Side - 15 - 11 - きょだいうちゅうせん -
こんにちは、田中龍之介だ、バンドのメンバーに酷い勘違いをされた・・・。
説明に1時間かかったよ、僕が隠し撮りをした、お姉ちゃんが魔法陣の上で楽しそうにネットフリフリ見てる動画をみんなに見せてようやく信じて・・・はもらえてないみたいだけど僕を無理に病院に連れて行こうとはしなくなった。
十真斗さんだけはずっと、「みんなで行くのが嫌なのか、それなら俺のバイクでいこう、後ろに乗せて連れってってやるよ、心配するな全部俺に任せて・・・(以下略)」って言ってたけどね。
店の前にやってきたタクシーに謝り倒して帰ってもらった苺ちゃんは、「これCG?、龍之介さんの会社で作ったの?」とかまだ信じてないね・・・・。
見かねたお爺ちゃんが、「いや、私もこの前理世ちゃん見てきたぞ、可愛い銀髪幼女になってたな」って言ってようやくみんな落ち着いた、ってかお爺ちゃんもっと早く話に割り込んできてよ!。
敬雄は「本当なら早く理世姉ちゃんに会わせろ、親友なのに何で今まで黙ってたんだ水臭いじゃないかそんなに俺が信用・・・・・(以下略)」って長々と何か喋っていたがシバいて黙らせた。
「いきなりあんなの見せたらみんな驚くだろうと思って、まず話してからにしようと思ったんだよ」
僕は今までのことを話した、更に1時間くらいかかったかな・・・。
「・・・で、お姉ちゃんがこっちに生身で来られるように血液検査や未知の病原菌がいないかとか色々調べたいんだけど、十真斗さんの家って病院だからできないかなって思って」
十真斗さんが言った。
「いや無理だよ、血液検査ってうちみたいな町の開業医だと病院の中でやってるわけじゃなくて外注なんだ、検査してくれる所に送ってやってもらってる、内密にって言うのは色々と法律的にもやばいだろう、それに何か訳がわからない病原菌が見つかったら大騒ぎになるだろうね、最悪防護服を着た人達がお役所の人と一緒に大勢病院に駆けつけてくる」
その辺の事情はよく知らなかったから盲点だったな、困ったな、どうしよう・・・と思ってたらコーヒー臭い苺ちゃんが話に入ってきた。
「うちのお姉ちゃん医大に通ってるからそこの実験室?とかでやってくれないかな?内密に、今日お姉ちゃん大学お休みだから相談してみる?」
スマホを取り出して電話し始めた。
「・・・あー、もしもしお姉ちゃん?苺だよ、ちょっと相談なんだけど・・・、血液検査ってお姉ちゃんの行ってる医大でできないかな?、内緒で、やばい病気に感染してないか調べて欲しいの、病院じゃダメなの、バレたら大騒ぎになるから・・・・、あとDNA調べたりとかは・・・え?何怒ってるの?、・・・バイト先のジャズ喫茶だよ、ちょっと待って!」
「苺ちゃん、どうだった?」
「いやよくわかんないんだけど、「お前どこの男に感染(うつ)された?そいつ許さねぇ絶対殺す、苺もそんな簡単に身体許すんじゃねぇお姉ちゃんそんな子に育てた覚えはありません!」って叫んで切っちゃった、私お姉ちゃんに育てられた覚えないんだけど・・・」
頭を抱えながら十真斗さんが言った。
「あー、姉貴今頃こっちに向かってきてるだろうな、呼ぶ手間が省けたからいいけど、苺、お前姉貴に悪い男に引っかかって性病感染(うつ)されたって思われてるぞ」
「嘘ぉ!、私まだ処女だよ!」
「いやいらんこと言わんでいい、兄としては悪い虫がついてなくて安心したが・・・」
そんなことを話しながらしばらく今後どうするか話し合ってると、喫茶店の扉が乱暴に開いた、アディ⚪︎スの黒ジャージを着た長身の女性、凄い美人だな胸は小っさいけど・・・、その女の人を見てると僕と目が合ってまっすぐこっちに歩いて来た、背中から「ゴゴゴゴ・・・」って効果音がしてそうなくらい殺気立ってるし。
