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2.縄に嵌る

ー/ー



 休みが合うと(みどり)に行き、抄妓(しょうこ)さんと話す。
 あの人なら合うと思うわよと勧めていただいた縛り手さんにお願いして縛ってもらう。

 先生の縄は、本当に楽しくて好き。でも、男の欲望を感じない不思議な縄。抄妓(しょうこ)さんなら先生の欲望の乗った縄を受けられるのかな?と少し嫉妬してしまう。でもお二人とも、話してて落ち着ける素敵な人達。
 
 先生のお弟子さんの竜さんは少し歳上だけど、カッコよくて目の保養になる。縄も上手で、口説いて欲しくて誘惑してみたけど、上手に逃げられる。特定の相手はつくらない主義って言ってる。本当かしら?と思うけれど、お店で会えば、楽しく縛ってくれる、これはこれで楽しい。
 
 それ以外のお客さんの縄も試してみて、良い縄かどうか確かめる。この時の私は、新しく出会った縄の世界に有頂天になっていたのでした。
 
 縛れる人が、居なくても、抄妓(しょうこ)さんとお話するだけでも楽しくて、今日も(みどり)に顔を出していた。
 
「で、いろんな人の縄受けまくってるけど、この人ってのは見つからない?」抄妓(しょうこ)さんが、尋ねてきた。
 
「いい縄をする人は居ますよ。でもそういう人ってパートナーが居るんですよねー、当たり前にモテるし。ああ、例外もいるけど、あの朴念仁とか…」と奥にいた竜さんに視線を送る。
 
「ああ、竜さんはねぇ……、まだむりなんかなぁ……。でも、縄上手い人がモテるのはそうだよね、縄ができるからモテるわけじゃないけど、上手いまでいくとね」
 
「でしょー?」
 
「いっそのこと育つのに付き合うって方法もあるわよ?まず人として好きな人がいてだけど。うちの教室にそれで来てる人いるしね」
 
「うーん、まずその人が、いないですね。とりあえず今は……縛ってもらえる人に縛ってもらいます」そう言ってわたしは奥の部屋に行って竜さんに声をかける。
 
「りゅーうさん、時間あったら縛ってください」とじゃれつきながら縄に誘う。
 
「なんだ、ユキちゃんか、しょうがないなぁ、やるかい」デートの誘いは受けてくれないけど、縄のお誘いは気軽に受けてくれる竜さん。
 
「はい、お願いします。じゃ着替えて来ますね」と言って私は、コスプレ衣装のかかってる衣装棚から、浴衣を取り出して、着替えに向かう。金具のついたブラは良くないので、最近はスポーツブラをつけて来ている。
 
 バッと脱いで、ブラパンで受ける女性もそれなりにいるけど、私はまだ恥ずかしくて、縄の時は浴衣が多い。
 
 着替えて、竜さんの前に戻ると、前に座って、背筋を伸ばして、リラックスして待つ。
 
 竜さんの手が私の手を取る。もう何度も受けてきた仲なので、何も言わず手を後ろに回されて、後手にされて手首を縛られて今回の縄遊びが始まる。
 
 竜さんの縄は、先生の縄と表面上、縄の縛り方自体は、よく似ている。でも、受ける印象は全然違う。包容力と優しさの城先生に比べて、竜さんの縄は、意地悪な縄だ。同じように脚を曲げられてるようだけど、少し力の加減が違うのか、苦しいという成分が多い気がする。
 
 あと、一番違うのは、先生の縄は愛情でも家族とか父性とか、そういう性的でない愛情を感じるのに比べて、竜さんの縄は男性を感じさせる。女として欲されている感じはするけれど、実際に誘うと断られるのは解せない。
 
