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第033話 賊を討伐しに行った 後編

ー/ー



サーシャの声に、筋肉質の大男は立ち止まる。

「その声……まさかっ!サーシャか!!!」
「うおおおおぉぉぉぉっ!!!!間違いない!我が娘よっ!再び会える日がやって来ようとはっ!!!!」
「サーーーーシャーーーーっ!!!!」

大男は両手を左右に広げると、サーシャに向かってルンルンランランステップを踏みながら近づいて行き‥‥‥そして。

ドゴォッ!

「グハッ!!!」

サーシャの見事なアッパーカットが大男の顎に命中し、大男はその場に仰向けになって倒れた。

「こんのぉっ!!!!クソオヤジっ!!!!」

「えっ!?えっ!?どうしちゃったの?サーシャたん。ボクちんパパだよ?忘れちゃったの?」

サーシャの塩対応どころではない態度に、驚きを隠せない大男はぶりっ子を装うが普通に気持ち悪いもので、サーシャの態度共々全員があっけにとられたのである。

そして、次の瞬間、その男の頭上にゲンコツが落ちた。

「ぐおっ!」

「全く、この男は。私は女々しい男が嫌いっていつも言うてるやろ?」

「ママっ!!!!」

「おー、生きとったか。我が娘よ」

こうして、母娘は久方ぶりの抱擁を楽しんだのであった。

「シロウや」

「あぁ、一体いつの間に俺達の側まで来てたんだ?だろ?」

「そうじゃ。あの大男もそうじゃったが、気配が完全に消えておった」

「ボクも全く気付かなかったよ」

そんなシロウとエリスとオフィーリアのやり取りを他所に、背後から声がした。

「父さん、それにやっぱり母さんだったんですね」

マコトの声に、シロウ達は一斉に振り向く。

マコトの側には、小柄の男と、全身黒の衣装をまとった者、そして、全く身動きすら取れずに固まったままのリリスがいた。

「リリスさん、大丈夫ですよ。この二人は僕の父と母ですので」

「そ、そうですの?私はリリスと申し………ひっ!」

リリスが驚くのも無理はなかった。

マコトの父親が両手で、リリスの手を包み込むように持ったのだから。

「いやはや、何と美しいお嬢さんだ。私は………」

そう言いかけたところで、マコトの父親の首筋に小刀が突きつけられた。

「あんた………浮気はあかんて、いつも言うてますやろ………」

ドスの効いた声であったが、明らかにその声質は女性のものであった。
その声に、マコトの父親はリリスから手を放し、呆然としているリリスにマコトは平謝りをしたのだった。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

‥‥‥。


「うわあああぁぁぁ、すっごい量のコカトリス南蛮だわぁ」

目を輝かせるサーシャの前には複数の大皿と、もれなくそれらの大皿にはコカトリス南蛮が盛られていた。

「あー、それコカトリスというのか。でっかいニワトリかと思っていたわい。わっはっはっは」

サーシャの父は豪快に笑う。

ひょころれ(ところで)ぷぁぷぁ(パパ)ひゃ()むぁむぁ(ママ)ひゃ()りょうひれ(どうして)ふぉふぉに(ここに)いるほ(いるの)?」

「端的に言うと、アンタたちが行方不明になった後に、このヒトとマコト君の旦那がガチバトルしてさ。気が付いたらここに居たのさ」
「恐らくだけど、お互いの必殺技がぶつかり合った時に出来た時空の歪みに飲み込まれたっぽいねぇ」

そう言って、サーシャの母親が代わりに答えた。

「ふーん」

「で、アンタたちはどうしてここに居るんだい?」

「ひみつー。だけど、多分ママ達と同じっぽいかな」
「それはそうと、パパたちいつの間に仲良くなったの?」

「仲良くしてるわけじゃないぞ、我が娘よ。あくまで二人を見つけるまで休戦協定を結んでいるだけだ」

サーシャの父親は、親指でマコトの父を指しながら答えた。

「あ、言っておくけど、それ破棄したらパパとは縁を切るから」

そう言うと、サーシャは真顔で木製のフォークの先を実の父に向けた。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