「おまえかぁ!、悪そうな面(ツラ)しやがって!、てめぇ私の可愛い苺ちゃんの身体汚しといてなにしれっとしてんだよ、あ?、ふざけんじゃねぇぞ!、・・・何だその目は!、いい度胸じゃねぇか!、上等だぁ!、覚悟ぁできてんだろうな!、表出ろやゴラァ!」
いきなり胸ぐら掴まれて怒鳴られたよ・・・・怖い・・・っていうかえらい柄悪いなこの人・・・、あと、僕の目つき悪いのはは生まれつきなんだけど・・・。
十真斗さんが後ろから女の人を羽交い締めにして言った。
「いや姉貴、誤解だ、こいつは何もしてない、落ち着け!」
その後拘束を解かれた女性は敬雄の胸ぐらを掴んで。
「じゃぁお前か!、お前だな!、虫も殺せねぇような顔して何してくれちゃってんの!、あぁ!、殺す殺す!、ぜってぇ殺す!」
暴れる女性をまた十真斗さんが後ろから羽交い締めにして言った。
「いやこいつも違うから!」
「なら誰が私の苺ちゃん孕ませやがったんだよ畜生!、隠れてないで出てこいや!、・・・じゃぁこのジジイか!、お前だろ!、いい歳して未成年喰ってんじゃねえぞ!、あぁ!」
などと散々悪態をついた後、苺ちゃんと十真斗さんの説明でようやく大人しくなった、なんか凄いな・・・この人。
「・・・申し訳ありませんでしたぁ!」
黒ア⚪︎ィダスの美人さんは今僕達の前で綺麗に土下座していた・・・。
「うちの姉貴、頭に血が上ると人の話聞かないんだ、俺からも謝る、すまん」
この美人さんは犬飼兄妹のお姉さんで林檎(りんご)さんというそうだ、紹介があった林檎さんは僕達の前で澄ました顔をしてお上品に紅茶を飲んでる・・・・。
「・・・話は大体分かった、だが医者の卵として言わせてもらうと、そんな危険な未知の血液を大学病院や研究所の中に入れるわけにはいかないな」
・・・やっぱりそうなるのか。
「私もその子に興味があるけど、前にやった水の検査も一つ間違えれば大惨事でしょ、慎重にやりたいところだけど、もしその血液を調べて未知の病原菌が・・・とかDNAがヒトと違ってたら・・・みたいな可能性を考えると国のちゃんとしたところで外気と隔離して安全に調べるべきだろうね」
「水と同じように地球の人達のものと変わりないって結果ならいいんだけどね、・・・向こうは魔法?や魔力?がある世界なんでしょ、同じ訳がないと思うね、だって地球人って魔法使えないじゃん、ならどこか違うと考えたほうがいい」
「それがバレて「宇宙人だ!」「未確認生物だ!」ってなったら世界中から学者が群がって来てその子は見せ物の実験動物みたいな扱いになるだろうね、それは嫌なんでしょ」
もちろんお姉ちゃんをそんな扱いにはさせたくない、それでなくても人見知りなんだ、大勢の人達の前に引っ張り出されたら怖がって泣くと思う。
「じゃぁ前にお姉ちゃんが言ってた宇宙からの信号を受信したーってやつにするしかないかな」
僕がポロリと口に出すと十真斗さんが言った。
「何その話?」
「いや、水の検査の時にお姉ちゃんが「もしやばい検査結果が出て国や保健所がうるさく言ってきたら寝てる時に宇宙からの信号を受けてこの水がやばいかもしれないから調べろって命令されたことにしろ」って・・・」
笑いながら林檎さんが言った。
「あははー、そのお姉ちゃんいい性格してんねー、でもそれいいかもね、龍之介くんだっけ、君がマスコミに宇宙からのメッセージを受けたって喋って、場所は・・・前に水を置いた所でいいでしょ、予言通りの日時にUFOみたいなエフェクトキラキラ出して、その場所には未知の材質で出来た器に入った血液が入ってましたー、って話ならちゃんと外と隔離した研究室で調べてくれると思うよ、国が」
「・・・いやそれ僕が危ない人みたいになってるし!」
「ならマスコミには匿名の手紙でいいんじゃないかな、設置場所のエフェクトをド派手にして、誰がどう見ても宇宙からのメッセージだ!って風にしたら?」
