第十六話 バレンタインデーの一夜

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 二月十四日はバレンタインデーだ。
 バレンタインデーのこの日、僕は麻里子さんと食事にでかけた。
 大阪の街を彼女と腕を組んで歩く。むふったっぷりとお肉のつまったおっぱいが腕にあたり、心地よい。それに麻里子さんの体は温かくて、冬の寒い日にはもってこいなんだよな。
 そうそう、バレンタインデーのチョコとしてゴディバの詰め合わせを貰った。
 女の子からチョコをもらうなんてのは生まれて初めてだ。これは飛び上がるほどにうれしい。
 いや、待てよ。
 高校の時にクラスメイトに貰ったことがあるな。
 いや、あれはブラックサンダーだった。ブラックサンダー自体は好きなんだけどバレンタインデーのチョコかと言われれば違うよね。だからあれはノーカウントだ。

 麻里子さんの希望で僕たちは夕ご飯はサイゼリアでとることにした。こういう価値観が合うところも麻里子さんとつきあって良かったと思うところだ。
 道すがら、僕はふと誰かの視線を感じた。恐らくハイブランドであろうベージュのコートを着た若い女性だった。
 一瞬、目があったような気がしたけど、その女性は足早に立ち去っていった。
 なんとなく瑞樹に似ていたような気がする。
 いや、違うな。
 瑞樹はあんな派手な化粧はしない。
 どちらかと言えばナチュラルメイクだったはずだ。
 もし仮にあの女の人が瑞樹だとしても、もう僕には関係ない赤の他人だ。
 僕には野平麻里子さんという可愛らしい彼女ができたのだからね。

 サイゼリアは平日の夜だというのにけっこうな人出であった。僕たちのようなカップルも居れば、ファミリーや部活終わりの学生なんかもいる。
 僕たちは二人席に案内される。
 麻里子さんがスマートフォンでQRコードを読み込む。もうなれたものだ。
 ミートドリアにカルボナーラ、シーフードのサラダ、マルゲリータを頼む。
 麻里子さんはけっこう食べるので、たぶんだけどパスタを追加すると思うな。デザートは定番のプリンにしよう。好き嫌いなく、いっぱい食べる彼女って魅力的だよな。
「ムール貝のガーリック焼きも頼みませんか?」
「いいですね、それも頼みましょう」
 さらにムール貝のガーリック焼きも注文する。

 すぐに料理がやってきて、ところ狭しと並べられる。
「そうそう、阿良又(あらまた)が会いたいって言っていたから今度あいつの彼女と一緒に遊びに行きませんか?」
 僕が麻里子さんとつきあうことになったのをあいつは我が事のように喜んでくれた。マッチングアプリ「天使の導き」を紹介したのは友人の阿良又だ。彼がいなければ麻里子さんに出会えなかったのだから、感謝してもしきれないというものだ。

 麻里子さんはマルゲリータをはむはむと食べながら考える。もちろん、サングラスもマスクもとっている。向かいあわせで座り、足と足をテーブルの下で絡ませているのだ。むふ、麻里子さんのむちむち太ももが僕の足を挟んでいるよ。
 夜には真ん中の足も挟んでもらおう。
 太ももは太ければ太いほどいいんだよね。
 僕の体に触れている間は麻里子さんは精神が安定するようで、顔喪失症が表に表れないのだ。
「そうですね。一度お会いしてもいいかもですね」
 よし、了承を得ることができた。 
 また阿良又にラインをしなければ。これはいわゆるダブルデートというものか。これで僕もいっぱしのリア充だ。
 まあプランは日本橋のオタロード巡りになりそうだけどね。

