ただ、ひたすらに集中しろ。
そんな事を考えながら、俺は無心で手に刃を構え、それを震える手で獲物に向け静かにあてがう。
ズシン……。
程なくし、地鳴りと共に獲物が静かに倒れる音が聞こえる。
「まずは1つ……」
俺は自分を鼓舞するように呟き、次の獲物を探し次々と倒していく。
俺の名前は【春風 力】。
今年、成人したばかりの男性だ。
「まだまだ、こんなもんじゃ全然足りないっ!」
俺は木々の隙間から覗く、澄み切った青空を1人眺め、山に向かって怒りの咆哮を上げる。
「春になると、奴らが……奴らが来る。その前になんとかしないと」
そう、今はまだ冬。
俺は木々の根元の片隅に残った白い塊を見つめ、白い息を静かに吐き1人納得するように頷く。
何故、こんなに俺が怒りの感情をむき出しにしているか。
これには当然深いわけがあり、過去話をしなければならない。