第3話 荘園1
ー/ー
寄生虫
「さて、ついたぞ」とムラーが片手をあげて煌々とした明かりのついている丘陵地の斜面に建つ家を指した。かなり大きい6LDKくらいの一階屋の普通の家に見えた。「この家は俺の荘園の敷地の外だ。この家は荘園に入る人間の隔離棟みたいなものだ。まだお前らを荘園の中に入れるわけにはいかない。消毒をしないとな」と言う。
「消毒?」
「ああ、お前らの体の消毒だ。俺の荘園の人間に移されちゃあかなわないからな。アルテミス、体が痒いだろう?」
「猛烈に痒いわよ。なんなの?髪の毛がムズムズする、それに・・・あそこもムズムズする。何かが這い回っているみたいよ」
「そりゃ、シラミだ。アタマジラミ(頭髪)、ケジラミ(陰毛)、コロモジラミ(着衣)。ノミやダニもいるだろうな」
「ウソ!」
「ウソじゃない。紀元前の世界じゃあ、人間の九割は寄生虫に感染している。体外の寄生虫だけじゃない。消化器官にも寄生虫がうじゃうじゃいる。回虫、蟯虫にサナダムシ。そんなもんを飼っている人間を荘園の中に入れるわけにはいかない。俺の一家の人間に移っちまう」
「ゲェ~、早く消毒してよ」
「まあ、この隔離棟に一週間いてもらって体に巣食っている寄生虫を全部排除する」
隔離棟は地面よりも30センチほど床上げされていた。床は大理石貼りだ。壁はポンペイの遺跡みたいなブルーを基調としたタイルで装飾されている。籐の椅子やソファーが配置されている。二人の女性が待ち構えていた。
「アルテミス、ヴィーナス、彼女たちがお前らの消毒担当だ。俺の奴隷頭だ。彼女がソフィアだ。エチオピア人」と漆黒の肌の長身の女性を紹介した。奴隷頭って何の役目なんだろう?ソフィアがお辞儀をする。「こっちがジュリアだ。ギリシャ人」と赤銅色の肌の小柄な女性を紹介した。
「ソフィア、ジュリア、彼女たちは黒海東岸のアディゲ人(チェルケス人)の族長の娘だ。丁重に扱ってくれ。アルテミスとヴィーナスだ。いつもの通り、一週間、ここで消毒をする」
剃毛
「アルテミス、ヴィーナス、こっちよ」とソフィアが玄関前の部屋から奥の部屋に案内した。広い部屋だ。十メートル四方はあるだろう。タペストリーで仕切られた一画に私たちを連れて行く。そこは水場で、丈の高いベッドが四台並んで置いてあって、銭湯のような浴槽が三つ並んでいた。
「アルテミス、まず服を脱げ。服にもシラミやノミ、ダニがついているから、服は焼いちまう。それで、体中の毛を剃る。髪の毛も脇毛も下の毛もみんなだ。シラミは毛の根本にしがみついて動き回る。だから、まず体中の毛を剃るということだ」
先客がいた。ベッドには素っ裸のアフリカ系の少女が二人、仰向けになっていて、別の少女たちがベッドの彼女たちの脇毛や陰毛をよく研いだ鉄製らしいナイフで剃っている。紀元前のエステ?「ソフィアさん、あの子たちは髪の毛があるじゃない?」「彼女たちは消毒済みで、アタマジラミはいない。髪の毛以外の毛のお手入れをしている。自分でできる場所は自分で剃るけど、手が届かない場所もあるでしょう?一ヶ月に一回くらいはお手入れしにくるのよ」
私とヴィーナスはまず風呂に入らせられた。三つの浴槽は温度が違うのだそうだ。右が冷水槽、真ん中が35℃くらいの微温槽、左が42℃くらいの温水槽。入ったのは左の温水槽だった。こんな熱い風呂に入ったことがないヴィーナスは入るのをためらったが、ジュリアに手をつかまれて無理やり肩まで浴槽に入れられた。私は日本人(元?)なので慣れている。熱いお風呂が気持ちがいい。
お湯に浸かりながらベッドの方の少女を眺めた。仰向けに横たわっている少女に別の少女が熱いお湯に浸して絞った綿のタオルを下腹部に広げた。脚を広げさせられている。下腹部って言っても、そこ陰部よね?横たわっている少女は熱そうだ。「ナイフで毛を剃るのは前処理よ。あれだけじゃあ、毛穴のブツブツが残っちゃう」とジュリアが言う。「次に、熱いタオルで肌を蒸すの。毛穴が開くように。その次にワックス」と壁際のタイル貼りでできたかまどで沸いている青銅製の鍋を指差す。「あれが蜜蜂の巣で作ったエジプト製の蜜蝋ワックス」
ベッド脇で介添えをしている少女がアイランドスタイルのタイル張りのテーブルに幅広の包帯を広げた。ミイラに巻くようなヤツだ。そこに杓子でグツグツした蜜蝋を均等にたらしていく。フーフーと包帯を吹いて、半分固まるぐらいで、少女の陰部に包帯を貼る。少女はあまりの熱さに唇を噛み締めている。しばらくして、蜜蝋が固まったようで、少女が遠慮なく、包帯を引き剥がす。手伝っていた少女二人がその女の子の手足を押さえつけている。あまりの痛さに少女が背をそらすが、手足を掴まれていて、動けない。これは、脱毛法のブラジリアンワックスじゃないの!
