大学卒業して就職して、早いもんで社会人三年目ももうすぐ終わる。
仕事は休みの土曜日の夕方。
年度末だから仕事はかなり忙しいけど、休みは休みでちゃんと取れてた。当たり前かもしれないけどやっぱありがたい。
俺は学生時代の友達と飲みの約束あって、家を出たとこだった。そこにちょうど帰って来たらしい、隣に住んでる女の子に声掛けられたんだ。
「
遼くん! どっか行くの?」
中学校の紺のブレザーとプリーツスカートの制服姿なのはいつも通りだけど、胸ポケットにコサージュ、手には黒い筒。
……ああ、そうか。
「友達とちょっとな。今日卒業式だったのか?」
「そうだよ」
愛があっさり頷く。
「まさかひとりだったとか?」
「ううん、違う。式も謝恩会もママと一緒だったけど、夕飯のお買い物するからってそこのスーパーの前で別れたの」
気になって訊いた俺に、愛は首を左右に振った。
なるほど、さすがにそうだよな。
「愛、高校の入学祝いやるよ。何がいい?」
中学の卒業式ってことは次は高校入学だし、志望校に合格したのは聞いてたから。ふと思いついて切り出した俺に、愛は慌てたように手を振った。
「え!? いいよ、悪いもん」
「いやいや、そんな高いのは無理だけどさ。俺の気持ちだから」
遠慮する愛に言葉を重ねる。
「……じゃあね、予算大丈夫だったらスマホのケースがいい。高校入ったらスマホ新しくしてもいいってママが。明日買いに行くんだ」
少し考えたのち、控え目に告げた愛の言葉にジェネレーションギャップを感じる。
今どきは中学生でもフツーにスマホくらい持ってるんだなぁ。俺たちの時代はせいぜいガラケー、それも持ってない奴も別に珍しくなかったし。
いやもちろん、愛がスマホ持ってるのは知ってたけどさ。
「構わないよ。じゃあ今度一緒に見に行くか?」
ケースなんて値段も大したことないだろうし、記念品じゃなくて日常的に使えるからちょうどいいかもな。
誕生日は互いに祝ってるけど、去年の秋の十五歳の誕生日は愛の希望でランチ行っただけでプレゼントはなしだったから。
「ホント!? 嬉しい!」
満面の笑みで心から喜んでる愛の様子に、俺までつられて笑みが溢れた。