‥‥‥。


「へぇ、アンタたち、こんなところに住んでたんだね」

サーシャの母親たち4人は、リリスから貰った周辺地図をまじまじと眺める。

「じゃ、私達はこれで帰るから、コカトリスの供給よろしくねー」

「あぁ、任せておきな」

サーシャの母親は、行かないでおくれと懇願するサーシャの父親の顔を後ろに押しのけながら、もう一方の手の親指を立てた。

そして、帰りの馬車。

「それにしても、大丈夫かな。うちの親たち。あとで逮捕とかされたり」

サーシャは頭の後ろで手を組み馬車の天井を見上げながら言う。

「ん?それは大丈夫だろう。何せ死人が誰一人出てないからな」

「え?そなの?」

「あぁ。けが人もいずれも軽症らしいよ。だから大丈夫さ」

「それにエルフ王家からの口添えもありますものね」

シロウに続いて、リリスが我が事のように胸を張る。

「ん?何で今回の事でエルフ王家が動くの?」

「ギクッ!………あぁ、アレじゃよ。我がエルフ王国叙勲騎士シルバがの、動いてくれるはずじゃと思ったんじゃろ?リリス」

「え!?えぇ………そうですわ…そのとおりですわ、伯母上」

明らかに動揺の隠せない二人が、手をわきわきとさせながら答える。

「シルバって、あの町で随一と謳われる冒険者の?………あぁ、そういえばシロウさんのお友達だったっけ」

「そうだな。あいつにも動いて貰う予定なのさ」

「なら安心ね。マコっちゃん」

「そだね」

こうして一行は町へと戻り、シロウ達の言うとおりサーシャとマコトの父母は何のお咎めも受けず、逆にコカトリス辺境伯の称号を受けたのであった。


次のエピソードへ進む 第034話 四角い何か


みんなのリアクション

サーシャの声に、筋肉質の大男は立ち止まる。
「その声……まさかっ!サーシャか!!!」
「うおおおおぉぉぉぉっ!!!!間違いない!我が娘よっ!再び会える日がやって来ようとはっ!!!!」
「サーーーーシャーーーーっ!!!!」
大男は両手を左右に広げると、サーシャに向かってルンルンランランステップを踏みながら近づいて行き‥‥‥そして。
ドゴォッ!
「グハッ!!!」
サーシャの見事なアッパーカットが大男の顎に命中し、大男はその場に仰向けになって倒れた。
「こんのぉっ!!!!クソオヤジっ!!!!」
「えっ!?えっ!?どうしちゃったの?サーシャたん。ボクちんパパだよ?忘れちゃったの?」
サーシャの塩対応どころではない態度に、驚きを隠せない大男はぶりっ子を装うが普通に気持ち悪いもので、サーシャの態度共々全員があっけにとられたのである。
そして、次の瞬間、その男の頭上にゲンコツが落ちた。
「ぐおっ!」
「全く、この男は。私は女々しい男が嫌いっていつも言うてるやろ?」
「ママっ!!!!」
「おー、生きとったか。我が娘よ」
こうして、母娘は久方ぶりの抱擁を楽しんだのであった。
「シロウや」
「あぁ、一体いつの間に俺達の側まで来てたんだ?だろ?」
「そうじゃ。あの大男もそうじゃったが、気配が完全に消えておった」
「ボクも全く気付かなかったよ」
そんなシロウとエリスとオフィーリアのやり取りを他所に、背後から声がした。
「父さん、それにやっぱり母さんだったんですね」
マコトの声に、シロウ達は一斉に振り向く。
マコトの側には、小柄の男と、全身黒の衣装をまとった者、そして、全く身動きすら取れずに固まったままのリリスがいた。
「リリスさん、大丈夫ですよ。この二人は僕の父と母ですので」
「そ、そうですの?私はリリスと申し………ひっ!」
リリスが驚くのも無理はなかった。
