表示設定
表示設定
目次 目次




出題編1-4

ー/ー



 そう言いたい気持ちを誰もが抱えながら、しかし誰も口にせずに廊下をすすむ。ありえないことが、立て続けに起こっている。火野博士が亡くなったこと、そして海に浮かぶ謎の炎。 
 しかし、全員の興味がすでに火野博士から謎の炎へと傾いていることは、肌で感じた。ここにいる人間は皆、もともとは好奇心を突き詰めた生き方をしてきた人たちだ。あんなものを見せられて、興味を抱かないわけがない。
「その角を曲がると、火野博士のいる研究室です」
 副島さんが先頭を歩く新見博士と岩塚さんに声をかけた。その声に、こちらを振り向かずに頷く二人。そのまま彼らが角を曲がるのに続いて、全員が曲がり終えたあたりで私の視界にも再び研究室の看板が映った。先ほどは気が付かなかったが、部屋の周りには全くと言ってもいいほどに違和感がない。この先にある部屋で人が亡くなっているなんて言われても、普段の私ならまず信じないだろう。
「火野博士、開けますよ?」
 岩塚さんが、手の甲でドアを軽く三度叩く。その礼儀に意味はないとしても。
 研究室のドアが開き、ここもやはり違和感のない部屋が広がっている。しかし、それは左の方向を見るまでの話だ。そこには、先ほどとまったく同じように燃え尽くした一つの遺体があった。
「これは……」
 それを発見した瞬間に全員が声を失った。最初に部屋に入った新見博士がポケットから手袋を取り出してそれを装着し、遺体に触れる。脈、そして呼吸を確かめるがそれらは当たり前のように動いていなかった。まるで、博士が人形を相手におままごとをやっているような気味の悪さを覚えるほどに。
「ど、どうだい。新見君」
 西野博士も結果はわかっていながら、蜘蛛の糸にすがるようにか細い声で問いかけた。しかし、新見博士は首を横に振る。
「残念ですが、亡くなっています」

そういって脈を図るために掴んだ腕をそっと地面へとおろした。おろされた手に生えた指は、降ろした衝撃以外で動くことはなかった。
「副島さん。通報をお願いします」
 新見博士は、虚空に向かってそういった。
「わかりました」
 副島さんはひたすら冷静に、受話器を耳につけて話し始めた。
その時だった、甲斐博士が何かを発見したように指をさす。
「なによ、あれ!」
 その声には悲鳴が混じっていた。私はあわてて指のさす方向を見ると、そこには奇妙なものがあった。それは、危険なものを扱う実験室には無駄なものを置かないという常識を破るようなものだった。
「あれは、牛の剝製ですか?」
 見たところそれは、何かの骨みたいだった。私は剥製に詳しくないけども、岩塚さんのいうところには火野博士が趣味として飾っていた剥製らしい。
「どういうことだ? ダイイングメッセージなのか?」
 ダイイングメッセージ。一般的な殺人事件の被害者が死ぬ直前に書き残したメッセージで犯人を特定する手掛かりになるようなものだ。しかし、犯人にメッセージを残していたことがばれてしまうとそれを消されてしまうかもしれないため、あまりにも直接的に犯人を示すことはない。
「でも、牛?」
 牛という言葉に、思い当たるものはなかった。牛が名前に入る人物もいなければ、生物学や遺伝化学などを研究している人物もいない。いったい、どういう意味だろうか。
 その時、誰かがぼそっとこう言った。
「もしかして、ファラリスの牡牛?」
 その言葉が妙に引っかかった。ファラリスとはいったい?