僕が宇宙からのメッセージ受信した危ない奴ってことにならない方法だとそれしかないかな・・・。
「・・・それしかないかな・・・でも検査結果を国が発表するかどうかわからないよね」
「それは予言の内容に「これを偽造したり隠蔽したら宇宙から総攻撃を仕掛ける」って文章入れとけば?」
「そうします、参考になりました、ありがとうございました」
「・・・龍之介くーん、それだけ?」
「・・・え?」
「・・・お姉さんがすっごーく頭使って考えた提案に対して、「ありがとう」だけ?」
「・・・何か僕にできることがあれば・・・」
「あるよ、検査の結果が分かって安全だと証明されたら龍之介君のお姉ちゃん、こっちに来るんでしょ、ちょっと会わせなさいよ」
「・・・はい」
お姉ちゃんごめん、こっち来たら会わないといけない人がいっぱい居るよ・・・。
それから話は早かった。
お姉ちゃんにその内容を言うと「まかせて!、あの山の上全部覆うくらいのおっきな宇宙船の映像出す魔法陣作っちゃうから」って嬉しそうに帰っていった・・・大丈夫かな。
それで匿名で週刊誌やマスコミ各社に出す手紙を用意した、指紋をつけないように手袋をして、筆跡が分からないように新聞の文字を切り抜いた古風な脅迫文みたいな奴を時間をかけて作った、気分はまるで誘拐犯だね。
手紙にはこう書いた。
⚪︎月⚪︎日の夜9時に巨大なUFOが⚪︎⚪︎山の頂上に出現するという情報を俺は宇宙から受け取った、それから宇宙人から地球への要求も受信している、内容は下記のとおりだ。
我々宇宙人は地球に興味があり、この星に降り立ちたいと思っている。
だが気軽に降り立つと我々の星の病原菌や生命体が地球に害を与える可能性がある、地球に害を与えるのは我々も望んでいない。
地球に被害が及ばないために我々が住む星の食べ物、水、空気、生きた小動物や動物の血液サンプルを事前に⚪︎⚪︎山の頂上に置いておく。
それを調べてそれらのサンプルが地球に害がないか我々に教えて欲しい、我々の通信用無人機がすでにこの国に降り立って監視しているから一般に公表すれば我々に伝わる、サンプルごとの詳細なデータが欲しい、これは我々が地球の解析技術の水準を調べる為のものでもある。
尚、隠蔽したり虚偽の発表をすれば我々と敵対したと見做し、地球を総攻撃する、我々は地球がどうなろうと痛くも痒くもない。
我々は地球に降り立ち調査をしたいだけで地球人と交流する気は一切ない、文明は我々の方が非常に進んでいる、地球人に選択権はない。
以上だ、俺が誰かなど余計なことは調べるな、俺のことが世間にバレれば宇宙人によって俺の身体に埋め込まれた爆弾が爆発し身体が吹き飛ぶ、どうか絶対に調べないでくれ。
「よく出来てるねー」
「うむ、いい出来でござるな」
「へー、すごいね龍之介、あんた立派な犯罪者になれるよ」
家族に褒められながら僕は手紙を十真斗さんに渡し、隣の県まで行って投函してもらった、これで当日まで待つだけだね。
⚪︎月⚪︎日の夜9時、僕達は座敷でお姉ちゃんと一緒にテレビを見てる、横にはノートパソコン、リアルタイムで情報を見る為にBwitterとニュースサイトを開いてる、テレビ局はイタズラだと思ったんだろう、どこも生中継してないな、そりゃ僕でもあんな胡散臭い手紙、信じろって言う方が無理だよ。
時間が来た。
最初はBwitterの動画だった、「すげぇの撮れた!」って言う文章と動画・・・・。
1時間もしないうちにトレンドは、UFO、宇宙船出た、宇宙人、など関連する文字で埋まったよ、なんか大事になってて怖いな、・・・いや大事にしてるんだけど・・・。
ようやくマスコミも中継を始め、地元の駐屯地から自衛隊が出動したっていうテロップが特別報道番組の上の方に出た。
テレビを見ると僕が住む県にある特徴的な形の山の上に巨大な宇宙船が出現していた。
「これ凄いね」
