムキのお兄さんや、年季の入ったおじさんたちが僕を見ている。
あまりにも非力でヒョロヒョロの自分の身体がちょっと情けなくなった。