 しかし、その言葉を気に留めたのはどうやら私だけのようだった。 
 その後は電話に出た警察の指示に従って、全員で視界の開けた場所。先ほどまでいた会食場で警察の到着を待つことになった。警官が派遣されてる来ることを知って全員の表情が少し緩んだのがわかる。私も少しだけ頬の緊張は解けていた。
「とりあえず、警察の言うとおりにこの部屋に固まっていた方が良いんじゃないかな。確かにここは都会から離れてはいるが、就寝時間までには到着してくれるだろう」
 まだ時刻は八時を少し過ぎたところだ。警察内部でどのようなプロセスをたどって警官の派遣ということになるのかわからないが、少なくともこの部屋に全員が集合している限りは次の犠牲者が現れる可能性を限りなく減らすことが出来るのは間違いない。
「夜中にあんな橋を渡るのは、とうていごめんだね」
 誰かが軽口を飛ばすが、それに笑えるほど全員が調子を取り戻したわけではなさそうだ。
 確かに、この火野研究所と外部をつなぐ道の途中にある吊り橋。私は高所恐怖症ではないから問題なかったが、警官の人は行けと言われれば、怖くても渡らなければいけないのだろうか。さすがにそれは、可哀想ではある。人殺しのいる現場に向かうよりは、ましだろうか。
「それでだ、警察が来るまでじっとしていても何もいいことは無いんだから、少しでも捜査をスムーズにできるように協力しようじゃないか」
 そう言ったのは、西野博士だった。
「協力?」
 全員の頭上に疑問符が浮く。
 私はどうやらこの場は西野博士がまとめてくれるようだということだけを理解した。
「ああ、少しでも情報をまとめておくんだよ。まずは、火野博士が最後に目撃された時間だが、それぞれが火野博士を最後に目撃した時間を教えてもらえるかな?」 
 西野博士がそう問いかけるが、誰も率先して答えようとはしなかった。そして西野博士の視線が、どうしてかはわからないが、こちらに向いたことに気がついた。それに続いて、そこにいた全員が私に向かって視線を向けてくる。なんだか、不気味だった。
 私は小さな声で、
「私は、火野博士にお会いしたことはありません」
 そう答えるのに、精一杯だった。別に後ろめたいことなんて何もないのに、体がすくんでしまう。私に続いて口々に最後に火野博士と会った時間を言うはず……だと思ったのだが。
「私も、今日は火野博士と会っていません」
 全員が口々に答えるばかりだ。このことには私だけでなく全員が困惑している。これでは話にならない。ひとり、ひとりと答えていくうちに混乱が深まっていく。
「どういうことだ? 少なくとも今日、招かれた客人は全員が火野博士に挨拶をするどころか見かけてすらいないのか?」
 話をまとめると、副島さんが夕食の準備が始まる午後四時くらいに研究室にいるところを目撃。その後、火野博士が研究室からおそらくトイレで席を外したのを井野さんが目撃している。
 時刻は正確にわからないらしいが午後五時にはなっていなかったらしい。
 そして、研究室に用事があって出入りした岩塚さんと井野さんがそれぞれ五時半と五時五十分ごろに見かけたらしい。目撃した時はまさか亡くなるなんて思えないほど、普段通りの火野博士であったと全員が話した。
「しかし、来客の誰もが火野博士を目撃していないというのはおかしな話だな。話を聞く限りは別に火野博士も自室に閉じこもっていたわけでもないだろうし、それなら偶然、出くわしてもおかしくないだろう」
 私は部屋につくなり眠ってしまったので正確な状況はわからないが、最初に出会ったムーシェ博士はこの研究所内を散歩することを楽しんでいたように見えたし、他の博士たちも部屋につくまでに遠くからではあるが見かけている。これだけの人数がいて来客と所員の明確な区別をもって火野博士を目撃しているかどうかが別れるのは、変な話だ。
「ちなみに聞きたいんだけれども、岩塚君と井野君は二人ともが火野博士を目撃した段階で言葉を交わしたのかな?」
 そう新見博士が聴くと、二人とも首を横に振った。
「いえ、集中している様子でしたから背中を見ただけです」
 そもそも、私たちは火野博士によってここに招かれている。まあ、私なんて前島教授の代役でしかないのだから別に構わないのだが、他の博士を見かければ挨拶くらいはするだろう。西野博士やムーシェ博士あたりは火野博士よりも年長でもあるのだから、それが礼儀というものだ。夕食のときにまとめて挨拶をしようと考えていたのかもしれないが、廊下で出くわして何も言わずに立ち去るのは無礼だし気まずいだろう。
「火野博士はあまり普段から外に出るような方ではなかったですが、それにしても不思議な話ですね。まるで、火野博士が来客に会うことを避けていたような」
 副島さんは淡々とそう答えた。さっきから感情をあまり読み取れない。
 きっとそれだけ、火野博士が亡くなったショックが大きいのだろう。私も、前島教授が急に亡くなるようなことがあればどうなるだろうか。想像もつかない。副島さんのように淡々としている気もするし、発狂して泣きわめく気もする。きっと、彼女が冷静でいられるのは責任感によるところも大きいだろう。
 火野博士が亡くなったことで、有無を言わさずこの場所は人が亡くなった研究所であり、その最高責任者は自動的に副所長である副島さんになる。もちろん、今の恐怖におびえることも大切だが、この先のことも考えなければいけない。最高責任者である火野響介を失って、この研究所がどうなるのか。ぼんやりと洋風の作りをした室内を眺めると、まるで建物が不気味に笑った気がした。
 少なくとも、世間から好奇の目にさらされることは間違いないだろう。火野という名前の研究者が焼死体となって見つかった、なんていくらでも駄洒落を絡めたネットニュースのタイトルがつけられそうだ。そうなれば、この辺境で研究に打ち込むことも難しくなる。
 そもそも、この研究所自体が財源である火野博士を失うことで立ち行かなくなる可能性もある。なら、自分を含めた残りの三人はその先をどう生きる? 