 気持ちよくて、恥ずかしい声が出る。それを聞いて、竜さんが興奮しているのが、触れている身体や息遣いなどから伝わってくる気がする。
 
 明確に逝かせようとする意思を竜さんから感じて、悦びのまま、快感を受け取りに行って、素直に言葉もなく絶頂する。
 私の様子を見て、竜さんが喜んでるのがわかる。嬉しいって思う。同時にもっと受け入れて欲しい、愛し合いたいと言う気持ちが溢れてきて、哀しい。
 
 付き合っているわけでもなく、粘膜接触があるわけでもなく、それでも快感をもらい時には性的に絶頂したとしても、遊びの範疇で付き合ったりするわけでもない。縄の世界の良いところであり不思議なところでもある。
 
 ゆっくりとした、縄解きで、トロトロに気持ちよく蕩かされて、自由になった後、彼の膝枕で甘える。心地よい。
 
 竜さんは膝枕しながら、身体は周りに散らばった使った縄を揃えなおし、使いやすいように束ね直しを始めている。
 私は下からそれを眺めていた。
 別れた恋人にも、こんな事された事ないなぁ…とぼんやり考えていた。
 
 縄をまとめ終えた竜さんが、こちらを見て来る。視線が絡み合う。私は悪戯っぽく目を瞑って、唇を尖らせた。
 
 少し逡巡したような間があって、柔らかいものが唇に触れた。ええ?と思い目をあけると、竜さんが、差入れの和菓子の求肥を私の唇に押しつけていた。
 
「食べる?」とニヤニヤしながら聞いてきたので、「アーンして」って言いながら口を開けたら、口の中に押し込まれた。
 一口に食べるには大きいお菓子を頑張って咀嚼して飲み込んだ。
 
「竜さん、もう少し優しさってものもってもバチ当たらないと思うよ?」と抗議する。
 
「言われた通り、アーンしてあげるなんて優しいと思うけど?」と返される。
 
 しょうがないなぁと二人で笑い合ってると、「はい、お茶どうぞ」と言って抄妓(しょうこ)さんが、お茶を持ってきてくれる。
 今日も楽しいなぁ……とこの場所に出会えて良かったと素直に思った。



