第二部 25話 情報操作
ー/ー「すみませーん。クレフさん?」
安宿のベッドで目を擦りながら起き上がる。
今日は休日だ。色々あったので疲労が大きい。
見回すがナタリーはいない。
来客のようだが……。
「はい?」
少し寝惚けた声を出しながら部屋の扉を開ける。
「あ、どーも。お手紙です。
いつも言われている届け先が留守だったので直接来ました」
「? はあ……」
何を言われているのか、全然分からない。
ひとまず手紙だけ受け取ると、配達員は頭を下げて去って行った。
手紙は両親からだった。
以前からやり取りしているから、前回の返事だろう。
以前書いたのは確か――
ソフィアの教育係になったこと。
ナタリーとアリスが一段と生意気になったこと。
ミアという冒険者が俺のことを好き勝手に言っていること。
――こんなところか。
手紙の封を開ける。
内容に目を通す。
「な、なんだこれ……?」
返事として書かれていた内容は――
公爵家の教育係になったことへの喜び。
ナタリーとアリスの成長に安心したこと。
ミアにお礼を言わないと駄目だということ。
――こんな感じであった。
明らかにおかしい。
二つ目と三つ目のやり取りが噛み合っていない!?
「ま、まさか……」
今までの手紙を取り出す。
筆跡は完璧に一致していた。
息子の俺が見ても、母さんの筆跡である。
次に俺は手紙の届け先を調査した。
俺も知らなかったが、王都の手紙は届け先を指定できるらしい。
前世で言えば宛先の『転送』指定のようなものだろう。
設定されていたのは『バケット邸』で、受取人は『アリス・カナ・バケット』だった。
つまり、こういうことだ。
犯人は両親からの手紙をアリスに受け取らせる。
その後、アリスから手紙を受け取って内容を巧妙に改竄して俺に渡す。
俺から返事を送る時は、隙をみて内容を改竄して手紙をすり替えておく。
俺と両親は直接手紙のやり取りは出来ずに常に犯人に改竄された状態だったのだ。
そして今日は犯人とアリスは仲良く出かけている。
アリスがいないからやむを得ず、直接この安宿に届けたのだろう。
「ふふっ……ごめん」
肩の上で噴き出したリックを睨みつけた。
「ただいまー」
「おいこら!?」
夕方。
のこのこと帰って来た犯人に、畳みかけるようにまくし立てた。
最初はぽかんとしていたナタリーだったが、やがて「やべ」と視線を泳がし始めた。
一通り叱りつけると、肩を落とした様子だった。
流石に反省したのかもしれない。
「とにかく! この件は伝えておくからな!?」
「そんな!」
更に次の日。
俺はナタリーの悪行を書き連ねた手紙を出しに行く。
もちろん、ナタリーが触れない場所に隠しておいた。
改竄する暇はなかった。断言できる。
乗合馬車と一緒に手紙を配っている組合へと足を向ける。
受付で依頼を告げると、いつも通り親切に対応してくれた。
「では、手紙をお預かりします」
手紙を差し出そうとして――手を止める。
その場で封を開けた。
「どうしたのですか!?」
受付の女性が驚いた声を上げる。
「ふざけんな! どうやったんだよ!?」
手紙を床に叩きつける。
手紙の中身は完璧に改竄されていた。
ナタリーの悪事は記載されず、むしろ少し褒めているほどだ。
筆跡は完璧に俺の物だった。
安宿のベッドで目を擦りながら起き上がる。
今日は休日だ。色々あったので疲労が大きい。
見回すがナタリーはいない。
来客のようだが……。
「はい?」
少し寝惚けた声を出しながら部屋の扉を開ける。
「あ、どーも。お手紙です。
いつも言われている届け先が留守だったので直接来ました」
「? はあ……」
何を言われているのか、全然分からない。
ひとまず手紙だけ受け取ると、配達員は頭を下げて去って行った。
手紙は両親からだった。
以前からやり取りしているから、前回の返事だろう。
以前書いたのは確か――
ソフィアの教育係になったこと。
ナタリーとアリスが一段と生意気になったこと。
ミアという冒険者が俺のことを好き勝手に言っていること。
――こんなところか。
手紙の封を開ける。
内容に目を通す。
「な、なんだこれ……?」
返事として書かれていた内容は――
公爵家の教育係になったことへの喜び。
ナタリーとアリスの成長に安心したこと。
ミアにお礼を言わないと駄目だということ。
――こんな感じであった。
明らかにおかしい。
二つ目と三つ目のやり取りが噛み合っていない!?
「ま、まさか……」
今までの手紙を取り出す。
筆跡は完璧に一致していた。
息子の俺が見ても、母さんの筆跡である。
次に俺は手紙の届け先を調査した。
俺も知らなかったが、王都の手紙は届け先を指定できるらしい。
前世で言えば宛先の『転送』指定のようなものだろう。
設定されていたのは『バケット邸』で、受取人は『アリス・カナ・バケット』だった。
つまり、こういうことだ。
犯人は両親からの手紙をアリスに受け取らせる。
その後、アリスから手紙を受け取って内容を巧妙に改竄して俺に渡す。
俺から返事を送る時は、隙をみて内容を改竄して手紙をすり替えておく。
俺と両親は直接手紙のやり取りは出来ずに常に犯人に改竄された状態だったのだ。
そして今日は犯人とアリスは仲良く出かけている。
アリスがいないからやむを得ず、直接この安宿に届けたのだろう。
「ふふっ……ごめん」
肩の上で噴き出したリックを睨みつけた。
「ただいまー」
「おいこら!?」
夕方。
のこのこと帰って来た犯人に、畳みかけるようにまくし立てた。
最初はぽかんとしていたナタリーだったが、やがて「やべ」と視線を泳がし始めた。
一通り叱りつけると、肩を落とした様子だった。
流石に反省したのかもしれない。
「とにかく! この件は伝えておくからな!?」
「そんな!」
更に次の日。
俺はナタリーの悪行を書き連ねた手紙を出しに行く。
もちろん、ナタリーが触れない場所に隠しておいた。
改竄する暇はなかった。断言できる。
乗合馬車と一緒に手紙を配っている組合へと足を向ける。
受付で依頼を告げると、いつも通り親切に対応してくれた。
「では、手紙をお預かりします」
手紙を差し出そうとして――手を止める。
その場で封を開けた。
「どうしたのですか!?」
受付の女性が驚いた声を上げる。
「ふざけんな! どうやったんだよ!?」
手紙を床に叩きつける。
手紙の中身は完璧に改竄されていた。
ナタリーの悪事は記載されず、むしろ少し褒めているほどだ。
筆跡は完璧に俺の物だった。
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