高校生活は中学校の延長になってしまうはずであった。『一緒にお昼食べよう』って言いたいだけなのに……すでに出来上がったグループの輪に入っていけない。
体育祭で活躍できるわけでもなく、文化祭で弾けるわけでもない。部活ではそれぞれ結果を残す人たちを見て羨み、大学目差して勉強に励む真剣な眼差しに呑まれ、カップルたちの楽しそうな顔に孤独を感じる。
恋に憧れていた僕は告白してあっさり振られた。暖空には千晶がいる。暖空が千晶を見る目は特別だ……。憧れの人はもちろん、特別な人も僕には手の届くことのない存在だと諦めた。
そんな気持ちだから振られて当然だ。
「僕と付き合ってください」
「ごめんなさい……私、明るい人が好きなの」
そのとき気付けたことがある。コブ付きの急斜面を滑り降りる度胸があるのに名乗り出る勇気は出ない。告白する図々しさはあるのに、一緒にご飯を食べようと言える意気地がない。
それらは僕が勝手に決めた線引きだった。多分自分の都合のいい何らかの理由を付けて、都合のいいチョイスをしていたにすぎない。
その日から僕は一生懸命笑顔を作った。そして状況は少しずつ好転した。一緒にご飯を食べる輪に入れるようになった。笑顔には、その力があった。それを知った。
僕らしいと思った……彼女ができて明るく変わるのではなく、一番好きな女の子でもない人の言葉でも『変わろう』と思うことができるなんて。
心が変われば行動が変わる、行動が変われば習慣が変わる、習慣が変われば人格が変わる、人格が変われば運命が変わる……
人格は変わらないようだけど、『楽しさ』が勝るようになってきた。そしてそれは技術にも表れる……練習での結果が伴ってきた。
――運命が変わるかもしれない! 僕は確かにそう思った。