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3.縄に惑う

ー/ー



 (みどり)で仲良くなった縄好きの歳上女性ユリさんから、別の場所の縄会に行ってみない?と誘われた。
 ユリさんはSMバーや縄会だけじゃなくハプニングバーなんかでも遊んでいる奔放な人。
 開催がハプバーとかではなくて、他のSMバーだと、いう事でそれなら問題ないかと了承した。その日は(みどり)のやってない日というのも後押しをした。
 
 初めての場所に緊張しながら、会場に入る。主催者の挨拶から始まった会は、次に自己紹介の時間になった。まず初めての方から挨拶と言われて、私は挨拶をする。
 
「初めましてユキです。受け手で、まだ最近縄を受け出したばかりの初心者です。よろしくお願いします」拍手がおこって一礼すると、座って次を聞く姿勢になる。
 
「はじめまして、キョウスケと言います。最近転勤でこちらに引越してきました。縄は3年ほどやってます。よろしくお願いします」少し歳上らしい、爽やかなイケメン男、竜さんよりは若そう。三年か、縄の方はどうだろう?などと品定めしていると、次々と簡単な挨拶が続いていく。とても名前はおばえきれない。
 
 会が始まると早速ユリさんはキョウスケさんにロックオンしたのか話しかけていく。
 
 私は主催者のSMバーのオーナーさんに話しかけられていた。
 ザ・サディスト的な支配する側の凄いオーラを感じるかなり歳上の主催者さんと話していると、縄をお願いする流れになる。
 
 自然に醸し出されるS男性のオーラが凄い責め縄だった。従いたいM女さんの琴線には刺さるんだろうなと思いながら縄を受けている。
 気持ちよくはなるけれど、我を忘れるほどではない。自分は縄好きなだけでM女ではないんだろうな、などと考える余裕があった。。言葉責めもすごくピンポイントに使われると嵌る時もあるけど、畳み込むように使われると、私にとっては縄を楽しむ事に対するノイズになってしまう。
 とはいえ、ベテランの縄をそれなりに楽しんだ。そしてそれなりに気持ちよくなって、縄を解かれた。
 
 縄が終わってお礼を言う。縄を片付ける手伝いをしていいか断ってから、縄を一本ずつ選り分けて、まとめやすいように渡す。(みどり)で覚えた縄の後のお作法は、ここでも問題ないらしい。
 
 縄を終わって席に戻ると、いつの間にかユリさんが、キョウスケさんに縛られていた。
 見た事のない縄筋(縄の縛るルート、型のこと)、(みどり)では見たことがない縛り方、でも戸惑っている風もなく自然に縛っているのが様になっている縄、上手だなと思った。
 
 暫くして、新しい場所の皆さんと会話をしていると、戻ってきたキョウスケさんが話しかけてきた。
 
「こんにちは、隣いいですか?」
 
「はい、どうぞ」
 
 と挨拶をして話始める。どんな縄が好きかとか、縄を始めるきっかけとか、たわいもない話を二人で和やかに進めたあと、「よかったら私の縄も受けてみませんか?」と誘われた。
 
「私で、よかったらよろしくお願いします」と、返事して、二人で縄床(縄遊びをする為に会場に準備されているスペース)に移動する。
 
 キョウスケさんの縄はやはり上手だった。(みどり)で縛ってもらった縄歴3年の人とはだいぶ違ってしっかりした縄、多分たくさん縛る人が居たんだろうな、そんな風に思った。縄で気持ちよくするというより、触れるのが上手い。おそらく縄がなくても女性経験が豊富なんだろうなという触れ方をして来る。
 