「凄いでしょー、最初はバトルシップに出てくる宇宙船作ろうかなって思ったんだけど形がちょっと難しくてね、インデペンデンス・デイの宇宙船を参考にして徹夜して作っちゃった、てへっ」
「サンプルは何を入れたの?」
「せっかくだからいろんなやつ詰め込んだのです!、こっちの植物でしょ、野菜、果物、それと水やお酒、カゴに入れた鳥や小動物も雄雌それぞれ入れたよ、誰かがこっちで繁殖させるかなーって、あとは普通の人間の血と、私・・・じゃなくて化物の血、ちっちゃい魔獣の死体を凍らせたやつもいくつか、それぞれ別の厳重に密封した箱に入れておいたよ、これ学者さんとか大喜びだろうね」
「自衛隊が出動したみたいだけど・・・」
「あー、隊員さん達には悪いことしちゃったね、あれただの映像だからレーダーにも映らないし、飛行機通り抜けちゃうからバレないうちにそろそろ消すよ」
テレビのレポーターが「き・・・消えました!、突然巨大な宇宙船が消えましたぁー!」って叫んでるのを聞きながら。
「さぁ、もう風呂入って寝ようか・・・」
僕は座敷を出て風呂に向かった。
それから間も無く政府から発表があった、結果としては。
野菜や果物をはじめとする植物は地球のものと似ているけど全部未知のもので新種、地球上には存在しないやつだった、ただ、種を植えたら芽が出たので地球でも栽培できそう。
小動物も全くの新種、ツノの生えたウサギのようなものや、翼が4つある鳥、草食の猫みたいなやつ・・・これは世界中の動物学者が狂喜したらしい、地球でも問題なく生きているみたい。
水や酒は・・・水は確かに地球のものと同じ、酒は蒸留酒、地球と同じで成分はアルコールだけど地球の技術では作れないようなものだったらしい、味も美味しいとのこと・・・誰が飲んだのかは非公開・・・。
人間のものと思われる血液は確かにヒト種に限りなく近いものらしいけど、地球の人とはDNA配列が違うらしい、2種類ともDNA配列が似ているので血縁関係があるらしいとの事。
氷漬けの動物の死体は全く未知の生物、地球上のどの種とも関係ないことが証明されたらしい。
まだ詳しく時間をかけて調べないと分からないけれど、宇宙の生命体が地球に降りても害がある病原菌や寄生虫は今のところ見つかっていないと公表された。
間違いなく地球外生命体と証明されて世界中が大騒ぎになった。
各国から研究者が派遣されて共同研究みたいな感じのプロジェクトが発表されたり、宇宙船(の映像)が降りた山はまだ封鎖されて立ち入り禁止状態。
僕達家族と一緒にそんな発表をテレビで見ていたお姉ちゃんが言った。
「ねぇ、龍之介・・・」
「何?、お姉ちゃん」
「もう一度マスコミ・・・もう政府宛てでもいいかな、手紙を出して確認して欲しいのです」
「何を確認するの?」
「2つの人間の血液を調べた結果・・・、本当に寄生虫や害のある病原体は居なかったのかなって」
「居ないって公表されてるけど・・・、一つは化け物って言ってなかった?」
「あれ、・・・化け物って言ってた方は私の血なの」
「・・・え?」
「私って呪いで苦しんでるのは言ったよね、あれって、虫みたいなのが沢山私の身体の中を這い回ってる感触があるの、だからこっちに来てみんなに何かあったら・・・怖いの」
「でも政府発表では大丈夫だろうって・・・・」
「・・・そうだね・・・忘れて、・・・手紙やっぱり出さなくていいよ・・・」
「向こうのご家族も大丈夫なんでしょ、なら大丈夫なんじゃないかな」
「そうだね・・・じゃぁ本格的に日本に帰還する用意をしますか!、みんな待っててね!」
「・・・あ、その件だけどね、今回の血液検査の件で色々相談に乗ってもらったりお世話になった人達からお姉ちゃんがこっちに来たらお願いがあるんだって」
「え?」
「・・・実は・・・」
あ、お姉ちゃんがチベットスナギツネみたいな表情で固まっちゃった・・・。