 考えなければならないことは部外者である私にもいくつか思い浮かぶほどにたくさんあった。
 そんな副島さんの状態を気にかけることはせず、西野博士は議論を進める。それがなんだか、ひどく焦っているように見えたが、気のせいだろうか。
「まあ、火野博士がここの所員以外と誰もあっていないことは不思議ではあるが、そこは一度、おいて話をしよう。じゃあ、火野博士が遺体となってから最初に発見されたのはいつだろうか、それを次は教えてもらえるかな?」
 西野博士がひとりずつ顔を見て、無言で問いかける。私の顔は自然とある一人の人物に向く。それに気づいた人が同じ方向を見て、最終的には一人の人物に視線が注がれる。彼はひどく居心地が悪そうだ。
「井野君、その時の状況を説明してもらってもいい?」
 井野さんは、名前を呼ばれた瞬間に少しだけ驚いて体が震えたのがわかった。ガタンと、彼の座る椅子が音を立てた後に、彼は少しずつ話し始めた。
「ぼ、僕が火野博士の遺体を見かけたのは副島さんに指示されて火野博士を呼びに行った時です。西野博士も、同席していましたよね?」
「それだと、おおよそ七時半くらいになるのかな」
 西野博士は腕時計を見て確認している。その時の様子は、他ならぬ私自身が隣で見ていたので間違いはないだろう。井野さんも一度だけ小さくうなずいて、再び話を始めた。
「それで、いつも通りに火野博士のいるはずの研究室へ向かったんですが、その途中には全くと言ってもいいほど普段と違うところなんて感じなかったんです。ドアを開ける前にノックをして中に確認をとっても、火野博士は熱中されると周りの声が聞こえなくなるタイプでしたから、返事がないことにも違和感はありませんでした。そして、ドアを開けると床には、火野博士の遺体が転がっていたんです」
「それで、あの悲鳴を聞いた私たちが駆けつけてきたところに合流したという流れね。まあ、私も普段の火野博士がどのような行動をするかはある程度、把握している。だからこそ、今の井野君が話したことに引っかかることはなかったわ」
 副島さんがきっぱりとそう告げると、安心したのか井野さんは頬の緊張が少し緩んだ。
「なるほどな……じゃあ、遺体の第一発見者は井野君でいいのかな? それとも、他の人で誰か火野博士の遺体を七時半よりも以前に見かけた人は?」
 西野博士は、まるで学生たちに質問があるかを問うように右手をあげながら見渡した。しかし、誰も手を挙げるものはいない。
「つまり、最初に遺体を目撃したのも最後に火野博士が生きている姿を見かけたのも井野君でいいのかな?」
 西野博士がそう言ったとたんに、部屋が凍り付いた。
 全員の冷たい視線が刺すように彼を睨む。正確に言えば睨んでいたわけではないだろうけど、少なくとも井野さんはそう感じただろう。再び、顔がこわばった。
 私はそれを見ていられなかった。
 確かに、この状況だと井野さんを疑うことは理解できるが、あまりにあからさまだともしも違ったときに井野さんが可哀想だ。しかも、もし井野さんが犯人だったとしても下手に追い詰めるのは避けた方がいい。もしも井野さんが自暴自棄になればこの研究所内にあるようなものを使い、私の持つ知識でもこの建物ごとを木っ端みじんに吹き飛ばすことができるだろう。 
 私はそれを避けるために、思考を巡らせると一つの結論にたどり着いた。
「そういえば、なぜか他殺みたいな雰囲気になっていますけど、事故や自殺の可能性はありませんか?」
 私がそう言ったら、いたたまれない様子の井野さんがこちらをまるで救世主でも見るような目を向けるものだから、なんとリアクションしていいのかわからなかった。
 しかし、それ以外の視線はほとんどが井野さんに向けられていたままの冷ややかな視線だった。ここで、事故や自殺説を持ち出すことは犯人をかばうことに他ならない。
「あんまり一つの考えばかりに固執すると良くないですし……」
「まあ、そうよね」
 甲斐博士は私の意見に納得はできないでいたが、同意するような言葉を口にした。おそらく、私を少しでも擁護しようとしてくれたのだろう。
 そのため、私はここで説を持ち上げるだけなどできるわけもない。私の立場が不利になるし、科学者としても自身の論を発表するには、まずそれを思いついた経緯などを話してから、結果を言う必要がある。これは社会に出ても通じる話だ。私はそれを持たない。ただ、思いつく限りの言葉を紡ぐしかなかった。
