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@ 14話 だってよ

ー/ー





「お宅さんには、ストーンを真ん中に投げ入れることは無理なんじゃないかな?! 多分」


 その声は立ち上がったおじさんを制した。発信源は勝人の後ろからだった。


 


「優ちゃん!」


 勝人が振り向くよりも早く綾美が声を上げる。そこにはおじさん似の男が1人立っていた。


 


「ごめん、父さん、今日は彼を連れてこれなかった」


「まぁ仕方ないさ。そのうちまたスポーツトレーナーから連絡が入るだろうさ、焦ることはない」


「入部したらほいほいと来られるわけじゃないけど、まぁ、また誘ってみるよ」


「今日は体験申し込み者がいたから、見てもらうにはちょうど良かったんだけどなぁ、残念……ほら多分ちょうど来た」


 おじさんが顎で入口の方を示す。


 


「チャースッ」


「こんにちは……あれ? まーくん?」


「勉己?!」


 そこには香月と勉己と女子2人の姿が在る。


 


「体験希望者は1人って聞いてるけど?」


「あ、俺っス。他は見学で……ダメっすか?」


「あたしは香月くんがなんでカーリングやるのか分からないけど、追っかけで見に来ちゃいました、ね、カッちゃん?!」


「カッちゃん?!」


 突然の紹介で、勉己の血流が一気に顔に集まった……。小夜香のこの言葉には、呼ばれた勉己以外にも香月、勝人も驚いて小夜香を見た。


 


「だって香月くんは『かつき』って呼べって……だから勉己くんは『カッちゃん』しかないでしょ? 香月くんの言ってた『キヨカツ』って恐喝みたいで嫌だし」


 小夜香は人の懐に飛び込むのが早いようだ。


 


「うんちくんとべんきくん……」


 そう雪花が呟いたのを小夜香と勉己は聞き逃さなかった。勉己はあの時の会話を雪花が聞いていたことを悟る。小夜香は勉己に小さくごめんのポーズを送ると、話を戻しにかかる。


 


「……で、この子はあたしが無理やり付き合わせました、晴美雪花って言います。あ、あたしは御堂小夜香です。御迷惑ですか?」


「あ、あの国立(いわお)選手ですよね……オリンピック選手の……晴美雪花と申します、あ、あのすみません……」


 雪花が躊躇うように挨拶する。


 


(オリンピック選手だと?)


 勝人がその言葉に反応したことに気付いたのは横チンだけかもしれない。


 


「いや、大歓迎。ぜひみんなカーリングがどんなものか見ていってください。それともう選手ではないよ……」


 


「ちょっと待った。話しがどんどん進んで行っているみたいだけど、さっき息子さんが言ってた『君にはできない』発言に俺は納得していないんだけどな」


 勝人が空気をぶち壊す。


 


「カーリングを舐めるなってことだろ?!」


「俺にできないスポーツは無え!」


「話は分かんねーけど、面白い、やってみろよ」


「……だってよ」


 勝人の啖呵に応えたのは香月。優理は無表情に父親を見ながら、大袈裟に困ったジェスチャーをひけらかす。


 


「優ちゃん、止めなよ」


 まるで他人事のような優理の態度に綾美が釘を刺した。


 


「では、カーリングがどれほどのものか、自信のある彼のプレイを見せて頂くとするか」


 磐の一言が決めた。




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「お宅さんには、ストーンを真ん中に投げ入れることは無理なんじゃないかな?! 多分」
 その声は立ち上がったおじさんを制した。発信源は勝人の後ろからだった。
「優ちゃん!」
 勝人が振り向くよりも早く綾美が声を上げる。そこにはおじさん似の男が1人立っていた。
「ごめん、父さん、今日は彼を連れてこれなかった」
「まぁ仕方ないさ。そのうちまたスポーツトレーナーから連絡が入るだろうさ、焦ることはない」
「入部したらほいほいと来られるわけじゃないけど、まぁ、また誘ってみるよ」
「今日は体験申し込み者がいたから、見てもらうにはちょうど良かったんだけどなぁ、残念……ほら多分ちょうど来た」
 おじさんが顎で入口の方を示す。
「チャースッ」
「こんにちは……あれ? まーくん?」
「勉己?!」
 そこには香月と勉己と女子2人の姿が在る。
「体験希望者は1人って聞いてるけど?」
「あ、俺っス。他は見学で……ダメっすか?」
「あたしは香月くんがなんでカーリングやるのか分からないけど、追っかけで見に来ちゃいました、ね、カッちゃん?!」
「カッちゃん?!」
 突然の紹介で、勉己の血流が一気に顔に集まった……。小夜香のこの言葉には、呼ばれた勉己以外にも香月、勝人も驚いて小夜香を見た。
「だって香月くんは『かつき』って呼べって……だから勉己くんは『カッちゃん』しかないでしょ? 香月くんの言ってた『キヨカツ』って恐喝みたいで嫌だし」
 小夜香は人の懐に飛び込むのが早いようだ。
「うんちくんとべんきくん……」
 そう雪花が呟いたのを小夜香と勉己は聞き逃さなかった。勉己はあの時の会話を雪花が聞いていたことを悟る。小夜香は勉己に小さくごめんのポーズを送ると、話を戻しにかかる。
「……で、この子はあたしが無理やり付き合わせました、晴美雪花って言います。あ、あたしは御堂小夜香です。御迷惑ですか?」
「あ、あの国立|磐《いわお》選手ですよね……オリンピック選手の……晴美雪花と申します、あ、あのすみません……」
 雪花が躊躇うように挨拶する。
(オリンピック選手だと?)
 勝人がその言葉に反応したことに気付いたのは横チンだけかもしれない。
「いや、大歓迎。ぜひみんなカーリングがどんなものか見ていってください。それともう選手ではないよ……」
「ちょっと待った。話しがどんどん進んで行っているみたいだけど、さっき息子さんが言ってた『君にはできない』発言に俺は納得していないんだけどな」
 勝人が空気をぶち壊す。
「カーリングを舐めるなってことだろ?!」
「俺にできないスポーツは無え!」
「話は分かんねーけど、面白い、やってみろよ」
「……だってよ」
 勝人の啖呵に応えたのは香月。優理は無表情に父親を見ながら、大袈裟に困ったジェスチャーをひけらかす。
「優ちゃん、止めなよ」
 まるで他人事のような優理の態度に綾美が釘を刺した。
「では、カーリングがどれほどのものか、自信のある彼のプレイを見せて頂くとするか」
 磐の一言が決めた。