「あん……」恥ずかしい声が出る。
 
 知っている人が殆どいない所で、喘いでしまっているのが、少し気恥ずかしい。
 
 まるで前戯されたような縄が終わって、二人きりならこのままもっと欲しいって思っちゃうなと、ボンヤリ考えていた。
 
「どうだった?」と声がかかって、急に現実に戻る。
 
「よかったです、ありがとうございました」と慌てて返事を返す。そこで、縄床を待ってるペアがいるのに気づいて慌てて自席に戻る。
 
 隣のユリさんが話しかけてくる。
 
「彼の縄どうだった?」
 
「んー、気持ちは……良かったよ」と答える。何だろう、いつもの縄と随分違うなぁと思った。先生や竜さんの縄と違うなぁと。いつもは先生と竜さんの縄まったく違うって思ってたのに、今日の縄と比べると、どうしてだか、同じような縄に思える。ボンヤリ思考の中に入っていく。
 
「何か納得いかない感じ?私は良かったわよ。
 正直このまま二人で抜け出したくなったわ。いい男よね彼。彼女とか居るのかしら…」
 
「モテそうだもんね。聞いてみたら?」とユリさんに言ってみる。
 
 その後、キョウスケさんが近くに座って来て話している中で、ユリさんが彼女について聞いてみたが、引越して来たばかりだから、今はいないとの事だった。ユリさんはあきらかに獲物を見る目になって、話している中で、終わった後数人で、飲みにいく話で盛り上がっている。ユリさんに誘われて私も一緒に付き合う事になっていた。
 
 あまり飲み会は得意でない私は隅で、一人杯を進めていた。お酒は好きなんだけど、ワイワイするのは苦手。などと考えていると、ユリさんをかわしてキョウスケさんが隣に座って来た、
 
「こういう場は苦手だった?」と聞いてくる。
 
「そうですね、お酒は好きなんですけど、賑やかすぎるのは得意ではなくて……」と返事をすると彼はスッと顔を耳元に寄せて来て小声で言った。
 
「早めに解散して、良かったら2人で飲みなおしませんか?」
 
 私は小さく頷いていた。ドキドキした気持ちを、お酒で流し込みながら、飲み会のお開きを待つ。
 
 二軒目に向かう人達と別れて、駅に向かう風に離れていく。さりげなくキョウスケさんがそばを歩いていた。
 
「どこにいきましょうか?」と尋ねて様子を伺う。
 
「良かったら、二人きりで今日の縄の続きをしてみませんか?」と踏み込んだ誘いをかけてくる。
 
 確かに前戯っぽい縄だったから、その先、おそらく縄だけでは終わらない縄なんじゃないかなという気がする。
 正直、少なくとも外見は文句ないイケメンではあるし、縄はちゃんと上手いし、付き合う選択肢がない相手ではない。でも縄だけで満足できる縄じゃない気もして、かまをかけてみる。
 
「縄の続きって、縄だけで終わりますか?」と尋ねる。
 
「貴女が望むなら縄だけでなく、最後まででも良いですよ」とニコッと魅力的な笑みを見せた。
 
 ここで先生と抄妓(しょうこ)さんに口を酸っぱく言われた事を思い出して、咄嗟に断りを入れていた。
 
「二人とも今日はお酒飲んでるから、縄はやめておきましょう。良かったら明後日の祭日に私のよく行ってるお店の縄会があるので、そこにご一緒しませんか?今日はこの近くに私がよく行くショットバーがあるので、もう少しお酒をどうですか?」そう、飲みにさそってみる。
 
「わかりました、今日は飲みましょう。案内お願いします」
 
 そのまま二人でカウンターバーに行って、乾杯する。
 やはり女性に慣れてる感じ、会話は楽しいし、さりげなく好意を見せてくれる。
 気持ちよく酔っ払って、別れ際に、抱きしめられた時に、振り解く気にも慣れず抱き返す。久々に感じる男の香り。縄のときのハグとは違う、男と女のハグ。
 キョウスケさんが顔を寄せてくる。まぁ、もう小娘でもないし、キスくらいは良いかなと、唇を許してしまう。
 
 少し長い久しぶりの口付け。酒の火照りかキスの火照りかわからない顔を赤らめながら、縄会での再会を約束して、別れた。
 
「縄じゃなくストレートにホテルに誘われたら……断れたかな?ずいぶん、ご無沙汰だったしなぁ……とか。んん、まぁ、次に会う約束もしたんだし、縄会ではあの朴念仁に見せつけてやるんだから……」
 