「すべてが仮定の話で申し訳ないんですが、そもそも人を殺害するときに焼き殺すなんて方法を使いますか?」
 まず、私が思いついたのはここだった。こんなことを言うとサイコパスかもしれないが、人なんてナイフを心臓や首に突き立てるだけで簡単に死に至る。
 しかも、棚に並んでいた瓶に書いてある薬品の名前も、私がぱっと見るだけでも人を殺害するのに十分、有害なものばかりだった。私なら、それを飲ませる。それなら、薬品を誰が準備したのかもわからない。
 逆に、焼くなんて面倒な方法をとるのなら、それなりに理由が必要だ。
「確かに……その通りだな」
 こう言ったときに、頭の良い人はこちらの主張が筋の通ってあるものであればあるほど理解が早くて助かる。
「じゃあ、事故の可能性は?」
 誰かがそう声をあげた。確かに、他殺でない限りは次に考えるべき可能性は事故だ。研究所なのだから、それこそ事故なんて起こってもおかしくない。しかし、これはすぐに否定された。
「人が燃えるほどの事故なら、誰かが気づくでしょう。確かにその時間にはあまりその近くには人がいなかったけれど、それでも火野博士が助けを求めるでしょうし、事故の可能性も薄いわね」
 甲斐博士がそう言って事故の線を断じた。それに反論するものは、いない。
 なら、次に考えるべきは……自殺説だ。
「しかし……自殺って線が最も考えづらいのも確かよね。副島さんは何か、火野博士が自殺をするような素振りは見えなかった?」
 甲斐博士は副島さんに向かって問いかけるが、副島さんは首を横に振るばかりだ。
 なにせ、パーティーとしてこんな場所に化学界の著名人を集めたところで自殺をするなど考えづらい。あるとすれば、西野博士たちを集めて自殺をすることで話題性を呼ぶことくらいしかない。その説はあまりにも苦しかったけど、逆に言えばそれくらいしか思いつかないほどに自殺をする可能性が思い当たらない。
 そこで、議論が停滞する。もう、誰も新たな説を唱えることができないでいた。最も可能性が高い他殺は、焼死という殺し方に不可思議な点がある。
 なら事故や自殺という線を考えても、それもおかしい。

 誰も言葉を発さなくなった時だった。副島さんがポケットに入れていた電話が、けたたましい音を立てて着信を知らせた。副島さんは落ち着いた態度でこちらに視線を向けて確認を取り、電話をとった。
「もしもし、火野研究所の副島です。警察の方ですか?」
 副島さんの言う、火野研究所という言葉の響きが妙に耳に残った。
「えっ! は、はい。わかりました。でも、私たちはどうすれば……」
 電話口で応対する副島さんの様子は、明らかに動揺しているのがわかる。火野博士の遺体を見た時ですらも毅然とした態度を崩さなかった彼女が、あからさまな動揺を見せることに私は恐怖を覚えた。何か、良くないことがあったんじゃないか。
 その恐怖は、電話が終わるまで晴れなかった。
 それから数分後、じっくりと話して副島さんが電話を終えた。それと同時に、全員が警察に何を言われたかを聞こうとするが、それよりも先に副島さんが言葉を発した。
「警察がとりあえず今夜には、こっちへ来られないようです」
 副島さんのその言葉は、そこにいる全員を絶望に叩き落すには十分な効果があった。
「ど、どういうことですか? 警察が来られないとは」
 新見博士は冷静をよそっているが、額には汗がにじんでいる。冷房が効いたこの部屋だから、その汗は暑さによるものではないだろう。
「警察の皆さんは、通報があってからすぐに近くの交番から警官を向かわせてくれたそうです。ですが……皆さんも通ってきた山道の途中にある吊り橋が焼け落ちているとその警官から報告があったということを教えていただきました」
 副島さんの言葉に合わせて、私の想像は働く。吊り橋が焼けて落ちるシーンがまるで映画のように脳内で再生された。その炎はうなるように橋を飲み込んで、そのまま谷底へと落ちていく。
 しかし、なぜここまで炎の映像が鮮明に再生できるのだろう……そう考えた私は、海の上で燃える炎を思い出した。とりあえずは副島さんの話が終わるまでは口を塞いでおく。
 副島さんは一息をついて、再び電話の内容について話し始めた。
