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災厄の壺 6

ー/ー



「っぐ、ちくしょう!」

 膝から矢を引き抜いて傷の治る薬を飲んだ。みるみる内に傷は塞がったが、無駄遣いは出来ない。

 ユモトが魔法の防御壁を張り、皆その中へと隠れた。

「え、なんか私狙われてない?」

「そりゃ召喚術師本体を狙うのは当然だろ」

 ルーがギャーギャー騒ぎながら逃げ回っていた。アシノは追いかける人間に2、3発ビンのフタを当てたが、急所でない限り敵を鎮めるのは難しい。

 モモがその中へ割って入り、剣を構えた。

 ジリジリと寄ってくる2人向かってこちらから走り始める。

 姿勢を低く飛び出して、1人を下から袈裟斬りにし、唖然としているもう1人の腹に蹴りを入れて倒す。

「バインド!!!」

 すかさずユモトが拘束魔法をして2人を縛り上げた。

(モモもユモトも確実に強くなっている。それに連携も上手い)

 アシノがそんな事を思っている間にも、敵の数は精霊の攻撃によって減っていく。ルーはこれでも上級の冒険者だったのだ。

「ギャー!!! 死ぬうううう!!!」

 騒いでうるさい事以外はだが……

「あらぁん、やだわん、こんなになっちゃって」

 聞き覚えのあるオカマの声を聞いてアシノはそちらに目線を向ける。

「お前はキエーウのオカマ!!!」

「失礼しちゃうわ!! ウトナちゃんよ!!」

 挨拶代わりに精神を混乱させる杖からビームを発射させ、アシノ達はそれぞれ隠れてやり過ごした。

「このっ」

 岩陰に隠れながらモモはウトナに向かって石を投げる。

「あいたっ、何すんのよこのメス豚!!!」

 命中するとウトナは怒り出す。今がチャンスとユモトは電撃魔法を放った。

「無駄よっ!!」

 軽々と防御壁で弾くとユモトに向かって杖を振り、慌ててユモトは木の後ろへと隠れる。

「はぁーあ、今回の作戦は私やる気ないのに嫌んなっちゃうわ」

「どういう事だ!?」

 アシノが聞くとため息まじりにウトナは答えた。

「だって、私の目的は可愛い亜人ちゃんを集めてハーレムを作ることよん。その亜人ちゃんを滅ぼすなんて本当は嫌よ」

「だったら、お前は何故戦うんだ!!」

「それがね、本部のこわ~い人達の命令なのよん、ホント嫌になっちゃうわ」

 ウトナはくねくねしながら言う。これほどの実力者を無理やり従わせる本部とは何なのだとアシノは考える。

「あらやだ、喋りすぎちゃったわ。そろそろ仕留めてあ・げ・る♡ 食らいなさいプリティビーム」

「無駄」

 そう一言だけ言って皆の前に飛び出た人影がある。ヨーリィだ。

「ヨーリィ、無事だったのか!!」

 モモは安堵して言う、それにコクリと1つうなずいて木の杭とナイフを構える。

「やだもー、枯れ葉のお嬢ちゃんじゃない」

 ヨーリィにはあの光線が効かない。ウトナは右手を前に出して炎の魔法を放つ。

 軽々とそれらを避けるヨーリィ。元いた場所には燃え盛る火が広がった。

「これは分が悪いわね……」

 ヨーリィはウトナの周りをグルグルと回りながら木の杭を投げつけていた。

 防御壁で弾いてはいたが、直接来られたらまずいと考える。

 そんな時にヨーリィが防御壁を飛び越えてナイフで切りつけようとした。思わずウトナは手を前にしてガードをしようとすると、その手から杖を奪う。

「っく」

 ウトナは背を向けて逃げようとするがタタタタっと走ってきたルーがヨーリィから杖を受け取って振ってみる。

 杖から出た光線はウトナに命中し、その場に立ち尽くした。

「あら、私でも光線出せるのね。こりゃ良いわ。さて、オカマちゃんはどうなるかしら?」

「いやーん!!! 亜人ちゃんを従えてハーレム作りたい作りたいー!!!!」

 地面に倒れて駄々っ子のようになっているウトナ、無力化には成功したらしい。

「さて、ついでに他の人達にも使っちゃおうかしら」

 ルーはまだ戦う意志のあるキエーウのメンバーへ杖を振った。それぞれ駄々っ子のように地面に転がる。

 一応、拘束魔法で縛ってからアシノ達はムツヤの元へと急いだ。


 ――

 ――――

 ――――――――

「あっ、うぐっ」

 背中へと刀を突き立てられたムツヤは、そのまま地面に倒れる。

 刀が抜けた傷口から赤黒い血が溢れてきた。

「ムツヤ、お前には何の怨みも無いが、ここで死んでもらう」

 急いで回復薬を飲まなければとカバンに手を回し、取り出したが、ウートゴに蹴られてそれはどこかへと飛んでいく。

 痛みで呼吸が荒くなってきた、ムツヤは久しぶりに死の気配を感じていた。