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 |翠《みどり》で仲良くなった縄好きの歳上女性ユリさんから、別の場所の縄会に行ってみない?と誘われた。
 ユリさんはSMバーや縄会だけじゃなくハプニングバーなんかでも遊んでいる奔放な人。
 開催がハプバーとかではなくて、他のSMバーだと、いう事でそれなら問題ないかと了承した。その日は|翠《みどり》のやってない日というのも後押しをした。
 初めての場所に緊張しながら、会場に入る。主催者の挨拶から始まった会は、次に自己紹介の時間になった。まず初めての方から挨拶と言われて、私は挨拶をする。
「初めましてユキです。受け手で、まだ最近縄を受け出したばかりの初心者です。よろしくお願いします」拍手がおこって一礼すると、座って次を聞く姿勢になる。
「はじめまして、キョウスケと言います。最近転勤でこちらに引越してきました。縄は3年ほどやってます。よろしくお願いします」少し歳上らしい、爽やかなイケメン男、竜さんよりは若そう。三年か、縄の方はどうだろう?などと品定めしていると、次々と簡単な挨拶が続いていく。とても名前はおばえきれない。
 会が始まると早速ユリさんはキョウスケさんにロックオンしたのか話しかけていく。
 私は主催者のSMバーのオーナーさんに話しかけられていた。
 ザ・サディスト的な支配する側の凄いオーラを感じるかなり歳上の主催者さんと話していると、縄をお願いする流れになる。
 自然に醸し出されるS男性のオーラが凄い責め縄だった。従いたいM女さんの琴線には刺さるんだろうなと思いながら縄を受けている。
 気持ちよくはなるけれど、我を忘れるほどではない。自分は縄好きなだけでM女ではないんだろうな、などと考える余裕があった。。言葉責めもすごくピンポイントに使われると嵌る時もあるけど、畳み込むように使われると、私にとっては縄を楽しむ事に対するノイズになってしまう。
 とはいえ、ベテランの縄をそれなりに楽しんだ。そしてそれなりに気持ちよくなって、縄を解かれた。
 縄が終わってお礼を言う。縄を片付ける手伝いをしていいか断ってから、縄を一本ずつ選り分けて、まとめやすいように渡す。|翠《みどり》で覚えた縄の後のお作法は、ここでも問題ないらしい。
 縄を終わって席に戻ると、いつの間にかユリさんが、キョウスケさんに縛られていた。
 見た事のない縄筋(縄の縛るルート、型のこと)、|翠《みどり》では見たことがない縛り方、でも戸惑っている風もなく自然に縛っているのが様になっている縄、上手だなと思った。
 暫くして、新しい場所の皆さんと会話をしていると、戻ってきたキョウスケさんが話しかけてきた。
「こんにちは、隣いいですか?」
「はい、どうぞ」
 と挨拶をして話始める。どんな縄が好きかとか、縄を始めるきっかけとか、たわいもない話を二人で和やかに進めたあと、「よかったら私の縄も受けてみませんか?」と誘われた。
「私で、よかったらよろしくお願いします」と、返事して、二人で縄床(縄遊びをする為に会場に準備されているスペース)に移動する。
 キョウスケさんの縄はやはり上手だった。|翠《みどり》で縛ってもらった縄歴3年の人とはだいぶ違ってしっかりした縄、多分たくさん縛る人が居たんだろうな、そんな風に思った。縄で気持ちよくするというより、触れるのが上手い。おそらく縄がなくても女性経験が豊富なんだろうなという触れ方をして来る。
「あん……」恥ずかしい声が出る。
 知っている人が殆どいない所で、喘いでしまっているのが、少し気恥ずかしい。
 まるで前戯されたような縄が終わって、二人きりならこのままもっと欲しいって思っちゃうなと、ボンヤリ考えていた。
「どうだった?」と声がかかって、急に現実に戻る。