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次のエピソードへ進む 3.縄に惑う


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 休みが合うと|翠《みどり》に行き、|抄妓《しょうこ》さんと話す。
 あの人なら合うと思うわよと勧めていただいた縛り手さんにお願いして縛ってもらう。
 先生の縄は、本当に楽しくて好き。でも、男の欲望を感じない不思議な縄。|抄妓《しょうこ》さんなら先生の欲望の乗った縄を受けられるのかな?と少し嫉妬してしまう。でもお二人とも、話してて落ち着ける素敵な人達。
 先生のお弟子さんの竜さんは少し歳上だけど、カッコよくて目の保養になる。縄も上手で、口説いて欲しくて誘惑してみたけど、上手に逃げられる。特定の相手はつくらない主義って言ってる。本当かしら?と思うけれど、お店で会えば、楽しく縛ってくれる、これはこれで楽しい。
 それ以外のお客さんの縄も試してみて、良い縄かどうか確かめる。この時の私は、新しく出会った縄の世界に有頂天になっていたのでした。
 縛れる人が、居なくても、|抄妓《しょうこ》さんとお話するだけでも楽しくて、今日も|翠《みどり》に顔を出していた。
「で、いろんな人の縄受けまくってるけど、この人ってのは見つからない?」|抄妓《しょうこ》さんが、尋ねてきた。
「いい縄をする人は居ますよ。でもそういう人ってパートナーが居るんですよねー、当たり前にモテるし。ああ、例外もいるけど、あの朴念仁とか…」と奥にいた竜さんに視線を送る。
「ああ、竜さんはねぇ……、まだむりなんかなぁ……。でも、縄上手い人がモテるのはそうだよね、縄ができるからモテるわけじゃないけど、上手いまでいくとね」
「でしょー?」
「いっそのこと育つのに付き合うって方法もあるわよ?まず人として好きな人がいてだけど。うちの教室にそれで来てる人いるしね」
「うーん、まずその人が、いないですね。とりあえず今は……縛ってもらえる人に縛ってもらいます」そう言ってわたしは奥の部屋に行って竜さんに声をかける。
「りゅーうさん、時間あったら縛ってください」とじゃれつきながら縄に誘う。
「なんだ、ユキちゃんか、しょうがないなぁ、やるかい」デートの誘いは受けてくれないけど、縄のお誘いは気軽に受けてくれる竜さん。
「はい、お願いします。じゃ着替えて来ますね」と言って私は、コスプレ衣装のかかってる衣装棚から、浴衣を取り出して、着替えに向かう。金具のついたブラは良くないので、最近はスポーツブラをつけて来ている。
 バッと脱いで、ブラパンで受ける女性もそれなりにいるけど、私はまだ恥ずかしくて、縄の時は浴衣が多い。
 着替えて、竜さんの前に戻ると、前に座って、背筋を伸ばして、リラックスして待つ。
 竜さんの手が私の手を取る。もう何度も受けてきた仲なので、何も言わず手を後ろに回されて、後手にされて手首を縛られて今回の縄遊びが始まる。
 竜さんの縄は、先生の縄と表面上、縄の縛り方自体は、よく似ている。でも、受ける印象は全然違う。包容力と優しさの城先生に比べて、竜さんの縄は、意地悪な縄だ。同じように脚を曲げられてるようだけど、少し力の加減が違うのか、苦しいという成分が多い気がする。
 あと、一番違うのは、先生の縄は愛情でも家族とか父性とか、そういう性的でない愛情を感じるのに比べて、竜さんの縄は男性を感じさせる。女として欲されている感じはするけれど、実際に誘うと断られるのは解せない。
 気持ちよくて、恥ずかしい声が出る。それを聞いて、竜さんが興奮しているのが、触れている身体や息遣いなどから伝わってくる気がする。
 明確に逝かせようとする意思を竜さんから感じて、悦びのまま、快感を受け取りに行って、素直に言葉もなく絶頂する。
 私の様子を見て、竜さんが喜んでるのがわかる。嬉しいって思う。同時にもっと受け入れて欲しい、愛し合いたいと言う気持ちが溢れてきて、哀しい。
 付き合っているわけでもなく、粘膜接触があるわけでもなく、それでも快感をもらい時には性的に絶頂したとしても、遊びの範疇で付き合ったりするわけでもない。縄の世界の良いところであり不思議なところでもある。
 ゆっくりとした、縄解きで、トロトロに気持ちよく蕩かされて、自由になった後、彼の膝枕で甘える。心地よい。
 竜さんは膝枕しながら、身体は周りに散らばった使った縄を揃えなおし、使いやすいように束ね直しを始めている。
 私は下からそれを眺めていた。
 別れた恋人にも、こんな事された事ないなぁ…とぼんやり考えていた。
 縄をまとめ終えた竜さんが、こちらを見て来る。視線が絡み合う。私は悪戯っぽく目を瞑って、唇を尖らせた。
 少し逡巡したような間があって、柔らかいものが唇に触れた。ええ?と思い目をあけると、竜さんが、差入れの和菓子の求肥を私の唇に押しつけていた。
「食べる?」とニヤニヤしながら聞いてきたので、「アーンして」って言いながら口を開けたら、口の中に押し込まれた。
 一口に食べるには大きいお菓子を頑張って咀嚼して飲み込んだ。
「竜さん、もう少し優しさってものもってもバチ当たらないと思うよ?」と抗議する。
「言われた通り、アーンしてあげるなんて優しいと思うけど?」と返される。
 しょうがないなぁと二人で笑い合ってると、「はい、お茶どうぞ」と言って|抄妓《しょうこ》さんが、お茶を持ってきてくれる。
 今日も楽しいなぁ……とこの場所に出会えて良かったと素直に思った。