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@ 12話 カーリングホール

ー/ー





「『ね、君、俺とデートしない』の間違いだろ?」


「いや、セリフはあってるよ」


「じゃなんで、その女の方を向いて言ってるんだ?」


「そうよ、なんで私の方(こっち)、向いて言うのよ?!」


 確かに優理は学佳をまっすぐ見つめていた。


 


「失敬、失敬……」


 優理は大晴へと向き直る。それと同時に学佳は握られていた手を振り払う。


 


「ゴホンッ! では改めて……冴棋大晴くん……?」


 名前の確認を込めて周囲を見回す。目が合った一人が頷いた。それを見て大晴が軽くため息を一つ。


 


「俺とカーリングやろうじゃないか!?」


「ったく……変な空気にしやがって……なんて答えるのが正解なんだ?」


「俺だって周りが変に注目するから、ボケただけだ」


 


「巻き込まれた私はどうしたらいいの?」


「いいじゃないか、クラスの男子に人気があるのが分かったんだから」


「……ありがと」


 優理がそう言ったのなら、大晴と目を合せたのち学佳は素っ気なく礼を言ってその場を去る。その行動を観察するように目で追っていた優理。そこにまた妙な間が空いた。


 


「この流れですんなり素直に受け入れたら、俺ってすごくモブだよな?」


「……いや? ……多分君はクラス⦅男子⦆の憎まれ役だよ」


「どういうことだよ」


「分からないのか? 鈍チンだな……」


 


◇◆北藤高等学校入学式◇◆


 


(学佳……今頃どうしてるかな……)


 本当なら勝人も学佳と同じ入学式に参加しているはずだった……その無念の思いがめでたいはずの入学式を憂鬱にさせている。


 


「みんな同じクラスなんてできすぎてるな、まーくん」


「まーくんはやめろ」


 自然科学研究部のときから、横チンら四銃士も勝人のことを勉己に倣い『まーくん』と呼んだ。現在、全員揃って同じ高校へと進学していた。


 


「じゃ、昔のようにカッちゃんにするか」


「それがいい」「まーくんって違和感あったしな」


 そんな外野の声は通り抜けていくだけで、勝人は大きくため息を一つ吐いた。ふと外の大きな建物に気付く。今までこの高校に興味がなかったから気に留まってなかったようだ。


 


「あれは高校(ここ)の体育館か? 高校の外にあるようにも見えるけど……みんな後で行ってみないか?」


「あ、あれね、あれはカーリング専用の体育館だって言ってたよ。高校の外だから帰り覗いてみる?」


「な、な、あの子かわいくね?」


 そう言い出したのは前チン。


 


「僕もそう思ってた」


 激しく同意したのは、はみチン。


 


岩戸 綾美(いわと あやみ)ちゃんだって、名前。」


 横チン以外は勝人の問いに答えなかった。他のチンたちは、クラスの一人の女子に夢中だった。ふとその彼女がチンたちの方へ顔を向けた。


 


「こっち見た」「いや、俺を見た」「僕でしょ」


 チンたちが騒ぎ出す。『岩戸綾美』とフルネームを出したのだから、その方向に彼女が顔を向けたのは普通のことだ。彼女は愛らしく微笑んだのち元の話の輪に戻ったようだ。


 そして帰りのホームルームが終わったときに事件は起きた。


 


「ねー、一緒に帰らない?!」


 そう言ってきたのは綾美、誘われたのは勝人と横チンだった。




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「『ね、君、俺とデートしない』の間違いだろ?」
「いや、セリフはあってるよ」
「じゃなんで、その女の方を向いて言ってるんだ?」
「そうよ、なんで|私の方《こっち》、向いて言うのよ?!」
 確かに優理は学佳をまっすぐ見つめていた。
「失敬、失敬……」
 優理は大晴へと向き直る。それと同時に学佳は握られていた手を振り払う。
「ゴホンッ! では改めて……冴棋大晴くん……?」
 名前の確認を込めて周囲を見回す。目が合った一人が頷いた。それを見て大晴が軽くため息を一つ。
「俺とカーリングやろうじゃないか!?」
「ったく……変な空気にしやがって……なんて答えるのが正解なんだ?」
「俺だって周りが変に注目するから、ボケただけだ」
「巻き込まれた私はどうしたらいいの?」
「いいじゃないか、クラスの男子に人気があるのが分かったんだから」
「……ありがと」
 優理がそう言ったのなら、大晴と目を合せたのち学佳は素っ気なく礼を言ってその場を去る。その行動を観察するように目で追っていた優理。そこにまた妙な間が空いた。
「この流れですんなり素直に受け入れたら、俺ってすごくモブだよな?」
「……いや? ……多分君はクラス⦅男子⦆の憎まれ役だよ」
「どういうことだよ」
「分からないのか? 鈍チンだな……」
◇◆北藤高等学校入学式◇◆
(学佳……今頃どうしてるかな……)
 本当なら勝人も学佳と同じ入学式に参加しているはずだった……その無念の思いがめでたいはずの入学式を憂鬱にさせている。
「みんな同じクラスなんてできすぎてるな、まーくん」
「まーくんはやめろ」
 自然科学研究部のときから、横チンら四銃士も勝人のことを勉己に倣い『まーくん』と呼んだ。現在、全員揃って同じ高校へと進学していた。
「じゃ、昔のようにカッちゃんにするか」
「それがいい」「まーくんって違和感あったしな」
 そんな外野の声は通り抜けていくだけで、勝人は大きくため息を一つ吐いた。ふと外の大きな建物に気付く。今までこの高校に興味がなかったから気に留まってなかったようだ。
「あれは|高校《ここ》の体育館か? 高校の外にあるようにも見えるけど……みんな後で行ってみないか?」
「あ、あれね、あれはカーリング専用の体育館だって言ってたよ。高校の外だから帰り覗いてみる?」
「な、な、あの子かわいくね?」
 そう言い出したのは前チン。
「僕もそう思ってた」
 激しく同意したのは、はみチン。
「|岩戸 綾美《いわと あやみ》ちゃんだって、名前。」
 横チン以外は勝人の問いに答えなかった。他のチンたちは、クラスの一人の女子に夢中だった。ふとその彼女がチンたちの方へ顔を向けた。
「こっち見た」「いや、俺を見た」「僕でしょ」
 チンたちが騒ぎ出す。『岩戸綾美』とフルネームを出したのだから、その方向に彼女が顔を向けたのは普通のことだ。彼女は愛らしく微笑んだのち元の話の輪に戻ったようだ。
 そして帰りのホームルームが終わったときに事件は起きた。
「ねー、一緒に帰らない?!」
 そう言ってきたのは綾美、誘われたのは勝人と横チンだった。