第3話 十二月前編
ー/ー 今日からこども会の練習がはじまりました。こども会では、みんなで衣装とかを作って、劇をします。
ぼくたちは『三匹のこぶた』をやります。でも、友達はいっぱいいるので、『たくさんのこぶた』になりました。
ぼくは画用紙でこぶたさんの帽子を作りました。帽子をかぶると、本物のこぶたさんになったみたいで面白かったです。かげ君もこぶたさんの帽子をかぶっていたので、おんなじ役ができて嬉しかったです。
今日は劇で使うお家を作りました。ぼくは木の家を作りました。でも、本物の木じゃなくてダンボールです。ダンボールは木とおんなじ茶色なので、色は塗らなくてもいいかなって思ったけれど、みんなは色塗りをしたそうにしていたので、いっしょに絵の具で色を塗りました。
帰り道で、ぼくは自分の役の練習をしました。家でやると、お母さんに怒られるかもしれないからです。
ぼくのセリフは、「どうしよう、おおかみがやってくる」です。本番でちゃんと言えるかな。かげ君は喋れないけど、きっとちゃんと上手な演技できるだろうな。
今日はいよいよ本番です。みんなでがんばって作ったお家や、かわいいこぶたさんやおおかみさんの帽子を用意して、劇がはじまる前にちょっとだけ最後の練習しました。
大きなお部屋に入ると、いすがたくさん並べられていて、そこにみんなのお母さんやお父さんたちが座っていました。
こんなにたくさんの人に見られながら劇をするのはとても緊張します。失敗しないかドキドキして、劇がはじまるまで下を見ていました。下を見ればかげ君がいるので、ちょっとだけ気持ちが落ち着きました。
劇がはじまりました。まず、最初のこぶたさんたちがわらの家を、次にぼくたちが木の家を、最後にほかのみんながレンガの家を作りました。
いよいよおおかみさんがやってきます。大きな口にギザギザのキバ、ギラギラしてまんまるの目。
「こんな家、ひとふきでこわしてやる!」
おおかみさんがわらの家を吹き飛ばしました。
こぶたさんたちは木の家に逃げてきます。おおかみさんも追ってきます。
「木の家も、ひとふきだ!」
また壊されてしまいました。
「たすけてー!」
ぼくたちはレンガの家に逃げ込みます。
おおかみさんは、また鼻息で家を吹き飛ばそうとします。けれどもレンガの家はとっても丈夫なのでこわれません。
「こうなったら煙突から入ってやる!」
おおかみさんはお家をよじ登ります。とっても演技が上手でした。
ここで、ぼくの番がやってきました。けれど、急に頭が真っ白になりました。どうしよう。どうしよう。失敗しちゃう。お家でも練習できていたら……。心臓がばくばくしています。
緊張して俯くと、かげ君がいました。落ち着いていました。ぼくのセリフなんだっけ。聞きたかったけど、きっとかげ君は答えてくれません。だれも助けてくれない。
ぷるぷる震えて、涙がこぼれそうになって、思わず顔を手で隠しました。
「怖いよね。でも大丈夫。暖炉に火をつけよう!」
ぼくの次のセリフを言うはずの友達が、練習とは違うセリフを言いました。きっとぼくのことを助けてくれたんだと思います。嬉しかったけど、すごく申し訳ないなと思いました。
劇が終わって、席に座っていた人たちは拍手をしてくれたけど、ぼくは失敗してみんなに迷惑をかけちゃったので、あんまり喜べませんでした。
でも、ここにお母さんがいなくてホッとしました。
家に帰るとき、ぼくはその日はもうかげ君と遊びたくありませんでした。
友達なのに、なんで助けてくれなかったんだろう。そんなふうに、友達にいじわるな気持ちを感じる自分がすごく嫌でした。でも、どうしても気持ちが落ち着かなかったので、家に着いたら、すぐにお布団の中にもぐって、真っ暗闇の中で目をつむりました。
ぼくたちは『三匹のこぶた』をやります。でも、友達はいっぱいいるので、『たくさんのこぶた』になりました。
ぼくは画用紙でこぶたさんの帽子を作りました。帽子をかぶると、本物のこぶたさんになったみたいで面白かったです。かげ君もこぶたさんの帽子をかぶっていたので、おんなじ役ができて嬉しかったです。
今日は劇で使うお家を作りました。ぼくは木の家を作りました。でも、本物の木じゃなくてダンボールです。ダンボールは木とおんなじ茶色なので、色は塗らなくてもいいかなって思ったけれど、みんなは色塗りをしたそうにしていたので、いっしょに絵の具で色を塗りました。
帰り道で、ぼくは自分の役の練習をしました。家でやると、お母さんに怒られるかもしれないからです。
ぼくのセリフは、「どうしよう、おおかみがやってくる」です。本番でちゃんと言えるかな。かげ君は喋れないけど、きっとちゃんと上手な演技できるだろうな。
今日はいよいよ本番です。みんなでがんばって作ったお家や、かわいいこぶたさんやおおかみさんの帽子を用意して、劇がはじまる前にちょっとだけ最後の練習しました。
大きなお部屋に入ると、いすがたくさん並べられていて、そこにみんなのお母さんやお父さんたちが座っていました。
こんなにたくさんの人に見られながら劇をするのはとても緊張します。失敗しないかドキドキして、劇がはじまるまで下を見ていました。下を見ればかげ君がいるので、ちょっとだけ気持ちが落ち着きました。
劇がはじまりました。まず、最初のこぶたさんたちがわらの家を、次にぼくたちが木の家を、最後にほかのみんながレンガの家を作りました。
いよいよおおかみさんがやってきます。大きな口にギザギザのキバ、ギラギラしてまんまるの目。
「こんな家、ひとふきでこわしてやる!」
おおかみさんがわらの家を吹き飛ばしました。
こぶたさんたちは木の家に逃げてきます。おおかみさんも追ってきます。
「木の家も、ひとふきだ!」
また壊されてしまいました。
「たすけてー!」
ぼくたちはレンガの家に逃げ込みます。
おおかみさんは、また鼻息で家を吹き飛ばそうとします。けれどもレンガの家はとっても丈夫なのでこわれません。
「こうなったら煙突から入ってやる!」
おおかみさんはお家をよじ登ります。とっても演技が上手でした。
ここで、ぼくの番がやってきました。けれど、急に頭が真っ白になりました。どうしよう。どうしよう。失敗しちゃう。お家でも練習できていたら……。心臓がばくばくしています。
緊張して俯くと、かげ君がいました。落ち着いていました。ぼくのセリフなんだっけ。聞きたかったけど、きっとかげ君は答えてくれません。だれも助けてくれない。
ぷるぷる震えて、涙がこぼれそうになって、思わず顔を手で隠しました。
「怖いよね。でも大丈夫。暖炉に火をつけよう!」
ぼくの次のセリフを言うはずの友達が、練習とは違うセリフを言いました。きっとぼくのことを助けてくれたんだと思います。嬉しかったけど、すごく申し訳ないなと思いました。
劇が終わって、席に座っていた人たちは拍手をしてくれたけど、ぼくは失敗してみんなに迷惑をかけちゃったので、あんまり喜べませんでした。
でも、ここにお母さんがいなくてホッとしました。
家に帰るとき、ぼくはその日はもうかげ君と遊びたくありませんでした。
友達なのに、なんで助けてくれなかったんだろう。そんなふうに、友達にいじわるな気持ちを感じる自分がすごく嫌でした。でも、どうしても気持ちが落ち着かなかったので、家に着いたら、すぐにお布団の中にもぐって、真っ暗闇の中で目をつむりました。
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