「とにかく、橋が通れない以上は今夜中の到着は無理だそうです。できれば、全員が固まって夜を明かすか、鍵のかかる部屋で眠る方がいいと言われました。それぞれ、研究所の職員にも一人ずつしっかりとした鍵のかかる部屋はあります。心配であれば南京錠などもお貸しします。もちろん、誰かと一緒に夜を過ごされることをこちらからやめさせることはいたしません。どうされるかは、ご自身でご決断ください」
 副島さんは、きっぱりとそういった。確かに部屋には鍵がかかるし、全員で集まって眠るのとどちらが怖いかと言われれば、私は断然集まって眠る方が怖かった。それに、やはり焼死という部分がどうしても引っかかってしまい、他殺説を自分の中で完全に信じ切ることもできない。いるかもわからない犯人に怯えて眠れないなんてことは避けたかった。ただでさえ、女性というだけで体力、筋力的なハンデを抱えているのだ。


スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む 出題編1-5


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



 そう言いたい気持ちを誰もが抱えながら、しかし誰も口にせずに廊下をすすむ。ありえないことが、立て続けに起こっている。火野博士が亡くなったこと、そして海に浮かぶ謎の炎。 
 しかし、全員の興味がすでに火野博士から謎の炎へと傾いていることは、肌で感じた。ここにいる人間は皆、もともとは好奇心を突き詰めた生き方をしてきた人たちだ。あんなものを見せられて、興味を抱かないわけがない。
「その角を曲がると、火野博士のいる研究室です」
 副島さんが先頭を歩く新見博士と岩塚さんに声をかけた。その声に、こちらを振り向かずに頷く二人。そのまま彼らが角を曲がるのに続いて、全員が曲がり終えたあたりで私の視界にも再び研究室の看板が映った。先ほどは気が付かなかったが、部屋の周りには全くと言ってもいいほどに違和感がない。この先にある部屋で人が亡くなっているなんて言われても、普段の私ならまず信じないだろう。
「火野博士、開けますよ?」
 岩塚さんが、手の甲でドアを軽く三度叩く。その礼儀に意味はないとしても。
 研究室のドアが開き、ここもやはり違和感のない部屋が広がっている。しかし、それは左の方向を見るまでの話だ。そこには、先ほどとまったく同じように燃え尽くした一つの遺体があった。
「これは……」
 それを発見した瞬間に全員が声を失った。最初に部屋に入った新見博士がポケットから手袋を取り出してそれを装着し、遺体に触れる。脈、そして呼吸を確かめるがそれらは当たり前のように動いていなかった。まるで、博士が人形を相手におままごとをやっているような気味の悪さを覚えるほどに。
「ど、どうだい。新見君」
 西野博士も結果はわかっていながら、蜘蛛の糸にすがるようにか細い声で問いかけた。しかし、新見博士は首を横に振る。
「残念ですが、亡くなっています」
そういって脈を図るために掴んだ腕をそっと地面へとおろした。おろされた手に生えた指は、降ろした衝撃以外で動くことはなかった。
「副島さん。通報をお願いします」
 新見博士は、虚空に向かってそういった。
「わかりました」
 副島さんはひたすら冷静に、受話器を耳につけて話し始めた。
その時だった、甲斐博士が何かを発見したように指をさす。
「なによ、あれ!」
 その声には悲鳴が混じっていた。私はあわてて指のさす方向を見ると、そこには奇妙なものがあった。それは、危険なものを扱う実験室には無駄なものを置かないという常識を破るようなものだった。
「あれは、牛の剝製ですか?」
 見たところそれは、何かの骨みたいだった。私は剥製に詳しくないけども、岩塚さんのいうところには火野博士が趣味として飾っていた剥製らしい。
「どういうことだ? ダイイングメッセージなのか?」
 ダイイングメッセージ。一般的な殺人事件の被害者が死ぬ直前に書き残したメッセージで犯人を特定する手掛かりになるようなものだ。しかし、犯人にメッセージを残していたことがばれてしまうとそれを消されてしまうかもしれないため、あまりにも直接的に犯人を示すことはない。
「でも、牛?」
 牛という言葉に、思い当たるものはなかった。牛が名前に入る人物もいなければ、生物学や遺伝化学などを研究している人物もいない。いったい、どういう意味だろうか。
 その時、誰かがぼそっとこう言った。
「もしかして、ファラリスの牡牛?」
 その言葉が妙に引っかかった。ファラリスとはいったい?
