バックカントリーは整地されていないため、スキーやスノーボードなどでは、見えない起伏、ツリーホール、雪崩等の危険や、スキー場管轄外なので基本事故などあっても自己責任である。
下山ルートは分かっている、僕は斜面を滑走していく……林間部を抜ければ勾配はキツくなるが一気に視界は開ける。
ザッ ザッ っとパラレルターンを決めて木の間をすり抜けて行く。
最後の木の間を抜けたと思った瞬間、僕には見えていなかった何かにスキーを引っ掛け転倒した。
「あっ!!」
新雪にざっくりとはまってしまった僕は、深い雪に溺れるように独りもがく。新雪は起き上がろうとする僕の身体を支えてはくれず、ストックも利かない。
フカフカの新雪は空気をたくさん含んでおり、降った直後であれば、『90%が空気で雪結晶は10%程度』とも言われる。窒息死する事故も多い。
「クソッ」
底なし沼のようにもがけばもがくほど沈んでいく身体。暴れた分だけ雪は深く潜る。顔に雪が掛かる、大きく吸い込もうとすればするほど雪を吸い込んでしまう……苦しい……。雪が舞い落ちてくる。空は青く晴れているのに……雪が僕を隠そうとするかのように降り始めた。