マコトの父親が両手で、リリスの手を包み込むように持ったのだから。
「いやはや、何と美しいお嬢さんだ。私は………」
そう言いかけたところで、マコトの父親の首筋に小刀が突きつけられた。
「あんた………浮気はあかんて、いつも言うてますやろ………」
ドスの効いた声であったが、明らかにその声質は女性のものであった。
その声に、マコトの父親はリリスから手を放し、呆然としているリリスにマコトは平謝りをしたのだった。
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「うわあああぁぁぁ、すっごい量のコカトリス南蛮だわぁ」
目を輝かせるサーシャの前には複数の大皿と、もれなくそれらの大皿にはコカトリス南蛮が盛られていた。
「あー、それコカトリスというのか。でっかいニワトリかと思っていたわい。わっはっはっは」
サーシャの父は豪快に笑う。
「|ひょころれ《ところで》、|ぷぁぷぁ《パパ》|ひゃ《や》|むぁむぁ《ママ》|ひゃ《は》|りょうひれ《どうして》|ふぉふぉに《ここに》|いるほ《いるの》?」
「端的に言うと、アンタたちが行方不明になった後に、このヒトとマコト君の旦那がガチバトルしてさ。気が付いたらここに居たのさ」
「恐らくだけど、お互いの必殺技がぶつかり合った時に出来た時空の歪みに飲み込まれたっぽいねぇ」
そう言って、サーシャの母親が代わりに答えた。
「ふーん」
「で、アンタたちはどうしてここに居るんだい?」
「ひみつー。だけど、多分ママ達と同じっぽいかな」
「それはそうと、パパたちいつの間に仲良くなったの?」
「仲良くしてるわけじゃないぞ、我が娘よ。あくまで二人を見つけるまで休戦協定を結んでいるだけだ」
サーシャの父親は、親指でマコトの父を指しながら答えた。
「あ、言っておくけど、それ破棄したらパパとは縁を切るから」
そう言うと、サーシャは真顔で木製のフォークの先を実の父に向けた。
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「へぇ、アンタたち、こんなところに住んでたんだね」
サーシャの母親たち4人は、リリスから貰った周辺地図をまじまじと眺める。
「じゃ、私達はこれで帰るから、コカトリスの供給よろしくねー」
「あぁ、任せておきな」
サーシャの母親は、行かないでおくれと懇願するサーシャの父親の顔を後ろに押しのけながら、もう一方の手の親指を立てた。
そして、帰りの馬車。
「それにしても、大丈夫かな。うちの親たち。あとで逮捕とかされたり」
サーシャは頭の後ろで手を組み馬車の天井を見上げながら言う。
「ん?それは大丈夫だろう。何せ死人が誰一人出てないからな」
「え?そなの?」
「あぁ。けが人もいずれも軽症らしいよ。だから大丈夫さ」
「それにエルフ王家からの口添えもありますものね」
シロウに続いて、リリスが我が事のように胸を張る。
「ん?何で今回の事でエルフ王家が動くの?」
「ギクッ!………あぁ、アレじゃよ。我がエルフ王国叙勲騎士シルバがの、動いてくれるはずじゃと思ったんじゃろ?リリス」
「え!?えぇ………そうですわ…そのとおりですわ、伯母上」
明らかに動揺の隠せない二人が、手をわきわきとさせながら答える。
「シルバって、あの町で随一と謳われる冒険者の?………あぁ、そういえばシロウさんのお友達だったっけ」
「そうだな。あいつにも動いて貰う予定なのさ」
「なら安心ね。マコっちゃん」
「そだね」
こうして一行は町へと戻り、シロウ達の言うとおりサーシャとマコトの父母は何のお咎めも受けず、逆にコカトリス辺境伯の称号を受けたのであった。