表示設定
表示設定
目次 目次




奴らが来る前に

ー/ー



  ただ、ひたすらに集中しろ。

 そんな事を考えながら、俺は無心で手に刃を構え、それを震える手で獲物に向け静かにあてがう。

 ズシン……。

 程なくし、地鳴りと共に獲物が静かに倒れる音が聞こえる。

「まずは1つ……」

 俺は自分を鼓舞(こぶ)するように呟き、次の獲物を探し次々と倒していく。

 俺の名前は【春風 力(はるかぜ りき)】。

 今年、成人したばかりの男性だ。

「まだまだ、こんなもんじゃ全然足りないっ!」

 俺は木々の隙間から覗く、澄み切った青空を1人眺め、山に向かって怒りの咆哮を上げる。

「春になると、奴らが……奴らが来る。その前になんとかしないと」

 そう、今はまだ冬。

 俺は木々の根元の片隅(かたすみ)に残った白い(かたまり)を見つめ、白い息を静かに吐き1人納得するように頷く。

 何故、こんなに俺が怒りの感情をむき出しにしているか。

 これには当然深いわけがあり、過去話をしなければならない。


スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む あれは1年前のこと


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



  ただ、ひたすらに集中しろ。
 そんな事を考えながら、俺は無心で手に刃を構え、それを震える手で獲物に向け静かにあてがう。
 ズシン……。
 程なくし、地鳴りと共に獲物が静かに倒れる音が聞こえる。
「まずは1つ……」
 俺は自分を|鼓舞《こぶ》するように呟き、次の獲物を探し次々と倒していく。
 俺の名前は【|春風 力《はるかぜ りき》】。
 今年、成人したばかりの男性だ。
「まだまだ、こんなもんじゃ全然足りないっ!」
 俺は木々の隙間から覗く、澄み切った青空を1人眺め、山に向かって怒りの咆哮を上げる。
「春になると、奴らが……奴らが来る。その前になんとかしないと」
 そう、今はまだ冬。
 俺は木々の根元の|片隅《かたすみ》に残った白い|塊《かたまり》を見つめ、白い息を静かに吐き1人納得するように頷く。
 何故、こんなに俺が怒りの感情をむき出しにしているか。
 これには当然深いわけがあり、過去話をしなければならない。