 しかし、その言葉を気に留めたのはどうやら私だけのようだった。 
 その後は電話に出た警察の指示に従って、全員で視界の開けた場所。先ほどまでいた会食場で警察の到着を待つことになった。警官が派遣されてる来ることを知って全員の表情が少し緩んだのがわかる。私も少しだけ頬の緊張は解けていた。
「とりあえず、警察の言うとおりにこの部屋に固まっていた方が良いんじゃないかな。確かにここは都会から離れてはいるが、就寝時間までには到着してくれるだろう」
 まだ時刻は八時を少し過ぎたところだ。警察内部でどのようなプロセスをたどって警官の派遣ということになるのかわからないが、少なくともこの部屋に全員が集合している限りは次の犠牲者が現れる可能性を限りなく減らすことが出来るのは間違いない。
「夜中にあんな橋を渡るのは、とうていごめんだね」
 誰かが軽口を飛ばすが、それに笑えるほど全員が調子を取り戻したわけではなさそうだ。
 確かに、この火野研究所と外部をつなぐ道の途中にある吊り橋。私は高所恐怖症ではないから問題なかったが、警官の人は行けと言われれば、怖くても渡らなければいけないのだろうか。さすがにそれは、可哀想ではある。人殺しのいる現場に向かうよりは、ましだろうか。
「それでだ、警察が来るまでじっとしていても何もいいことは無いんだから、少しでも捜査をスムーズにできるように協力しようじゃないか」
 そう言ったのは、西野博士だった。
「協力?」
 全員の頭上に疑問符が浮く。
 私はどうやらこの場は西野博士がまとめてくれるようだということだけを理解した。
「ああ、少しでも情報をまとめておくんだよ。まずは、火野博士が最後に目撃された時間だが、それぞれが火野博士を最後に目撃した時間を教えてもらえるかな?」 
 西野博士がそう問いかけるが、誰も率先して答えようとはしなかった。そして西野博士の視線が、どうしてかはわからないが、こちらに向いたことに気がついた。それに続いて、そこにいた全員が私に向かって視線を向けてくる。なんだか、不気味だった。
 私は小さな声で、
「私は、火野博士にお会いしたことはありません」
 そう答えるのに、精一杯だった。別に後ろめたいことなんて何もないのに、体がすくんでしまう。私に続いて口々に最後に火野博士と会った時間を言うはず……だと思ったのだが。
「私も、今日は火野博士と会っていません」
 全員が口々に答えるばかりだ。このことには私だけでなく全員が困惑している。これでは話にならない。ひとり、ひとりと答えていくうちに混乱が深まっていく。
「どういうことだ? 少なくとも今日、招かれた客人は全員が火野博士に挨拶をするどころか見かけてすらいないのか?」
 話をまとめると、副島さんが夕食の準備が始まる午後四時くらいに研究室にいるところを目撃。その後、火野博士が研究室からおそらくトイレで席を外したのを井野さんが目撃している。
 時刻は正確にわからないらしいが午後五時にはなっていなかったらしい。
 そして、研究室に用事があって出入りした岩塚さんと井野さんがそれぞれ五時半と五時五十分ごろに見かけたらしい。目撃した時はまさか亡くなるなんて思えないほど、普段通りの火野博士であったと全員が話した。
「しかし、来客の誰もが火野博士を目撃していないというのはおかしな話だな。話を聞く限りは別に火野博士も自室に閉じこもっていたわけでもないだろうし、それなら偶然、出くわしてもおかしくないだろう」
 私は部屋につくなり眠ってしまったので正確な状況はわからないが、最初に出会ったムーシェ博士はこの研究所内を散歩することを楽しんでいたように見えたし、他の博士たちも部屋につくまでに遠くからではあるが見かけている。これだけの人数がいて来客と所員の明確な区別をもって火野博士を目撃しているかどうかが別れるのは、変な話だ。
「ちなみに聞きたいんだけれども、岩塚君と井野君は二人ともが火野博士を目撃した段階で言葉を交わしたのかな?」
 そう新見博士が聴くと、二人とも首を横に振った。
「いえ、集中している様子でしたから背中を見ただけです」
 そもそも、私たちは火野博士によってここに招かれている。まあ、私なんて前島教授の代役でしかないのだから別に構わないのだが、他の博士を見かければ挨拶くらいはするだろう。西野博士やムーシェ博士あたりは火野博士よりも年長でもあるのだから、それが礼儀というものだ。夕食のときにまとめて挨拶をしようと考えていたのかもしれないが、廊下で出くわして何も言わずに立ち去るのは無礼だし気まずいだろう。
「火野博士はあまり普段から外に出るような方ではなかったですが、それにしても不思議な話ですね。まるで、火野博士が来客に会うことを避けていたような」
 副島さんは淡々とそう答えた。さっきから感情をあまり読み取れない。
 きっとそれだけ、火野博士が亡くなったショックが大きいのだろう。私も、前島教授が急に亡くなるようなことがあればどうなるだろうか。想像もつかない。副島さんのように淡々としている気もするし、発狂して泣きわめく気もする。きっと、彼女が冷静でいられるのは責任感によるところも大きいだろう。
 火野博士が亡くなったことで、有無を言わさずこの場所は人が亡くなった研究所であり、その最高責任者は自動的に副所長である副島さんになる。もちろん、今の恐怖におびえることも大切だが、この先のことも考えなければいけない。最高責任者である火野響介を失って、この研究所がどうなるのか。ぼんやりと洋風の作りをした室内を眺めると、まるで建物が不気味に笑った気がした。
 少なくとも、世間から好奇の目にさらされることは間違いないだろう。火野という名前の研究者が焼死体となって見つかった、なんていくらでも駄洒落を絡めたネットニュースのタイトルがつけられそうだ。そうなれば、この辺境で研究に打ち込むことも難しくなる。
 そもそも、この研究所自体が財源である火野博士を失うことで立ち行かなくなる可能性もある。なら、自分を含めた残りの三人はその先をどう生きる? 