 こんな状況、塔の中に居た時以来だろうか。


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「っぐ、ちくしょう!」
 膝から矢を引き抜いて傷の治る薬を飲んだ。みるみる内に傷は塞がったが、無駄遣いは出来ない。
 ユモトが魔法の防御壁を張り、皆その中へと隠れた。
「え、なんか私狙われてない?」
「そりゃ召喚術師本体を狙うのは当然だろ」
 ルーがギャーギャー騒ぎながら逃げ回っていた。アシノは追いかける人間に2、3発ビンのフタを当てたが、急所でない限り敵を鎮めるのは難しい。
 モモがその中へ割って入り、剣を構えた。
 ジリジリと寄ってくる2人向かってこちらから走り始める。
 姿勢を低く飛び出して、1人を下から袈裟斬りにし、唖然としているもう1人の腹に蹴りを入れて倒す。
「バインド!!!」
 すかさずユモトが拘束魔法をして2人を縛り上げた。
(モモもユモトも確実に強くなっている。それに連携も上手い)
 アシノがそんな事を思っている間にも、敵の数は精霊の攻撃によって減っていく。ルーはこれでも上級の冒険者だったのだ。
「ギャー!!! 死ぬうううう!!!」
 騒いでうるさい事以外はだが……
「あらぁん、やだわん、こんなになっちゃって」
 聞き覚えのあるオカマの声を聞いてアシノはそちらに目線を向ける。
「お前はキエーウのオカマ!!!」
「失礼しちゃうわ!! ウトナちゃんよ!!」
 挨拶代わりに精神を混乱させる杖からビームを発射させ、アシノ達はそれぞれ隠れてやり過ごした。
「このっ」
 岩陰に隠れながらモモはウトナに向かって石を投げる。
「あいたっ、何すんのよこのメス豚!!!」
 命中するとウトナは怒り出す。今がチャンスとユモトは電撃魔法を放った。
「無駄よっ!!」
 軽々と防御壁で弾くとユモトに向かって杖を振り、慌ててユモトは木の後ろへと隠れる。
「はぁーあ、今回の作戦は私やる気ないのに嫌んなっちゃうわ」
「どういう事だ!?」
 アシノが聞くとため息まじりにウトナは答えた。
「だって、私の目的は可愛い亜人ちゃんを集めてハーレムを作ることよん。その亜人ちゃんを滅ぼすなんて本当は嫌よ」
「だったら、お前は何故戦うんだ!!」
「それがね、本部のこわ~い人達の命令なのよん、ホント嫌になっちゃうわ」
 ウトナはくねくねしながら言う。これほどの実力者を無理やり従わせる本部とは何なのだとアシノは考える。
「あらやだ、喋りすぎちゃったわ。そろそろ仕留めてあ・げ・る♡ 食らいなさいプリティビーム」
「無駄」
 そう一言だけ言って皆の前に飛び出た人影がある。ヨーリィだ。
「ヨーリィ、無事だったのか!!」
 モモは安堵して言う、それにコクリと1つうなずいて木の杭とナイフを構える。
「やだもー、枯れ葉のお嬢ちゃんじゃない」
 ヨーリィにはあの光線が効かない。ウトナは右手を前に出して炎の魔法を放つ。
 軽々とそれらを避けるヨーリィ。元いた場所には燃え盛る火が広がった。
「これは分が悪いわね……」
 ヨーリィはウトナの周りをグルグルと回りながら木の杭を投げつけていた。
 防御壁で弾いてはいたが、直接来られたらまずいと考える。
 そんな時にヨーリィが防御壁を飛び越えてナイフで切りつけようとした。思わずウトナは手を前にしてガードをしようとすると、その手から杖を奪う。
「っく」
 ウトナは背を向けて逃げようとするがタタタタっと走ってきたルーがヨーリィから杖を受け取って振ってみる。
 杖から出た光線はウトナに命中し、その場に立ち尽くした。
「あら、私でも光線出せるのね。こりゃ良いわ。さて、オカマちゃんはどうなるかしら?」
「いやーん!!! 亜人ちゃんを従えてハーレム作りたい作りたいー!!!!」
 地面に倒れて駄々っ子のようになっているウトナ、無力化には成功したらしい。
「さて、ついでに他の人達にも使っちゃおうかしら」
 ルーはまだ戦う意志のあるキエーウのメンバーへ杖を振った。それぞれ駄々っ子のように地面に転がる。
 一応、拘束魔法で縛ってからアシノ達はムツヤの元へと急いだ。
 ――
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「あっ、うぐっ」
 背中へと刀を突き立てられたムツヤは、そのまま地面に倒れる。
 刀が抜けた傷口から赤黒い血が溢れてきた。
「ムツヤ、お前には何の怨みも無いが、ここで死んでもらう」
 急いで回復薬を飲まなければとカバンに手を回し、取り出したが、ウートゴに蹴られてそれはどこかへと飛んでいく。
 痛みで呼吸が荒くなってきた、ムツヤは久しぶりに死の気配を感じていた。
 こんな状況、塔の中に居た時以来だろうか。