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@ 27話

ー/ー





 小夜香の言葉にクラスの端に居る香月を見る雪花、側には勉己もいる。逆立ちしたように一気に血が上り、口をすぼませ目を伏せる。自身の血潮がこんなにも熱いなんて知らなかった。火照った顔は恥ずかしさを自覚させる。


 


「香月くんのこと考えたら、興奮してきちゃった?」


 雪花を観察するように小夜香が言葉にする。その顔はやけに楽しそうだ。


 


「べ、別にそんなんじゃ……」


 否定すればするほど頭の血は冷めていかない。その反応に満足したのか小夜香が言葉を繋ぐ。


 今度はほんのりと小夜香の血色がいい。想いを噛みしめるようにしてゆっくりと顔に集まった赤は小夜香の肌を桜色に染める。


 


「私、勝人くんに会いたいな……」


「どうしたの突然?!」


「勉己くん、勝人くんの幼馴染って言ってたよね? 1人じゃ心細いから雪花も付き合ってくれないかな?」


「どういうこと?」


 


 そう言うと小夜香は香月と勉己の机に行くと、何やら2、3会話をした後、小さく手を振って戻ってきた。


 


「今度の日曜、勉己くんが、勝人くんを期末テスト勉強に誘ってくれるって」


「で? 私もそれに行くの?」


「香月くんも来るってよ」


「それはどうでも良いわよ」


「でも……」


「でも?」


「勝人くんが勉強会に来るには、優理くんと同じ学校に居る『原学佳ちゃん』って子がいた方が良いって……」


「ライバルね?」


「あっさり言うわね……んで、その学佳ちゃんを呼ぶためには、学佳ちゃんが中学校の頃から好きだったバスケ部の人がその高校に居るはずなんだって」


「…………」


「それを聞くには優理くんに聞くしかなくて、優理くんは幼馴染の綾美ちゃんが頼めば聞いてくれるんじゃないかって」


「……複雑ね……」


「雪花、応援してね!」


 小夜香が雪花を上目遣いで見つめる。笑い話のようになっているが、真剣な小夜香の目を見て雪花は、可愛くって『NO』とは言えない。


 


「うん……いいよ」


「やった! 私も香月くんと雪花が上手くいくよう応援するからね!」


 


 小夜香が座ったまま飛び跳ねるようにして膝を机にぶつけて喜ぶ。その衝撃で跳ねた弁当箱から、ウズラの卵が隣の席で食べていた男子の股間に乗っかった。それを見た他の男子が囃し立てる。


 


「お前、それ金玉じゃん!」


 小夜香はその言葉に『動チン』を思い出していた。


 


◆◇◆◇


 


 他方、北藤高校では勝人と横チンら5人が昼休みの部室で弁当を囲んでいた。


「へ、へ、へックッション、オラァー」


 


 強烈なくしゃみと共に口に頬張っていたご飯粒を、勝人が散弾銃のように発射させていた。


 


「おわっ!」「汚ねえー」「マジかっっ」「ちょっ、カッちゃ……動チン!」


「……誰か噂してんな……?」


 


 冬の寒さを切り裂くダイナミックでおっさん臭いくしゃみと共に(つぶて)となったご飯粒たちがそれぞれの弁当の中に突き刺さっていた。


 


 こうして勉己、香月、雪花、小夜香、勝人、学佳、優理、大晴の勉強会が行われることとなった。




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 小夜香の言葉にクラスの端に居る香月を見る雪花、側には勉己もいる。逆立ちしたように一気に血が上り、口をすぼませ目を伏せる。自身の血潮がこんなにも熱いなんて知らなかった。火照った顔は恥ずかしさを自覚させる。
「香月くんのこと考えたら、興奮してきちゃった?」
 雪花を観察するように小夜香が言葉にする。その顔はやけに楽しそうだ。
「べ、別にそんなんじゃ……」
 否定すればするほど頭の血は冷めていかない。その反応に満足したのか小夜香が言葉を繋ぐ。
 今度はほんのりと小夜香の血色がいい。想いを噛みしめるようにしてゆっくりと顔に集まった赤は小夜香の肌を桜色に染める。
「私、勝人くんに会いたいな……」
「どうしたの突然?!」
「勉己くん、勝人くんの幼馴染って言ってたよね? 1人じゃ心細いから雪花も付き合ってくれないかな?」
「どういうこと?」
 そう言うと小夜香は香月と勉己の机に行くと、何やら2、3会話をした後、小さく手を振って戻ってきた。
「今度の日曜、勉己くんが、勝人くんを期末テスト勉強に誘ってくれるって」
「で? 私もそれに行くの?」
「香月くんも来るってよ」
「それはどうでも良いわよ」
「でも……」
「でも?」
「勝人くんが勉強会に来るには、優理くんと同じ学校に居る『原学佳ちゃん』って子がいた方が良いって……」
「ライバルね?」
「あっさり言うわね……んで、その学佳ちゃんを呼ぶためには、学佳ちゃんが中学校の頃から好きだったバスケ部の人がその高校に居るはずなんだって」
「…………」
「それを聞くには優理くんに聞くしかなくて、優理くんは幼馴染の綾美ちゃんが頼めば聞いてくれるんじゃないかって」
「……複雑ね……」
「雪花、応援してね!」
 小夜香が雪花を上目遣いで見つめる。笑い話のようになっているが、真剣な小夜香の目を見て雪花は、可愛くって『NO』とは言えない。
「うん……いいよ」
「やった! 私も香月くんと雪花が上手くいくよう応援するからね!」
 小夜香が座ったまま飛び跳ねるようにして膝を机にぶつけて喜ぶ。その衝撃で跳ねた弁当箱から、ウズラの卵が隣の席で食べていた男子の股間に乗っかった。それを見た他の男子が囃し立てる。
「お前、それ金玉じゃん!」
 小夜香はその言葉に『動チン』を思い出していた。
◆◇◆◇
 他方、北藤高校では勝人と横チンら5人が昼休みの部室で弁当を囲んでいた。
「へ、へ、へックッション、オラァー」
 強烈なくしゃみと共に口に頬張っていたご飯粒を、勝人が散弾銃のように発射させていた。
「おわっ!」「汚ねえー」「マジかっっ」「ちょっ、カッちゃ……動チン!」
「……誰か噂してんな……?」
 冬の寒さを切り裂くダイナミックでおっさん臭いくしゃみと共に|礫《つぶて》となったご飯粒たちがそれぞれの弁当の中に突き刺さっていた。
 こうして勉己、香月、雪花、小夜香、勝人、学佳、優理、大晴の勉強会が行われることとなった。