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第四部 1話 三代目『青鬼』

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 共同墓地の一角で、一際華やかな墓碑の前。
 ソフィア・ターナーと刻まれている。

 一緒に来たティアナが持っていた花束を墓前に加えた。
 俺は何度も繰り返した黙祷をもう一度捧げる。

 王都に戻ってから一か月後。
 ひとまず状況は落ち着いたと言えるが、未だ気は抜けない。

 新国はますます力を付けている。
 王国と帝国の争いで漁夫の利を取ったと言えるだろう。
 そのどちらとも有利な関係を築いたのだから。

 最近は連合との距離を縮めているらしい。
 ……そうなると、王国は連合と新国のどちらも敵に回すかもしれない。

「よく会いますね」
「どうも」

 目を開くと、声を掛けられた。
 振り返ると、使用人姿の女性が立っていた。

 公爵家の使用人であるユイだった。
 俺たちにとっては孤児院の先輩でもある。

 ユイが同じ墓までやってきて、やはり花束を置く。
 黙祷を捧げ終わるのを待ってから、俺は口を開いた。

「……共同墓地は本人の希望ですか?」
「ええ、名前だけですが。本当は組合に入ることも反対したのですけどね」
「いや、言い出したら聞かないですからね」
「全くです。一度は陛下に直談判までされましたよ……」
「ははは、何ともソフィアらしいですね」
「……貴方が笑います?」
「……すみません」

 ユイの言葉に俺が視線を逸らして謝った。
 隣でティアナが口元を押さえる。

「そ、それにしてもすごい人気ですね」
「人のことは言えないでしょう」
「う」

 供えられた多量の花を示して、話題を変えようとするが失敗した。
 一体何が起きたのか、俺たちのパーティは英雄に祭り上げられていた。

 ……いや、どうせ組合長辺りが犯人なんだけどさ。
 俺たちを王都から追い出した後、色々やってくれたのだろう。

「……じゃあ、また後で」

 俺はそう言って、ソフィアの墓を後にした。
 ティアナがぺこりと会釈をしてついてくる。



 青鬼が目を開くと、そこは薄暗い部屋だった。
 いや、黒い石壁はまるで洞窟の中のような。

「お、起きたか」

 すぐに声を掛けられる。
 青鬼は「ふあぁ」と暢気に欠伸で返事をした。

「調子はどうだ? 三代目」
「……悪くない」

 その姿をキース・クロスが見れば、驚いたことだろう。
 青鬼の魂は真赤に輝いていたのだから。

 どこか遠くで自称『神様で良いや』が舌打ちした。



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 共同墓地の一角で、一際華やかな墓碑の前。
 ソフィア・ターナーと刻まれている。
 一緒に来たティアナが持っていた花束を墓前に加えた。
 俺は何度も繰り返した黙祷をもう一度捧げる。
 王都に戻ってから一か月後。
 ひとまず状況は落ち着いたと言えるが、未だ気は抜けない。
 新国はますます力を付けている。
 王国と帝国の争いで漁夫の利を取ったと言えるだろう。
 そのどちらとも有利な関係を築いたのだから。
 最近は連合との距離を縮めているらしい。
 ……そうなると、王国は連合と新国のどちらも敵に回すかもしれない。
「よく会いますね」
「どうも」
 目を開くと、声を掛けられた。
 振り返ると、使用人姿の女性が立っていた。
 公爵家の使用人であるユイだった。
 俺たちにとっては孤児院の先輩でもある。
 ユイが同じ墓までやってきて、やはり花束を置く。
 黙祷を捧げ終わるのを待ってから、俺は口を開いた。
「……共同墓地は本人の希望ですか?」
「ええ、名前だけですが。本当は組合に入ることも反対したのですけどね」
「いや、言い出したら聞かないですからね」
「全くです。一度は陛下に直談判までされましたよ……」
「ははは、何ともソフィアらしいですね」
「……貴方が笑います?」
「……すみません」
 ユイの言葉に俺が視線を逸らして謝った。
 隣でティアナが口元を押さえる。
「そ、それにしてもすごい人気ですね」
「人のことは言えないでしょう」
「う」
 供えられた多量の花を示して、話題を変えようとするが失敗した。
 一体何が起きたのか、俺たちのパーティは英雄に祭り上げられていた。
 ……いや、どうせ組合長辺りが犯人なんだけどさ。
 俺たちを王都から追い出した後、色々やってくれたのだろう。
「……じゃあ、また後で」
 俺はそう言って、ソフィアの墓を後にした。
 ティアナがぺこりと会釈をしてついてくる。
 青鬼が目を開くと、そこは薄暗い部屋だった。
 いや、黒い石壁はまるで洞窟の中のような。
「お、起きたか」
 すぐに声を掛けられる。
 青鬼は「ふあぁ」と暢気に欠伸で返事をした。
「調子はどうだ? 三代目」
「……悪くない」
 その姿をキース・クロスが見れば、驚いたことだろう。
 青鬼の魂は真赤に輝いていたのだから。
 どこか遠くで自称『神様で良いや』が舌打ちした。