「夏のコミックカーニバルなんですけど夏彦さんも参加されますよね」
 麻里子さんは僕の足を強く挟む。心地よい痛みだ。
 コミックカーニバルは毎年夏と冬に大阪の南港はインテックス大阪で開催されるイベントだ。いろんなサークルが同人誌やオリジナル、二次創作のグッズなんかを配布する。関西でも指折りのオタク向けイベントだ。まあ、東京のコミケには敵わないけどね。
 人によっては東のコミケ、西のコミカなんて言う人もいる。
「ええ、もちろんですよ」
 僕は大学生になってから毎年、夏と冬にこのコミックカーニバルには参加している。
「良かった。私もね、毎年サークル参加しているんですよ。そうだ、夏彦さん。良かったら一緒に売り子しませんか?」
 その誘いはかなり魅力的であった。一度サークル参加というものをしてみたかったんだよな。
 僕はすぐにはいっと答える。
「うふふっ楽しみが増えましたね」
 あの吐息混じりの微笑みを麻里子さんはする。
 今年の夏が今から楽しみだ。
「今度、麻里子さんの薄い本を見せてもらえますか」
 僕は尋ねてみる。
 麻里子さんはイラストレーターをしているということだが、まだ彼女の絵は見たことが無いんだよな。
「いいですよ。今度私の家に来たときにお見せしますね」
 そこでぐいっと麻里子さんは顔を寄せる。
 僕も彼女の顔に近づく。
 近くで見ると大きな瞳に吸い込まれそうだ。
「私の本ってR18なんですよ」
 そう言ったあと、麻里子さんはくすくすと笑う。
 女性の描くR18作品とはこれは興味がそそられる。
 麻里子さんってこういう下ネタ的なこともけっこう平気なんだよな。まさか女子とこういう成人向けの話ができるなんておもってもみなかった。

 このあと、サイゼリアで大いに飲み食いした僕たちは自宅マンションに帰った。最近では麻里子さんはほとんど僕のマンションに入りびたりだ。
 彼女は在宅ワーカーなので、仕事の場所は選ばない。僕の休日に一緒に麻里子さんの家に帰るといったパターンが多い。
 この日も当然のように麻里子さんは僕の家に泊まる。もちろん、大人の関係も込みでだ。
 麻里子さんって激しいんだよね。まあ願ったりかなったりだけどね。例のお守りがいくつあってもたならいのは確かなことであった。
 
 バレンタインデーの一夜はこうして過ぎていった。

 


