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とは言ったものの……嗅覚を頼りにずっとそいつの足取りを追ってはみたものの、歩いて30分くらいの町外れにぽつんと……って森じゃねーか!
まあ俺たちが住んでるとこだけが駅があったりでかなり都会っぽいだけであって、こーやってちょっと外れちゃうだけで思いっきり田舎になっちゃうんだよね。田んぼもあるし。
スマホを見たらもう夕方だし。とりあえずは……いや、コタローはまだまだ大丈夫とは話してるけど、腹の虫の方が許しちゃくれなかった。グーって大きく鳴ったし。
学校もあるし、まずは体勢立て直して明日の夕方にリベンジということにした。
まあ正直なところ、俺も夜の方が活動しやすいしね。ワーウルフにもなれるし。
「コタロー、なんか食べたいものある?」
いいんですか? ってあいつ驚いてた。しかしこんな会話してるとまるで夫婦みたいだ。
「そうですね……すき焼きなんか」

却下。
⭐︎⭐︎⭐︎
コタローは時たま家に泊まっててもいいよ、って姉貴は快諾してくれた。布団は……うん、俺が変な寝方しない限りは大丈夫だと思う。きっと。
まだ学校は半日授業が続いてたので、俺は大急ぎで教室の掃除を終わらせて、ダッシュで家に。
コタローはおかえりの返事もせず、ずっと部屋の奥にいた。あの刀を真正面に構えたままで。ぴくりとも動かず。
しかもすごい表情、鬼気迫るって表現がめっちゃ合うかもしれない。それほどまでにヤバい顔してる。

そばに寄って小さくコタローって呼ぶと、あいつ慌てて刀をしまって「あ、お帰りなさいタケル」だっていつもの優しい顔に戻ってくれた。
「意識を刀に集中してました。今度の戦いは無事では済まないと思って」
「そ、それっていったい……?」
うっすらとは感じていたけどね。あの強いジンを倒した相手だもの。コアラとかイタチより遥かに強いってことは。
「僕ら子供2人で勝てるとは全く思っていません。もしかしたら命を落とす可能性だってあるかも知れないですし。だから……」
この後ゲームとかでいったら「あなたはここに残ってください」なんて言うに決まってる。けどそんなことは絶対に俺は許さない。どんなことがあろうと俺はコタローと一緒に戦うぞって応える気持ちだし。
「だからタケル、おにぎり作ってもらえますか?」
「は、はい……?」予想外の答えに、変な声が出ちゃった。
⭐︎⭐︎⭐︎
トータルでおにぎり6個。中の具は梅干しとおかかしかなかったけど、あいつは最高ですって言ってくれた。森についたら食べましょうって、絶対お腹空くからって。
ちなみに明かり関係は一切持っていかなかった。
月明かりでかなり見通しがいいし、俺はワーウルフの能力の一環で真っ暗闇でも見えちゃうしね。

……とは言ったものの。2人だけでまったく人気のない、鬱蒼とした森の中を歩くのってすっげえええええ怖い! しかも風も冷たくなってきたしで。
だけど、ジンを倒したやつの匂いはここで消えていたんだ。ぷっつりと。
何メートルなのかってほども分からないくらい高い木々が、まるで俺たちを通せんぼするかのようにあちこちに生えている。
まるで迷路のよう、俺たち戻ることできるの? ってつい弱音吐きそうになったとき、コタローがある提案持ちかけてきたんだ、森に入る時にね。
「タケル、靴脱いで森に入ってもらえますか?」
なんなんだいったい、ここはだしで行かないといけないくらいの聖なる場所なのかな? なんてゲーム脳の俺は思ってたんだけど……
「タケルはすごく足が臭いから、もし道に迷っても、道に刻まれた臭いの足跡をたどれば絶対に帰れます……!」

……言い返せなかった。
だって、悔しいけどすごくナイスなアイデアだったから。


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とは言ったものの……嗅覚を頼りにずっとそいつの足取りを追ってはみたものの、歩いて30分くらいの町外れにぽつんと……って森じゃねーか!
まあ俺たちが住んでるとこだけが駅があったりでかなり都会っぽいだけであって、こーやってちょっと外れちゃうだけで思いっきり田舎になっちゃうんだよね。田んぼもあるし。
スマホを見たらもう夕方だし。とりあえずは……いや、コタローはまだまだ大丈夫とは話してるけど、腹の虫の方が許しちゃくれなかった。グーって大きく鳴ったし。
学校もあるし、まずは体勢立て直して明日の夕方にリベンジということにした。
まあ正直なところ、俺も夜の方が活動しやすいしね。ワーウルフにもなれるし。
「コタロー、なんか食べたいものある?」
いいんですか? ってあいつ驚いてた。しかしこんな会話してるとまるで夫婦みたいだ。
「そうですね……すき焼きなんか」
却下。
⭐︎⭐︎⭐︎
コタローは時たま家に泊まっててもいいよ、って姉貴は快諾してくれた。布団は……うん、俺が変な寝方しない限りは大丈夫だと思う。きっと。
まだ学校は半日授業が続いてたので、俺は大急ぎで教室の掃除を終わらせて、ダッシュで家に。
コタローはおかえりの返事もせず、ずっと部屋の奥にいた。あの刀を真正面に構えたままで。ぴくりとも動かず。
しかもすごい表情、鬼気迫るって表現がめっちゃ合うかもしれない。それほどまでにヤバい顔してる。
そばに寄って小さくコタローって呼ぶと、あいつ慌てて刀をしまって「あ、お帰りなさいタケル」だっていつもの優しい顔に戻ってくれた。
「意識を刀に集中してました。今度の戦いは無事では済まないと思って」
「そ、それっていったい……?」
うっすらとは感じていたけどね。あの強いジンを倒した相手だもの。コアラとかイタチより遥かに強いってことは。
「僕ら子供2人で勝てるとは全く思っていません。もしかしたら命を落とす可能性だってあるかも知れないですし。だから……」
この後ゲームとかでいったら「あなたはここに残ってください」なんて言うに決まってる。けどそんなことは絶対に俺は許さない。どんなことがあろうと俺はコタローと一緒に戦うぞって応える気持ちだし。
「だからタケル、おにぎり作ってもらえますか?」
「は、はい……?」予想外の答えに、変な声が出ちゃった。
⭐︎⭐︎⭐︎
トータルでおにぎり6個。中の具は梅干しとおかかしかなかったけど、あいつは最高ですって言ってくれた。森についたら食べましょうって、絶対お腹空くからって。
ちなみに明かり関係は一切持っていかなかった。
月明かりでかなり見通しがいいし、俺はワーウルフの能力の一環で真っ暗闇でも見えちゃうしね。
……とは言ったものの。2人だけでまったく人気のない、鬱蒼とした森の中を歩くのってすっげえええええ怖い! しかも風も冷たくなってきたしで。
だけど、ジンを倒したやつの匂いはここで消えていたんだ。ぷっつりと。
何メートルなのかってほども分からないくらい高い木々が、まるで俺たちを通せんぼするかのようにあちこちに生えている。
まるで迷路のよう、俺たち戻ることできるの? ってつい弱音吐きそうになったとき、コタローがある提案持ちかけてきたんだ、森に入る時にね。
「タケル、靴脱いで森に入ってもらえますか?」
なんなんだいったい、ここはだしで行かないといけないくらいの聖なる場所なのかな? なんてゲーム脳の俺は思ってたんだけど……
「タケルはすごく足が臭いから、もし道に迷っても、道に刻まれた臭いの足跡をたどれば絶対に帰れます……!」
……言い返せなかった。
だって、悔しいけどすごくナイスなアイデアだったから。