「ほら、アルテミス、ヴィーナス、これがムダ毛処理よ」イヤだ!イヤ!「じゃあ、アルテミス、ヴィーナス、あなたたちも横になってね」風呂から出て、ベッドに寝かされた。ソフィアとジュリアが私たちの髪の毛をバッサバサと切る。「根本にシラミがいるから五分刈りまで切るわ」と言われる。ショートカットどころじゃない。甲子園の球児並だ。「お姉様、私の髪の毛が・・・」とヴィーナスが涙ぐむ。
介添の少女が即座に箒とちりとりで髪の毛を集めていく。「髪の毛も服と一緒に焼却処分にする。シラミとその卵が巣食っているから」とソフィア。
髪の毛がバッサリ切られた。次に腕を頭の上にあげさせられて脇毛を剃られる。ソフィアが「今まであまり脱毛してこなかったようね。でも、コーカサス人なのでムダ毛も薄い。全身くまなく脱毛しましょう。キレイにしておかないとシラミがわくから。アソコの毛もおケツの毛もキレイにしましょうね」とソフィアに全身くまなく剃毛された。うつ伏せにされて「お尻を自分で広げるの!」とお尻を広げさせられる。「切れ痔になりたくないんだったら動くんじゃないよ。ここは剃るのが難しいんだ」紀元前で羞恥プレイをさせられるとは思わなかった。
仰向けにされる。少女がやられていたように熱いタオルで肌を蒸された。そして、ワックス。すね毛はもちろんのこと、ひっくり返されたヒキガエルみたいに脚を開かされて、陰部に蜜蝋をたらした包帯が押し当てられた。熱いなんてもんじゃない!アソコがただれてしまう!そして、ベリベリっと包帯を剥がされる。
おケツの毛なんて、四つん這いにされ脚を広げさせられて、肛門から縦筋、あそこまで、ベリッとやられた。ベリッ!だ。全身が因幡の白うさぎになった。私、肛門なんて他人に見せたことないのよ!
「痛い!痛い!痛い!」と私もヴィーナスも悲鳴をあげた。でも、ソフィアは容赦なかった。「終わったわ。もう、全身、ツルッツルだわ」と嬉しそうに私の肌をなで上げた。痛い!
その後、香油を全身に塗られて、ギリシャ神話の女神のような服を着させられる。ソフィアが銅鏡を差し出して「さあ、アルテミス、見てご覧なさい。キレイよ」と言う。
鏡を見た。そうか、銀を蒸着した鏡なんてこの時代ないのね。銅をツルツルに磨いて鏡にしていたんだ。紀元前であることを実感した。
自分の顔をちゃんと見たことがなかったが、当たり前のことにヴィーナスと生き写しだ。クロエ・グレース・モレッツに似ているじゃない?と思った。ソフィアが「髪の毛が伸びたら、黒髪に染めようかね?」と言う。「金髪のままじゃダメなの?」「売春婦と間違われるからねえ」「?」
古代ローマ社会では、売春は合法であり、娼婦の多くは下層階級や奴隷の女性で、ローマ市民に見下される傾向にあった。一般民の女性たちが娼婦と間違われないように、娼婦は髪を金髪に染めることが義務付けられた。なぜ金髪かというと、初期のローマ(帝政ローマ以前)では、純粋なローマ人として生まれた女性は基本的に黒髪であり、金髪は未開な野蛮人(私たちのようなコーカサス人)とされた人々に特徴的な髪色だったからだそうだ。つまり、金髪で緑の眼の私やヴィーナスはこの時代では野蛮人で売春婦階層の部類と見られるのだ。
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《《寄生虫》》
「さて、ついたぞ」とムラーが片手をあげて煌々とした明かりのついている丘陵地の斜面に建つ家を指した。かなり大きい6LDKくらいの一階屋の普通の家に見えた。「この家は俺の荘園の敷地の外だ。この家は荘園に入る人間の隔離棟みたいなものだ。まだお前らを荘園の中に入れるわけにはいかない。消毒をしないとな」と言う。
「消毒?」
「ああ、お前らの体の消毒だ。俺の荘園の人間に移されちゃあかなわないからな。アルテミス、体が痒いだろう?」
「猛烈に痒いわよ。なんなの?髪の毛がムズムズする、それに・・・あそこもムズムズする。何かが這い回っているみたいよ」
