「よし、まず藤田、村上は容疑から外そう」
「何で?」
「卓球部だからだ……」
「……」
確かに藤田は時々変な奇声を上げるし、村上は鉛筆の持ち方もお箸の持ち方も卓球みたいだし、ユニフォームは浴衣だけれども……。
「安心しろ、ただの偏見だ」
一体何に安心すればいいのだろう。
(卓球部の人、ごめんさい)
恋実は心に思った。
「次に天海、横山も外そう……」
「それは?」
「最初のペアを確定させる前の段階で毒島さんの前に居た」
語る恭吾の、その眼差しは冷静沈着そのもので、傍若無人のようでもあり、苦渋の決断を強いられているようでもあった。
「……だから?」
その真意を確かめるために問うてみる。
「ブス専かなって……」
「……ついに言葉にしたな」
「……ただの価値観の違いだ」
(すみません……)
恋実はとりあえず謝罪する。
「醜名女さんの前に居た人の理由は?」
「まぁ……名前……と言っておこうかな?」
「あぁ~醜名女さん……あなたはどうして醜名女さんなの?」
恋実は窓に駆け寄ると大きく開き、天に向かって口ずさむ。
「……因みにジュリエットはその後こう続けている……『その名前をお捨てになって……バラという名前の花を別の名前にしてみても、その美しい香りは変わらない』と。
……全く同感だ。名前を変えたところで意味はない」
「どういう意味よ……」
(このまま恭吾の捜査に)『協力するべきか止めるべきかそれが問題である』恋実談。