わら天神宮
ー/ー 鳥居の両脇で、二匹の狛犬が喜んどる。また、参拝者が来よったようで、若い夫婦のしゃべり声が聞こえてきた。でも、参拝する二人には、狛犬の声は聞こえへん。そやから、何も思わんと、笑顔で鳥居をくぐりよった。 わしは、木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)。京の北で、『わら天神宮』とも呼ばれる敷地神社を守護する神や。今日もわしの前で、夫婦が手を合わせた。(どうか、我が子が無事に生まれてきますように) 口には出さないが、二人の願いが聞こえた。わしは目を凝らして、女のお腹をよう見た。すると、ぼんやりと青い魂が見えてきた。そやから、この二人には節のあるわらのお守りを授けることにした。 わしには、母のお腹に宿る赤子の魂の色が見える。青い魂は男の子、赤い魂は女の子になる。そんで、男の子を生む母には節のあるわら、女の子を生む母には節のないわらのお守りを授けるんや。無事に生まれてくるかどうかは母と赤子のがんばり次第やけど、どの夫婦も、わらのお守りをありがたがってくれる。 わらのお守りを受け取った夫婦は、幸せそうに、また鳥居をくぐって出て行った。鳥居の両脇の狛犬は、「がんばりや」と励ましながら、二人を見送った。わしも、あの母が頑張って赤子を生んで……そんで、赤子とともに家族三人でお礼参りに来てくれることを祈っとった。 そんな風にして、わしはお願いをしよる母のお腹に宿る魂を見て、わらのお守りを授けた。
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