「守る……」
ソルジャーに言われたことが心に響く。
「スーツと解放を引き金に、お前にも《超能力》が発現するはずだ」
「超能力……」
アニメや漫画では多く見る存在だが、現実で聞くと、やはり妙な感覚になる。
「まあ、実感は湧かないだろうが」
「湧きませんね……」
実際にこの目でブレインの電気を見ても、それと似たような力が自分に発現するなんて、想像できない。
「超能力は様々な分類に分けられる。俺なら発電能力、みたいな感じだ」
なるほどと、シンは頷く。
「それにお前は、その片鱗を見せている」
「片鱗?」
「あの時、俺とお前の連撃がぶつかる寸前、お前の中に、別の気配が出てきた」
ブレイン・ストライクの眼は真っ直ぐ、シンの目を見つめる。
「それは竜のような、力の塊」
竜――。ドラゴン……。
ドクン……
「喰らい、壊し、殺す。荒れ狂う天災」
ドクン……
「それは超能力と言えるのかも怪しい力だ」
シンの内側から、何かが、溢れ出る。
「ぐっ……!?」
(なん、だ……誰だ……『お前』は……誰なんだ⁉)
シンにもそれが何なのか分からない。自身の中にいる、一人。
「ガアアアアアアアッッッッッ!!!!!」
身体がその『誰か』に蝕まれていく――。
赤眼・覚醒。しかしその眼光は、獣のよう。見たものすべてに死を振りまく、殺意の瞳。
髪が逆立ち、赤黒いオーラが全身を覆う。
『スーツ・強制解除』
装着していたスーツが外れ、シャツとズボンが出てくる。
「―――――!」
ブレインは日本刀を手にする。
危険となるものを鎮圧するために。
刀術――。
「〝四連光鏡〟」
鏡合わせの四連撃。全てがほぼ同時に放たれたそれは、刃が潰してあるとはいえ死ぬ可能性がある技。
しかしその四連撃は『誰か』に当たる前に、叩き落された。
紛れもない、『誰か』によって。『そいつ』の左手には、光沢を帯びた限りなく黒に近い紺色の大剣が握られていた。
空間には、赤い斬撃の軌跡が。
シンは右利き。それは全く違う存在。
ブレインの剣速は、実に音速以上。しかし『そいつ』の剣速は、それ以上の、神速だった。
――――〝竜王の血飛沫〟(ドラゴンロード=ブラッド)
竜の斬撃は終わっていなかった。一振りから放たれた三連撃がブレインの胴体に直撃する。
真剣を身に喰らって、生きていられるのはソルジャーだけ。それも1stなら、傷一つない――はずだった。
「ガハッ―――!」
ブレインの体には、三つの傷が。自然回復するとはいえ、その攻撃の強さがどれほどの物か。恐らく常人なら一閃を皮一枚で受けたとしても、肉体が吹き飛んでいただろう。赤い軌跡は、正に血。
「有り得ない強さだな……」
ブレインも思わず口に出す。そう、有り得ない。人間、ソルジャーの限界を超えているブレインでさえ、音速以上の剣速を出すのは簡単ではない。
しかし『あいつ』は、その音速の斬撃さえ、叩き落してしまった。
そして『あいつ』が握っている大剣、あれは何処から現れた?ここにはあんな武装はない。そして気が付いたら握っていた。
―――まるで何もないところから突然現れたようだった。
「―――」
『あいつ』の身体が動き出す。それを判断した瞬間、ブレインも刀を振るう。
〝七連光鏡〟
鏡合わせの七連撃。それは正に技そのものが、神器に成り得る。
――しかし。
―――――竜王の殺血(アンリミテッド=ドラゴンロード)
奴の肉体、武具、武技、その両方が神器。
計九回の紅の斬撃。
「お前は――誰だ?」
シンの精神世界に現れたのは、大剣と同じ色のドラゴン。伝説とか、漫画やアニメに出てくるような見た目だが、大きさはそれほどデカくない。精々全長3、4mといった所か。どうしてシンの中にいるのか、それを答える気は、今のドラゴンにはない。
ただ、そいつは――――。
「グルルルル……」
シンに、何かを伝えようとしていた。