「そりゃ、シラミだ。アタマジラミ(頭髪)、ケジラミ(陰毛)、コロモジラミ(着衣)。ノミやダニもいるだろうな」
「ウソ!」
「ウソじゃない。紀元前の世界じゃあ、人間の九割は寄生虫に感染している。体外の寄生虫だけじゃない。消化器官にも寄生虫がうじゃうじゃいる。回虫、蟯虫にサナダムシ。そんなもんを飼っている人間を荘園の中に入れるわけにはいかない。俺の一家の人間に移っちまう」
「ゲェ~、早く消毒してよ」
「まあ、この隔離棟に一週間いてもらって体に巣食っている寄生虫を全部排除する」
隔離棟は地面よりも30センチほど床上げされていた。床は大理石貼りだ。壁はポンペイの遺跡みたいなブルーを基調としたタイルで装飾されている。籐の椅子やソファーが配置されている。二人の女性が待ち構えていた。
「アルテミス、ヴィーナス、彼女たちがお前らの消毒担当だ。俺の奴隷頭だ。彼女がソフィアだ。エチオピア人」と漆黒の肌の長身の女性を紹介した。奴隷頭って何の役目なんだろう?ソフィアがお辞儀をする。「こっちがジュリアだ。ギリシャ人」と赤銅色の肌の小柄な女性を紹介した。
「ソフィア、ジュリア、彼女たちは黒海東岸のアディゲ人(チェルケス人)の族長の娘だ。丁重に扱ってくれ。アルテミスとヴィーナスだ。いつもの通り、一週間、ここで消毒をする」
《《剃毛》》
「アルテミス、ヴィーナス、こっちよ」とソフィアが玄関前の部屋から奥の部屋に案内した。広い部屋だ。十メートル四方はあるだろう。タペストリーで仕切られた一画に私たちを連れて行く。そこは水場で、丈の高いベッドが四台並んで置いてあって、銭湯のような浴槽が三つ並んでいた。
「アルテミス、まず服を脱げ。服にもシラミやノミ、ダニがついているから、服は焼いちまう。それで、体中の毛を剃る。髪の毛も脇毛も下の毛もみんなだ。シラミは毛の根本にしがみついて動き回る。だから、まず体中の毛を剃るということだ」
先客がいた。ベッドには素っ裸のアフリカ系の少女が二人、仰向けになっていて、別の少女たちがベッドの彼女たちの脇毛や陰毛をよく研いだ鉄製らしいナイフで剃っている。紀元前のエステ?「ソフィアさん、あの子たちは髪の毛があるじゃない?」「彼女たちは消毒済みで、アタマジラミはいない。髪の毛以外の毛のお手入れをしている。自分でできる場所は自分で剃るけど、手が届かない場所もあるでしょう?一ヶ月に一回くらいはお手入れしにくるのよ」
私とヴィーナスはまず風呂に入らせられた。三つの浴槽は温度が違うのだそうだ。右が冷水槽、真ん中が35℃くらいの微温槽、左が42℃くらいの温水槽。入ったのは左の温水槽だった。こんな熱い風呂に入ったことがないヴィーナスは入るのをためらったが、ジュリアに手をつかまれて無理やり肩まで浴槽に入れられた。私は日本人(元?)なので慣れている。熱いお風呂が気持ちがいい。
お湯に浸かりながらベッドの方の少女を眺めた。仰向けに横たわっている少女に別の少女が熱いお湯に浸して絞った綿のタオルを下腹部に広げた。脚を広げさせられている。下腹部って言っても、そこ陰部よね?横たわっている少女は熱そうだ。「ナイフで毛を剃るのは前処理よ。あれだけじゃあ、毛穴のブツブツが残っちゃう」とジュリアが言う。「次に、熱いタオルで肌を蒸すの。毛穴が開くように。その次にワックス」と壁際のタイル貼りでできたかまどで沸いている青銅製の鍋を指差す。「あれが蜜蜂の巣で作ったエジプト製の蜜蝋ワックス」
ベッド脇で介添えをしている少女がアイランドスタイルのタイル張りのテーブルに幅広の包帯を広げた。ミイラに巻くようなヤツだ。そこに杓子でグツグツした蜜蝋を均等にたらしていく。フーフーと包帯を吹いて、半分固まるぐらいで、少女の陰部に包帯を貼る。少女はあまりの熱さに唇を噛み締めている。しばらくして、蜜蝋が固まったようで、少女が遠慮なく、包帯を引き剥がす。手伝っていた少女二人がその女の子の手足を押さえつけている。あまりの痛さに少女が背をそらすが、手足を掴まれていて、動けない。これは、脱毛法のブラジリアンワックスじゃないの!