「よかったです、ありがとうございました」と慌てて返事を返す。そこで、縄床を待ってるペアがいるのに気づいて慌てて自席に戻る。
 隣のユリさんが話しかけてくる。
「彼の縄どうだった?」
「んー、気持ちは……良かったよ」と答える。何だろう、いつもの縄と随分違うなぁと思った。先生や竜さんの縄と違うなぁと。いつもは先生と竜さんの縄まったく違うって思ってたのに、今日の縄と比べると、どうしてだか、同じような縄に思える。ボンヤリ思考の中に入っていく。
「何か納得いかない感じ?私は良かったわよ。
 正直このまま二人で抜け出したくなったわ。いい男よね彼。彼女とか居るのかしら…」
「モテそうだもんね。聞いてみたら?」とユリさんに言ってみる。
 その後、キョウスケさんが近くに座って来て話している中で、ユリさんが彼女について聞いてみたが、引越して来たばかりだから、今はいないとの事だった。ユリさんはあきらかに獲物を見る目になって、話している中で、終わった後数人で、飲みにいく話で盛り上がっている。ユリさんに誘われて私も一緒に付き合う事になっていた。
 あまり飲み会は得意でない私は隅で、一人杯を進めていた。お酒は好きなんだけど、ワイワイするのは苦手。などと考えていると、ユリさんをかわしてキョウスケさんが隣に座って来た、
「こういう場は苦手だった?」と聞いてくる。
「そうですね、お酒は好きなんですけど、賑やかすぎるのは得意ではなくて……」と返事をすると彼はスッと顔を耳元に寄せて来て小声で言った。
「早めに解散して、良かったら2人で飲みなおしませんか?」
 私は小さく頷いていた。ドキドキした気持ちを、お酒で流し込みながら、飲み会のお開きを待つ。
 二軒目に向かう人達と別れて、駅に向かう風に離れていく。さりげなくキョウスケさんがそばを歩いていた。
「どこにいきましょうか?」と尋ねて様子を伺う。
「良かったら、二人きりで今日の縄の続きをしてみませんか?」と踏み込んだ誘いをかけてくる。
 確かに前戯っぽい縄だったから、その先、おそらく縄だけでは終わらない縄なんじゃないかなという気がする。
 正直、少なくとも外見は文句ないイケメンではあるし、縄はちゃんと上手いし、付き合う選択肢がない相手ではない。でも縄だけで満足できる縄じゃない気もして、かまをかけてみる。
「縄の続きって、縄だけで終わりますか?」と尋ねる。
「貴女が望むなら縄だけでなく、最後まででも良いですよ」とニコッと魅力的な笑みを見せた。
 ここで先生と|抄妓《しょうこ》さんに口を酸っぱく言われた事を思い出して、咄嗟に断りを入れていた。
「二人とも今日はお酒飲んでるから、縄はやめておきましょう。良かったら明後日の祭日に私のよく行ってるお店の縄会があるので、そこにご一緒しませんか?今日はこの近くに私がよく行くショットバーがあるので、もう少しお酒をどうですか?」そう、飲みにさそってみる。
「わかりました、今日は飲みましょう。案内お願いします」
 そのまま二人でカウンターバーに行って、乾杯する。
 やはり女性に慣れてる感じ、会話は楽しいし、さりげなく好意を見せてくれる。
 気持ちよく酔っ払って、別れ際に、抱きしめられた時に、振り解く気にも慣れず抱き返す。久々に感じる男の香り。縄のときのハグとは違う、男と女のハグ。
 キョウスケさんが顔を寄せてくる。まぁ、もう小娘でもないし、キスくらいは良いかなと、唇を許してしまう。
 少し長い久しぶりの口付け。酒の火照りかキスの火照りかわからない顔を赤らめながら、縄会での再会を約束して、別れた。
「縄じゃなくストレートにホテルに誘われたら……断れたかな?ずいぶん、ご無沙汰だったしなぁ……とか。んん、まぁ、次に会う約束もしたんだし、縄会ではあの朴念仁に見せつけてやるんだから……」