@ 27話
ー/ー
舞羽の迷いが馬に通じたのであろう……減点8の内4は舞羽だ。飛越中に次の障害へのコース取りに不安を感じた。
幼いころからどんな馬とも心を合わせてきた舞羽の天性が、ここで悪い方に転がった。馬は敏感に舞羽の想いを感じ取った……。
「踏切の三歩手前には呼吸を合わせないと……」
馬を気持ちよく走らせるために乗り手も恐怖心を克服して、馬の邪魔をしないようにしなければいけない。馬が次の障害物を飛びやすいようコースどりを調整することや、歩幅のコントロールをしっかりすることも重要である。
「大丈夫、舞羽なら。馬の誘導も意思伝達も間違いないんだ」
一回戦の勝利が決まってホッとした瞬間であった。舞羽の顔表に一握り程の心もとなさを感じる遊馬。その要因は計り知れていない。
舞香の存在が確認されて以来、他の部員たちがそう呼んでいるように、遊馬もしだいに『舞羽』、『舞香』と呼べるようになった。
もちろん遊馬も、『天沢』から『遊馬』へと呼び名は変わっている。
「テクニック? 天沢家の伝統は馬の誘導だから?」
コースデザイナーは障害物と障害物の間の距離も考える。標準的な5歩の距離よりも少し長めだったり、あるいは短めだったり。
騎手は自分の足で歩きながらその距離を測って、ここは歩幅を小さくして6歩で行こう、とか、歩幅を大きくして4歩で行こう、などの作戦を立て、前の障害物を飛越して着地した瞬間から、歩幅のコントロールをしている。
コースを徒歩で下見しながら、障害物の形や高さを考慮してベストな踏み切り位置を確認する。作戦通りの踏み切り位置に馬を誘導するために必要なテクニックが歩幅のコントロール。
「月皇家のお家芸は意思伝達だから嫌な言い方だったかな?」
「テクニックなんて元から持ち合わせてないわ。あるのは馬との信頼関係だけ……なのに……」
舞羽も分かっている。遊馬が小手先の技術を指している訳でも、天沢家のコントロールが馬を押さえつけるようなコントロールを意味していないことも……。『迷い』までも届けられる舞羽の能力は月皇家や天沢家の血統を越えている……テクニックやスキルではない。
(ポテンシャルだ)
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幼いころからどんな馬とも心を合わせてきた舞羽の天性が、ここで悪い方に転がった。馬は敏感に舞羽の想いを感じ取った……。
「踏切の三歩手前には呼吸を合わせないと……」
馬を気持ちよく走らせるために乗り手も恐怖心を克服して、馬の邪魔をしないようにしなければいけない。馬が次の障害物を飛びやすいようコースどりを調整することや、歩幅のコントロールをしっかりすることも重要である。
「大丈夫、舞羽なら。馬の|誘導《テクニック》も|意思伝達《スキル》も間違いないんだ」
一回戦の勝利が決まってホッとした瞬間であった。舞羽の顔表に一握り程の心もとなさを感じる遊馬。その要因は計り知れていない。
舞香の存在が確認されて以来、他の部員たちがそう呼んでいるように、遊馬もしだいに『舞羽』、『舞香』と呼べるようになった。
もちろん遊馬も、『天沢』から『遊馬』へと呼び名は変わっている。
「テクニック? 天沢家の伝統は馬の|誘導《コントロール》だから?」
コースデザイナーは障害物と障害物の間の距離も考える。標準的な5歩の距離よりも少し長めだったり、あるいは短めだったり。
騎手は自分の足で歩きながらその距離を測って、ここは歩幅を小さくして6歩で行こう、とか、歩幅を大きくして4歩で行こう、などの作戦を立て、前の障害物を飛越して着地した瞬間から、歩幅のコントロールをしている。
コースを徒歩で下見しながら、障害物の形や高さを考慮してベストな踏み切り位置を確認する。作戦通りの踏み切り位置に馬を誘導するために必要なテクニックが歩幅のコントロール。
「月皇家のお家芸は|意思伝達《コミュニケーション》だから嫌な言い方だったかな?」
「|テクニック《技術》なんて元から持ち合わせてないわ。あるのは馬との信頼関係だけ……なのに……」
舞羽も分かっている。遊馬が小手先の技術を指している訳でも、天沢家のコントロールが馬を押さえつけるような|コントロール《制御》を意味していないことも……。『迷い』までも届けられる舞羽の能力は月皇家や天沢家の血統を越えている……テクニックやスキルではない。
(ポテンシャルだ)