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 二月十四日はバレンタインデーだ。 バレンタインデーのこの日、僕は麻里子さんと食事にでかけた。
 大阪の街を彼女と腕を組んで歩く。むふったっぷりとお肉のつまったおっぱいが腕にあたり、心地よい。それに麻里子さんの体は温かくて、冬の寒い日にはもってこいなんだよな。
 そうそう、バレンタインデーのチョコとしてゴディバの詰め合わせを貰った。
 女の子からチョコをもらうなんてのは生まれて初めてだ。これは飛び上がるほどにうれしい。
 いや、待てよ。
 高校の時にクラスメイトに貰ったことがあるな。
 いや、あれはブラックサンダーだった。ブラックサンダー自体は好きなんだけどバレンタインデーのチョコかと言われれば違うよね。だからあれはノーカウントだ。
 麻里子さんの希望で僕たちは夕ご飯はサイゼリアでとることにした。こういう価値観が合うところも麻里子さんとつきあって良かったと思うところだ。
 道すがら、僕はふと誰かの視線を感じた。恐らくハイブランドであろうベージュのコートを着た若い女性だった。
 一瞬、目があったような気がしたけど、その女性は足早に立ち去っていった。
 なんとなく瑞樹に似ていたような気がする。
 いや、違うな。
 瑞樹はあんな派手な化粧はしない。
 どちらかと言えばナチュラルメイクだったはずだ。
 もし仮にあの女の人が瑞樹だとしても、もう僕には関係ない赤の他人だ。
 僕には野平麻里子さんという可愛らしい彼女ができたのだからね。
 サイゼリアは平日の夜だというのにけっこうな人出であった。僕たちのようなカップルも居れば、ファミリーや部活終わりの学生なんかもいる。
 僕たちは二人席に案内される。
 麻里子さんがスマートフォンでQRコードを読み込む。もうなれたものだ。
 ミートドリアにカルボナーラ、シーフードのサラダ、マルゲリータを頼む。
 麻里子さんはけっこう食べるので、たぶんだけどパスタを追加すると思うな。デザートは定番のプリンにしよう。好き嫌いなく、いっぱい食べる彼女って魅力的だよな。
「ムール貝のガーリック焼きも頼みませんか?」
「いいですね、それも頼みましょう」
 さらにムール貝のガーリック焼きも注文する。
 すぐに料理がやってきて、ところ狭しと並べられる。
「そうそう、阿良又《あらまた》が会いたいって言っていたから今度あいつの彼女と一緒に遊びに行きませんか?」
 僕が麻里子さんとつきあうことになったのをあいつは我が事のように喜んでくれた。マッチングアプリ「天使の導き」を紹介したのは友人の阿良又だ。彼がいなければ麻里子さんに出会えなかったのだから、感謝してもしきれないというものだ。
 麻里子さんはマルゲリータをはむはむと食べながら考える。もちろん、サングラスもマスクもとっている。向かいあわせで座り、足と足をテーブルの下で絡ませているのだ。むふ、麻里子さんのむちむち太ももが僕の足を挟んでいるよ。
 夜には真ん中の足も挟んでもらおう。
 太ももは太ければ太いほどいいんだよね。
 僕の体に触れている間は麻里子さんは精神が安定するようで、顔喪失症が表に表れないのだ。
「そうですね。一度お会いしてもいいかもですね」
 よし、了承を得ることができた。 
 また阿良又にラインをしなければ。これはいわゆるダブルデートというものか。これで僕もいっぱしのリア充だ。
 まあプランは日本橋のオタロード巡りになりそうだけどね。
「夏のコミックカーニバルなんですけど夏彦さんも参加されますよね」
 麻里子さんは僕の足を強く挟む。心地よい痛みだ。
 コミックカーニバルは毎年夏と冬に大阪の南港はインテックス大阪で開催されるイベントだ。いろんなサークルが同人誌やオリジナル、二次創作のグッズなんかを配布する。関西でも指折りのオタク向けイベントだ。まあ、東京のコミケには敵わないけどね。
 人によっては東のコミケ、西のコミカなんて言う人もいる。
「ええ、もちろんですよ」
 僕は大学生になってから毎年、夏と冬にこのコミックカーニバルには参加している。
「良かった。私もね、毎年サークル参加しているんですよ。そうだ、夏彦さん。良かったら一緒に売り子しませんか?」
 その誘いはかなり魅力的であった。一度サークル参加というものをしてみたかったんだよな。
 僕はすぐにはいっと答える。
「うふふっ楽しみが増えましたね」
 あの吐息混じりの微笑みを麻里子さんはする。
 今年の夏が今から楽しみだ。
「今度、麻里子さんの薄い本を見せてもらえますか」
 僕は尋ねてみる。
 麻里子さんはイラストレーターをしているということだが、まだ彼女の絵は見たことが無いんだよな。
「いいですよ。今度私の家に来たときにお見せしますね」
 そこでぐいっと麻里子さんは顔を寄せる。
 僕も彼女の顔に近づく。
 近くで見ると大きな瞳に吸い込まれそうだ。
「私の本ってR18なんですよ」
 そう言ったあと、麻里子さんはくすくすと笑う。
 女性の描くR18作品とはこれは興味がそそられる。
 麻里子さんってこういう下ネタ的なこともけっこう平気なんだよな。まさか女子とこういう成人向けの話ができるなんておもってもみなかった。
 このあと、サイゼリアで大いに飲み食いした僕たちは自宅マンションに帰った。最近では麻里子さんはほとんど僕のマンションに入りびたりだ。
 彼女は在宅ワーカーなので、仕事の場所は選ばない。僕の休日に一緒に麻里子さんの家に帰るといったパターンが多い。
 この日も当然のように麻里子さんは僕の家に泊まる。もちろん、大人の関係も込みでだ。
 麻里子さんって激しいんだよね。まあ願ったりかなったりだけどね。例のお守りがいくつあってもたならいのは確かなことであった。
 バレンタインデーの一夜はこうして過ぎていった。