 考えなければならないことは部外者である私にもいくつか思い浮かぶほどにたくさんあった。
 そんな副島さんの状態を気にかけることはせず、西野博士は議論を進める。それがなんだか、ひどく焦っているように見えたが、気のせいだろうか。
「まあ、火野博士がここの所員以外と誰もあっていないことは不思議ではあるが、そこは一度、おいて話をしよう。じゃあ、火野博士が遺体となってから最初に発見されたのはいつだろうか、それを次は教えてもらえるかな?」
 西野博士がひとりずつ顔を見て、無言で問いかける。私の顔は自然とある一人の人物に向く。それに気づいた人が同じ方向を見て、最終的には一人の人物に視線が注がれる。彼はひどく居心地が悪そうだ。
「井野君、その時の状況を説明してもらってもいい?」
 井野さんは、名前を呼ばれた瞬間に少しだけ驚いて体が震えたのがわかった。ガタンと、彼の座る椅子が音を立てた後に、彼は少しずつ話し始めた。
「ぼ、僕が火野博士の遺体を見かけたのは副島さんに指示されて火野博士を呼びに行った時です。西野博士も、同席していましたよね?」
「それだと、おおよそ七時半くらいになるのかな」
 西野博士は腕時計を見て確認している。その時の様子は、他ならぬ私自身が隣で見ていたので間違いはないだろう。井野さんも一度だけ小さくうなずいて、再び話を始めた。
「それで、いつも通りに火野博士のいるはずの研究室へ向かったんですが、その途中には全くと言ってもいいほど普段と違うところなんて感じなかったんです。ドアを開ける前にノックをして中に確認をとっても、火野博士は熱中されると周りの声が聞こえなくなるタイプでしたから、返事がないことにも違和感はありませんでした。そして、ドアを開けると床には、火野博士の遺体が転がっていたんです」
「それで、あの悲鳴を聞いた私たちが駆けつけてきたところに合流したという流れね。まあ、私も普段の火野博士がどのような行動をするかはある程度、把握している。だからこそ、今の井野君が話したことに引っかかることはなかったわ」
 副島さんがきっぱりとそう告げると、安心したのか井野さんは頬の緊張が少し緩んだ。
「なるほどな……じゃあ、遺体の第一発見者は井野君でいいのかな? それとも、他の人で誰か火野博士の遺体を七時半よりも以前に見かけた人は?」
 西野博士は、まるで学生たちに質問があるかを問うように右手をあげながら見渡した。しかし、誰も手を挙げるものはいない。
「つまり、最初に遺体を目撃したのも最後に火野博士が生きている姿を見かけたのも井野君でいいのかな?」
 西野博士がそう言ったとたんに、部屋が凍り付いた。
 全員の冷たい視線が刺すように彼を睨む。正確に言えば睨んでいたわけではないだろうけど、少なくとも井野さんはそう感じただろう。再び、顔がこわばった。
 私はそれを見ていられなかった。
 確かに、この状況だと井野さんを疑うことは理解できるが、あまりにあからさまだともしも違ったときに井野さんが可哀想だ。しかも、もし井野さんが犯人だったとしても下手に追い詰めるのは避けた方がいい。もしも井野さんが自暴自棄になればこの研究所内にあるようなものを使い、私の持つ知識でもこの建物ごとを木っ端みじんに吹き飛ばすことができるだろう。 
 私はそれを避けるために、思考を巡らせると一つの結論にたどり着いた。
「そういえば、なぜか他殺みたいな雰囲気になっていますけど、事故や自殺の可能性はありませんか?」
 私がそう言ったら、いたたまれない様子の井野さんがこちらをまるで救世主でも見るような目を向けるものだから、なんとリアクションしていいのかわからなかった。
 しかし、それ以外の視線はほとんどが井野さんに向けられていたままの冷ややかな視線だった。ここで、事故や自殺説を持ち出すことは犯人をかばうことに他ならない。
「あんまり一つの考えばかりに固執すると良くないですし……」
「まあ、そうよね」
 甲斐博士は私の意見に納得はできないでいたが、同意するような言葉を口にした。おそらく、私を少しでも擁護しようとしてくれたのだろう。
 そのため、私はここで説を持ち上げるだけなどできるわけもない。私の立場が不利になるし、科学者としても自身の論を発表するには、まずそれを思いついた経緯などを話してから、結果を言う必要がある。これは社会に出ても通じる話だ。私はそれを持たない。ただ、思いつく限りの言葉を紡ぐしかなかった。
「すべてが仮定の話で申し訳ないんですが、そもそも人を殺害するときに焼き殺すなんて方法を使いますか?」
 まず、私が思いついたのはここだった。こんなことを言うとサイコパスかもしれないが、人なんてナイフを心臓や首に突き立てるだけで簡単に死に至る。
