表示設定
表示設定
目次 目次




これからのこと

ー/ー



「記憶よ離散しろ」

「これでひとまず全部か…… 長かったな」

 ムツヤがキエーウのメンバーの記憶を消し飛ばしていると、すっかり夜が明けて朝になる。

「後は治安維持部隊に連絡を入れて、こいつ達を引き取って貰うだけだ」

「本当に終わったんですね……」

 モモは安堵して言う、本当に長い一夜だった。

「いや、逃げた奴らが復讐しにくるかもしれん。まだキエーウとの戦いは完全に終わったわけじゃない」

 アシノが言うと皆、気を引き締め直したが。

「だが、とりあえず一段落って所だな。皆よくやった」

 続けて言ってニッと笑った。皆もアハハと笑う。そして荷馬車に乗って近くの治安維持部隊の屯所を目指す。

「なぁ、ムツヤ。お前はこれからどうするんだ?」

 アシノが聞くとムツヤはうーんと考える。

「そうでずね、冒険がしたいです!! こっちの世界の見ていない場所を見て、色んな物を知って!!」

「そうか」

 そう言ってフッとアシノは笑う。

「私も、もしよろしければこれからもお供させて下さい」

「いいんでずかモモさん!? よろしぐおねがいじまず!!」

「あの、僕も良いですか?」

「ユモトさんまで!! ありがとうございまず!!」

 ムツヤはモモとユモトに礼を言った。ルーはうーんと何かを考えている。

「私も着いていきたいけどー、ギルドの意向次第かしら。それに裏の道具の研究もあるしー」

「そうでずか……」

 ムツヤは少し残念そうだった。まぁこれからの事は兎にも角にも一度スーナの街へ帰ってからだ。

 近くの治安維持部隊の駐屯所へ行くとアシノが「私に任せろ」と言って昨夜起きたことを虚偽を混ぜながら報告する。

 その間、ムツヤ達は別室に通されて休んでいた。駐屯所の隊員は忙しい日が始まることだろう。

 大規模な部隊が出立するのを見送り、ひとまずエルフの村へと戻ることにした。

 エルフの村ではムツヤ達を見かけると、村総出でささやかながら凱旋を祝福してくれた。

「アシノ様、キエーウはどうなったのですか?」

 エルフの村長が尋ねるとアシノは答える。

「えぇ、リーダーのダクフは死にました。それに幹部やメンバーも多く拘束したので、今頃は治安維持部隊が逮捕している頃でしょう」

「流石勇者アシノ様だ!!!」

 皆が勇者アシノを讃えているが、その勇者は浮かない顔をしていた。

 宿屋に着くと、皆それぞれ荷物を置いてから、音の妨害魔法を張って話をする。

「キエーウと決着もついたってのに浮かない顔してるわねアシノ」

「あぁ、これはムツヤの手柄だ。本来ならムツヤが称賛されるべきなのにな」

 アシノが言うとムツヤは首を横に振った。

「元はと言えば俺のせいでこんな事になって、アシノさんは手伝ってくれました!」

「そうよー、それに災厄の壺を壊したのはアシノなんだから、アシノが世界を救ったってのもあながち間違いじゃないわ」

 アシノは「そうか」と言って顔を左下に向ける。

「そんな事よりお風呂入って疲れを癒やしましょう!!! お風呂よお風呂!! そして寝る!!!」

「そうですね、もう疲れました」

 ハハッとモモは苦笑いをして言う。

 皆は風呂に入り、食事をし、思いっきり寝た。

 そんな中、ムツヤは1人眠れずにいた。隣で手を繋いでいるヨーリィがそれに気付いて言葉をかける。

「お兄ちゃん、眠れないの?」

「いや、まぁね」

 ムツヤにしては難しそうな顔をしているので悩み事らしい。

「その、皆がいる前では言えなかったけど。俺はこの世界に居て良いのかなって」

「どういう事?」

「俺が居なければキエーウとの争いで傷付いたり…… その、…… 死んだりした人も居なかったんじゃないかって」

「それはお兄ちゃんの責任じゃない」

「そうですよムツヤさん!!」

 いきなりユモトが体を起こして言ったのでムツヤはビクッと驚く。

「あ、いえ、あの、盗み聞きするつもりは無かったんですけど……」

 ユモトは毛布を持ってもじもじとしている。

「前にもお話しましたが、僕がこうして生きているのはムツヤさんのおかげなんです!! ムツヤさんはキエーウも倒して、沢山の人を救いました!!」

「ユモトさん……」

「そう、お兄ちゃんは、たくさん助けてる」

 ムツヤは何だか恥ずかしくなって毛布に顔を突っ込んだ。

「これからはムツヤさんの冒険を始めましょう?」

「そう……ですね。そうですね。ありがとうございますユモトさん、ヨーリィも!」

 朝になり、エルフの村を出発する準備ができる。

 ムツヤ達はもう一度リースの墓の前へ来ていた。

「リース、終わったぞ……」

 モモは目を閉じながら言う。キエーウとの戦いが終わったことを報告すると、馬車に乗る。

 村人たちは馬車が見えなくなるまで手を振って送り出してくれた。


スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む 新たなる脅威 1


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



「記憶よ離散しろ」
「これでひとまず全部か…… 長かったな」
 ムツヤがキエーウのメンバーの記憶を消し飛ばしていると、すっかり夜が明けて朝になる。
「後は治安維持部隊に連絡を入れて、こいつ達を引き取って貰うだけだ」
「本当に終わったんですね……」
 モモは安堵して言う、本当に長い一夜だった。
「いや、逃げた奴らが復讐しにくるかもしれん。まだキエーウとの戦いは完全に終わったわけじゃない」
 アシノが言うと皆、気を引き締め直したが。
「だが、とりあえず一段落って所だな。皆よくやった」
 続けて言ってニッと笑った。皆もアハハと笑う。そして荷馬車に乗って近くの治安維持部隊の屯所を目指す。
「なぁ、ムツヤ。お前はこれからどうするんだ?」
 アシノが聞くとムツヤはうーんと考える。
「そうでずね、冒険がしたいです!! こっちの世界の見ていない場所を見て、色んな物を知って!!」
「そうか」
 そう言ってフッとアシノは笑う。
「私も、もしよろしければこれからもお供させて下さい」
「いいんでずかモモさん!? よろしぐおねがいじまず!!」
「あの、僕も良いですか?」
「ユモトさんまで!! ありがとうございまず!!」
 ムツヤはモモとユモトに礼を言った。ルーはうーんと何かを考えている。
「私も着いていきたいけどー、ギルドの意向次第かしら。それに裏の道具の研究もあるしー」
「そうでずか……」
 ムツヤは少し残念そうだった。まぁこれからの事は兎にも角にも一度スーナの街へ帰ってからだ。
 近くの治安維持部隊の駐屯所へ行くとアシノが「私に任せろ」と言って昨夜起きたことを虚偽を混ぜながら報告する。
 その間、ムツヤ達は別室に通されて休んでいた。駐屯所の隊員は忙しい日が始まることだろう。
 大規模な部隊が出立するのを見送り、ひとまずエルフの村へと戻ることにした。
 エルフの村ではムツヤ達を見かけると、村総出でささやかながら凱旋を祝福してくれた。
「アシノ様、キエーウはどうなったのですか?」
 エルフの村長が尋ねるとアシノは答える。
「えぇ、リーダーのダクフは死にました。それに幹部やメンバーも多く拘束したので、今頃は治安維持部隊が逮捕している頃でしょう」
「流石勇者アシノ様だ!!!」
 皆が勇者アシノを讃えているが、その勇者は浮かない顔をしていた。
 宿屋に着くと、皆それぞれ荷物を置いてから、音の妨害魔法を張って話をする。
「キエーウと決着もついたってのに浮かない顔してるわねアシノ」
「あぁ、これはムツヤの手柄だ。本来ならムツヤが称賛されるべきなのにな」
 アシノが言うとムツヤは首を横に振った。
「元はと言えば俺のせいでこんな事になって、アシノさんは手伝ってくれました!」
「そうよー、それに災厄の壺を壊したのはアシノなんだから、アシノが世界を救ったってのもあながち間違いじゃないわ」
 アシノは「そうか」と言って顔を左下に向ける。
「そんな事よりお風呂入って疲れを癒やしましょう!!! お風呂よお風呂!! そして寝る!!!」
「そうですね、もう疲れました」
 ハハッとモモは苦笑いをして言う。
 皆は風呂に入り、食事をし、思いっきり寝た。
 そんな中、ムツヤは1人眠れずにいた。隣で手を繋いでいるヨーリィがそれに気付いて言葉をかける。
「お兄ちゃん、眠れないの?」
「いや、まぁね」
 ムツヤにしては難しそうな顔をしているので悩み事らしい。
「その、皆がいる前では言えなかったけど。俺はこの世界に居て良いのかなって」
「どういう事?」
「俺が居なければキエーウとの争いで傷付いたり…… その、…… 死んだりした人も居なかったんじゃないかって」
「それはお兄ちゃんの責任じゃない」
「そうですよムツヤさん!!」
 いきなりユモトが体を起こして言ったのでムツヤはビクッと驚く。
「あ、いえ、あの、盗み聞きするつもりは無かったんですけど……」
 ユモトは毛布を持ってもじもじとしている。
「前にもお話しましたが、僕がこうして生きているのはムツヤさんのおかげなんです!! ムツヤさんはキエーウも倒して、沢山の人を救いました!!」
「ユモトさん……」
「そう、お兄ちゃんは、たくさん助けてる」
 ムツヤは何だか恥ずかしくなって毛布に顔を突っ込んだ。
「これからはムツヤさんの冒険を始めましょう?」
「そう……ですね。そうですね。ありがとうございますユモトさん、ヨーリィも!」
 朝になり、エルフの村を出発する準備ができる。
 ムツヤ達はもう一度リースの墓の前へ来ていた。
「リース、終わったぞ……」
 モモは目を閉じながら言う。キエーウとの戦いが終わったことを報告すると、馬車に乗る。
 村人たちは馬車が見えなくなるまで手を振って送り出してくれた。