13.地下鉄の袋小路
ー/ー
今日は地下鉄に乗ってちょっと出かける。
あっちに行きたいこっちに行きたい、そうやって自分の欲望を叶え続けた結果、地上にはもうスペースがなくなってしまって地下に道を作った。多少不便になっても行く方法は無数にあるのに、より短い時間で行けることだけに重きを置いて、地面の下は穴だらけだ。
人間の欲望の強さがこの地下鉄に現れていると乗るたびに思う。そんなことを思ったって利用している時点で僕も同じ人間だが。
この地下鉄はパニック系映画の他にもギャング系やスパイ映画などでも、日常のワンシーンとして、事件のきっかけとして、すれ違っていく人間関係として、様々な使われ方をする。宇宙人同士のドンパチや、敵対勢力との抗争シーンなど、この狭い中で戦いを繰り広げることも多い。また出入口が塞がってしまい、抗争に勝っても脱出が難しかったりして、そこからサバイバルな展開になっていくことも多い。
線路からゾンビが大量に現れたとしたら、地上に出るのを少し躊躇ってしまう。地下に流れ込んでくるほど、どこかの駅にはゾンビが溢れていて壊滅的な状態だということだからだ。地上に出るまでに距離もあるし、下から上がるよりは上から来た方が攻撃にしても防御にしても有利だ。だが、ここに籠もってやり過ごすことは厳しい戦いになる。
それでもカラオケ店などと違って、この現代で交通機関として利用しないという選択肢が毛頭にない。非常時には自分の足が全ての頼りになるわけだが、日常生活がまだ続いているうちは使い続ける、そのための機関だと思う。
とすると、日常よく利用する場所として脳内シミュレーションしておかないことには、咄嗟の判断ができなくなってしまう。
まず一番最初に考えることは、最短ルートで地上へ出ることだ。ここでは食料の調達や新たな装備の調達が難しい。閉じ込められた場合、水の確保すらも怪しくなる。その時々の対処では有利になっても、長く生き延びることができないからだ。普段はエスカレーターなどを利用して移動するが、使えなくなる可能性もある。長居をすればそれだけ体力を消耗してしまうだろう。安定した電力供給も見込めない非常時の場合、電源が落ちたら真っ暗で空気も淀むはずだ。現代人の必携アイテムスマホがあれば多少の明かりを得られるだろうが、やはり留まるべきではない。
だがしかし、列車が走っている状態で非常事態に陥ったら?車両ドアを速やかに開けて脱出すること、現在地を把握していること、暗闇の中行動することが加算される。
何度シミュレーションしても、泥臭くて地味なルートしか思いつかないのが悲しいところだ。どうしたらスマートに脱出ルートを確保し、速やかに退路を開けるか。今後も考え続けなければならない。
そんな風に考えていたらすぐに車両が到着した。シミュレートでは袋小路感があるが、便利な現代に生を受けたことを大いに喜びながら、座席の上でうとうとすることを幸せに思う。
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この地下鉄はパニック系映画の他にもギャング系やスパイ映画などでも、日常のワンシーンとして、事件のきっかけとして、すれ違っていく人間関係として、様々な使われ方をする。宇宙人同士のドンパチや、敵対勢力との抗争シーンなど、この狭い中で戦いを繰り広げることも多い。また出入口が塞がってしまい、抗争に勝っても脱出が難しかったりして、そこからサバイバルな展開になっていくことも多い。
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それでもカラオケ店などと違って、この現代で交通機関として利用しないという選択肢が毛頭にない。非常時には自分の足が全ての頼りになるわけだが、日常生活がまだ続いているうちは使い続ける、そのための機関だと思う。
とすると、日常よく利用する場所として脳内シミュレーションしておかないことには、咄嗟の判断ができなくなってしまう。
まず一番最初に考えることは、最短ルートで地上へ出ることだ。ここでは食料の調達や新たな装備の調達が難しい。閉じ込められた場合、水の確保すらも怪しくなる。その時々の対処では有利になっても、長く生き延びることができないからだ。普段はエスカレーターなどを利用して移動するが、使えなくなる可能性もある。長居をすればそれだけ体力を消耗してしまうだろう。安定した電力供給も見込めない非常時の場合、電源が落ちたら真っ暗で空気も淀むはずだ。現代人の必携アイテムスマホがあれば多少の明かりを得られるだろうが、やはり留まるべきではない。
だがしかし、列車が走っている状態で非常事態に陥ったら?車両ドアを速やかに開けて脱出すること、現在地を把握していること、暗闇の中行動することが加算される。
何度シミュレーションしても、泥臭くて地味なルートしか思いつかないのが悲しいところだ。どうしたらスマートに脱出ルートを確保し、速やかに退路を開けるか。今後も考え続けなければならない。
そんな風に考えていたらすぐに車両が到着した。シミュレートでは袋小路感があるが、便利な現代に生を受けたことを大いに喜びながら、座席の上でうとうとすることを幸せに思う。