「ほら、アルテミス、ヴィーナス、これがムダ毛処理よ」イヤだ!イヤ!「じゃあ、アルテミス、ヴィーナス、あなたたちも横になってね」風呂から出て、ベッドに寝かされた。ソフィアとジュリアが私たちの髪の毛をバッサバサと切る。「根本にシラミがいるから五分刈りまで切るわ」と言われる。ショートカットどころじゃない。甲子園の球児並だ。「お姉様、私の髪の毛が・・・」とヴィーナスが涙ぐむ。
介添の少女が即座に箒とちりとりで髪の毛を集めていく。「髪の毛も服と一緒に焼却処分にする。シラミとその卵が巣食っているから」とソフィア。
髪の毛がバッサリ切られた。次に腕を頭の上にあげさせられて脇毛を剃られる。ソフィアが「今まであまり脱毛してこなかったようね。でも、コーカサス人なのでムダ毛も薄い。全身くまなく脱毛しましょう。キレイにしておかないとシラミがわくから。アソコの毛もおケツの毛もキレイにしましょうね」とソフィアに全身くまなく剃毛された。うつ伏せにされて「お尻を自分で広げるの!」とお尻を広げさせられる。「切れ痔になりたくないんだったら動くんじゃないよ。ここは剃るのが難しいんだ」紀元前で羞恥プレイをさせられるとは思わなかった。
仰向けにされる。少女がやられていたように熱いタオルで肌を蒸された。そして、ワックス。すね毛はもちろんのこと、ひっくり返されたヒキガエルみたいに脚を開かされて、陰部に蜜蝋をたらした包帯が押し当てられた。熱いなんてもんじゃない!アソコがただれてしまう!そして、ベリベリっと包帯を剥がされる。
おケツの毛なんて、四つん這いにされ脚を広げさせられて、肛門から縦筋、あそこまで、ベリッとやられた。ベリッ!だ。全身が因幡の白うさぎになった。私、肛門なんて他人に見せたことないのよ!
「痛い!痛い!痛い!」と私もヴィーナスも悲鳴をあげた。でも、ソフィアは容赦なかった。「終わったわ。もう、全身、ツルッツルだわ」と嬉しそうに私の肌をなで上げた。痛い!
その後、香油を全身に塗られて、ギリシャ神話の女神のような服を着させられる。ソフィアが銅鏡を差し出して「さあ、アルテミス、見てご覧なさい。キレイよ」と言う。
鏡を見た。そうか、銀を蒸着した鏡なんてこの時代ないのね。銅をツルツルに磨いて鏡にしていたんだ。紀元前であることを実感した。
自分の顔をちゃんと見たことがなかったが、当たり前のことにヴィーナスと生き写しだ。クロエ・グレース・モレッツに似ているじゃない?と思った。ソフィアが「髪の毛が伸びたら、黒髪に染めようかね?」と言う。「金髪のままじゃダメなの?」「売春婦と間違われるからねえ」「?」
古代ローマ社会では、売春は合法であり、娼婦の多くは下層階級や奴隷の女性で、ローマ市民に見下される傾向にあった。一般民の女性たちが娼婦と間違われないように、娼婦は髪を金髪に染めることが義務付けられた。なぜ金髪かというと、初期のローマ(帝政ローマ以前)では、純粋なローマ人として生まれた女性は基本的に黒髪であり、金髪は未開な野蛮人(私たちのようなコーカサス人)とされた人々に特徴的な髪色だったからだそうだ。つまり、金髪で緑の眼の私やヴィーナスはこの時代では野蛮人で売春婦階層の部類と見られるのだ。