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「そりゃあワーウルフの時は瞬発力が大幅に増すのは当たり前のことです。問題は人間の時の動きからですよ」
見て盗めってコタローは言うけど、どこぞの職人の世界じゃないんだし。それに動きが速すぎてマジ分からない。
ンでもってあいつは足の指と土踏まずに感覚集中させろって。
そして、一気に力を抜き、地面を蹴る。
うん、全然分からん。
つーか力抜いちゃったらダメじゃねーか。
コタローはそれがポイントなんですって。

ハァ……どういう仕組みなんだ神速って。

あ、ちなみに今日の晩ご飯は冷やし中華にした。具はとことんコストダウンしたやつだけどね。つまりはコタローの授業料って感じかな。あいつなに作っても美味しいですってすごく喜んでくれて、作ってる方もほんと嬉しい。

けど……そんな修行が始まって3日くらいした時かな。学校帰りの行きつけのスーパーの帰り道、ちょうどジンと目が合ったんだ。
「お前、こういう生き物知ってるか?」って、おもむろにあいつは前足でガリガリと地面に蛇みたいな、胴が長くてそこに手足が生えてる変なものを書いたんだ。
「なんで蛇に足がついてるの?」
「あァ? ヘビじゃねえ! それくらい俺だって分かる」
ますますわかんねーし!
んで、この謎生物がいったいどーしたっていうんだろ?
「この家のババアが散歩に連れ出す時、いろんな種族と顔合わせるんだ」
種族……ああ、ほかに散歩してる犬のことね。
「そいつらがメシを横取りされたり、ひどい時には襲われたりするらしいんだ」
この生き物に? と例の謎の蛇を指したらそうだって。
つまりは外飼いの犬か。確かにご飯取られるのはヤバい問題だな。

「あいつらは人間と話すことができない……分かるよな?」ジンはちょっと寂しそうな目で俺のことを見つめてきた。
もちろん言ってることは分かる、けどそれがいったい?
「けっ、ほんと鈍感だなお前は」
嫌味ったらしい言葉を吐いて、またジンは続けた。
「いいか、これは俺の仲間の死活問題だ、とにかくこいつらを捕まえるなり退治するなり対処しなけりゃならねーんだ!」
「お前と一緒にヘビ退治手伝えってことか? たかが変なヘビじゃん!」

「ちがう!」
怒鳴りつけたんじゃない。頭の中に響く強烈な咆哮のような一喝。思わず俺も腰抜かしそうになった。
「あ、いや……ついカッとなっちまった、謝る」
あいつも言葉足らずだったみたい。でもきちんと非を認めるってところに関しては、ジンも少し社交性を学んできたのかな? なんて。

「この変な奴はな、一匹だけじゃねえ」
犬たちの報告をまとめてみると……ちょっとこれはヤバすぎることに俺も気付いたんだ。
数匹まとまって現れる。けど人がいる時には絶対に姿は見せない。そして……
「俺よりちょっと小さいくらいかな」
「色は?」
「茶色だ」
「鳴いたりする?」
「ピーとかキーとか鳴くって話だ」

総括しても……ますますわからねえええ!
なんなんだもう、新種の生物? それとも宇宙から来たとか? もうクイズじゃんこれ!

「これもしかして、イタチかカワウソなのでは?」
突然の助言が後ろから聞こえた。
振り向くとそこには……
「ちょ! なんでコタロー!?」
「お前の友達か? ずいぶんと時代錯誤でボロい格好してるな」

あ、なるほど。
よくよく考えてみたらこの細長い胴体ってイタチとかフェレットじゃん。コタローすげえ!

「ようやく判明したか……全くお前は足が臭いことしか取り柄がねえな」
だからそれは言うんじゃねえええええ!


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「そりゃあワーウルフの時は瞬発力が大幅に増すのは当たり前のことです。問題は人間の時の動きからですよ」
見て盗めってコタローは言うけど、どこぞの職人の世界じゃないんだし。それに動きが速すぎてマジ分からない。
ンでもってあいつは足の指と土踏まずに感覚集中させろって。
そして、一気に力を抜き、地面を蹴る。
うん、全然分からん。
つーか力抜いちゃったらダメじゃねーか。
コタローはそれがポイントなんですって。
ハァ……どういう仕組みなんだ神速って。
あ、ちなみに今日の晩ご飯は冷やし中華にした。具はとことんコストダウンしたやつだけどね。つまりはコタローの授業料って感じかな。あいつなに作っても美味しいですってすごく喜んでくれて、作ってる方もほんと嬉しい。
けど……そんな修行が始まって3日くらいした時かな。学校帰りの行きつけのスーパーの帰り道、ちょうどジンと目が合ったんだ。
「お前、こういう生き物知ってるか?」って、おもむろにあいつは前足でガリガリと地面に蛇みたいな、胴が長くてそこに手足が生えてる変なものを書いたんだ。
「なんで蛇に足がついてるの?」
「あァ? ヘビじゃねえ! それくらい俺だって分かる」
ますますわかんねーし!
んで、この謎生物がいったいどーしたっていうんだろ?
「この家のババアが散歩に連れ出す時、いろんな種族と顔合わせるんだ」
種族……ああ、ほかに散歩してる犬のことね。
「そいつらがメシを横取りされたり、ひどい時には襲われたりするらしいんだ」
この生き物に? と例の謎の蛇を指したらそうだって。
つまりは外飼いの犬か。確かにご飯取られるのはヤバい問題だな。
「あいつらは人間と話すことができない……分かるよな?」ジンはちょっと寂しそうな目で俺のことを見つめてきた。
もちろん言ってることは分かる、けどそれがいったい?
「けっ、ほんと鈍感だなお前は」
嫌味ったらしい言葉を吐いて、またジンは続けた。
「いいか、これは俺の仲間の死活問題だ、とにかくこいつらを捕まえるなり退治するなり対処しなけりゃならねーんだ!」
「お前と一緒にヘビ退治手伝えってことか? たかが変なヘビじゃん!」
「ちがう!」
怒鳴りつけたんじゃない。頭の中に響く強烈な咆哮のような一喝。思わず俺も腰抜かしそうになった。
「あ、いや……ついカッとなっちまった、謝る」
あいつも言葉足らずだったみたい。でもきちんと非を認めるってところに関しては、ジンも少し社交性を学んできたのかな? なんて。
「この変な奴はな、一匹だけじゃねえ」
犬たちの報告をまとめてみると……ちょっとこれはヤバすぎることに俺も気付いたんだ。
数匹まとまって現れる。けど人がいる時には絶対に姿は見せない。そして……
「俺よりちょっと小さいくらいかな」
「色は?」
「茶色だ」
「鳴いたりする?」
「ピーとかキーとか鳴くって話だ」
総括しても……ますますわからねえええ!
なんなんだもう、新種の生物? それとも宇宙から来たとか? もうクイズじゃんこれ!
「これもしかして、イタチかカワウソなのでは?」
突然の助言が後ろから聞こえた。
振り向くとそこには……
「ちょ! なんでコタロー!?」
「お前の友達か? ずいぶんと時代錯誤でボロい格好してるな」
あ、なるほど。
よくよく考えてみたらこの細長い胴体ってイタチとかフェレットじゃん。コタローすげえ!
「ようやく判明したか……全くお前は足が臭いことしか取り柄がねえな」
だからそれは言うんじゃねえええええ!