 しかも、棚に並んでいた瓶に書いてある薬品の名前も、私がぱっと見るだけでも人を殺害するのに十分、有害なものばかりだった。私なら、それを飲ませる。それなら、薬品を誰が準備したのかもわからない。
 逆に、焼くなんて面倒な方法をとるのなら、それなりに理由が必要だ。
「確かに……その通りだな」
 こう言ったときに、頭の良い人はこちらの主張が筋の通ってあるものであればあるほど理解が早くて助かる。
「じゃあ、事故の可能性は?」
 誰かがそう声をあげた。確かに、他殺でない限りは次に考えるべき可能性は事故だ。研究所なのだから、それこそ事故なんて起こってもおかしくない。しかし、これはすぐに否定された。
「人が燃えるほどの事故なら、誰かが気づくでしょう。確かにその時間にはあまりその近くには人がいなかったけれど、それでも火野博士が助けを求めるでしょうし、事故の可能性も薄いわね」
 甲斐博士がそう言って事故の線を断じた。それに反論するものは、いない。
 なら、次に考えるべきは……自殺説だ。
「しかし……自殺って線が最も考えづらいのも確かよね。副島さんは何か、火野博士が自殺をするような素振りは見えなかった?」
 甲斐博士は副島さんに向かって問いかけるが、副島さんは首を横に振るばかりだ。
 なにせ、パーティーとしてこんな場所に化学界の著名人を集めたところで自殺をするなど考えづらい。あるとすれば、西野博士たちを集めて自殺をすることで話題性を呼ぶことくらいしかない。その説はあまりにも苦しかったけど、逆に言えばそれくらいしか思いつかないほどに自殺をする可能性が思い当たらない。
 そこで、議論が停滞する。もう、誰も新たな説を唱えることができないでいた。最も可能性が高い他殺は、焼死という殺し方に不可思議な点がある。
 なら事故や自殺という線を考えても、それもおかしい。
 誰も言葉を発さなくなった時だった。副島さんがポケットに入れていた電話が、けたたましい音を立てて着信を知らせた。副島さんは落ち着いた態度でこちらに視線を向けて確認を取り、電話をとった。
「もしもし、火野研究所の副島です。警察の方ですか?」
 副島さんの言う、火野研究所という言葉の響きが妙に耳に残った。
「えっ! は、はい。わかりました。でも、私たちはどうすれば……」
 電話口で応対する副島さんの様子は、明らかに動揺しているのがわかる。火野博士の遺体を見た時ですらも毅然とした態度を崩さなかった彼女が、あからさまな動揺を見せることに私は恐怖を覚えた。何か、良くないことがあったんじゃないか。
 その恐怖は、電話が終わるまで晴れなかった。
 それから数分後、じっくりと話して副島さんが電話を終えた。それと同時に、全員が警察に何を言われたかを聞こうとするが、それよりも先に副島さんが言葉を発した。
「警察がとりあえず今夜には、こっちへ来られないようです」
 副島さんのその言葉は、そこにいる全員を絶望に叩き落すには十分な効果があった。
「ど、どういうことですか? 警察が来られないとは」
 新見博士は冷静をよそっているが、額には汗がにじんでいる。冷房が効いたこの部屋だから、その汗は暑さによるものではないだろう。
「警察の皆さんは、通報があってからすぐに近くの交番から警官を向かわせてくれたそうです。ですが……皆さんも通ってきた山道の途中にある吊り橋が焼け落ちているとその警官から報告があったということを教えていただきました」
 副島さんの言葉に合わせて、私の想像は働く。吊り橋が焼けて落ちるシーンがまるで映画のように脳内で再生された。その炎はうなるように橋を飲み込んで、そのまま谷底へと落ちていく。
 しかし、なぜここまで炎の映像が鮮明に再生できるのだろう……そう考えた私は、海の上で燃える炎を思い出した。とりあえずは副島さんの話が終わるまでは口を塞いでおく。
 副島さんは一息をついて、再び電話の内容について話し始めた。
「とにかく、橋が通れない以上は今夜中の到着は無理だそうです。できれば、全員が固まって夜を明かすか、鍵のかかる部屋で眠る方がいいと言われました。それぞれ、研究所の職員にも一人ずつしっかりとした鍵のかかる部屋はあります。心配であれば南京錠などもお貸しします。もちろん、誰かと一緒に夜を過ごされることをこちらからやめさせることはいたしません。どうされるかは、ご自身でご決断ください」
 副島さんは、きっぱりとそういった。確かに部屋には鍵がかかるし、全員で集まって眠るのとどちらが怖いかと言われれば、私は断然集まって眠る方が怖かった。それに、やはり焼死という部分がどうしても引っかかってしまい、他殺説を自分の中で完全に信じ切ることもできない。いるかもわからない犯人に怯えて眠れないなんてことは避けたかった。ただでさえ、女性というだけで体力、筋力的なハンデを抱えているのだ。