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これって、もしかして……

ー/ー



 それは、いつも通りに高校から帰宅する途中。まさに、我が家に到着する直前のことだった。
「えっ……」
 私は思わず足を止めて、側の電柱に隠れた。だって、私の目がまるで信じられないものを捉えたから。
「どうして? どうして『私』が家から出てきてるの?」
 そう。信じられないことに、自分自身が私の家から出て来て、大急ぎでこちらとは反対方向に向かい、駆けて行ったのだ。
「これって、もしかして……ドッペルゲンガー?」
 突然のことに頭が真っ白になって。私はそのまま帰宅して考え込んだ。
私は確かに、私を見た。それって、所謂、自分のドッペルゲンガーを見たということ。
 すぐにネットで検索すると、『ドッペルゲンガーを見た者は近いうちに死ぬ』……そんなことが書かれていた。
 それを見た途端、私は途轍もなく恐ろしくなった。
 嫌だ、嫌だ。私はまだ、死にたくない。
 だって、まだまだやりたいことは沢山あるし、自分の想いを伝えていない人もいる。そう。片想い中のクラスメイト……達也(たつや)くんにまだ、想いを伝えていない。
 なのに……どうして? どうして、あんなのを見たの?
 でも……
 私はキッと、顔を上げた。
 考えていてばかりいても、仕方がない。あれはきっと、何かの見間違いだ。あいつの正体、私が暴いてやる!

 正体を確かめる決意をした私は家を出て、ドッペルゲンガーが歩いて行ったのと同じ方向へツイツイと歩き出した。

 だけれども……
 私の鼓動は速まる。
 あれが本当にドッペルゲンガーだったら……私、もうすぐ死ぬのかなぁ?
 そんなことを考えて、またガクガクと震えていた時だった。
「美咲(みさき)!」
 向こうから私の名前を呼びながら駆けて来る彼を見て……私は目を見開いた。
「達也くん……」
 私の元に駆けて来たのは、私の大好きな彼で。驚きとともに、私は金縛りにあったかのように動けなくなった。
「良かった。だってお前、俺の返事を聞かずに去ってしまうんだもん」
「えっ?」
「俺もお前のことが好きだ! だから……付き合ってくれ!」
 えっ……えぇ~~!?

 一体、どんな脈絡でそういうことになったのか、分からない。だけれども、彼のその言葉を聞いた私はまるで夢でも見ているのかと思えるほどに幸せで。
 ドッペルゲンガーのことも忘れて、私の瞳にはジワっと涙が込み上げてきた。
「み……美咲? どうしたんだ?」
 急に涙を流す私に、達也くんは驚き慌てだした。私は顔を上げて、そんな彼ににっこりと微笑んだ。
「大丈夫。ごめんね……私、達也くんの言葉が嬉しくて……嬉しすぎて、泣いちゃった」
 私のその言葉に、彼はクスっと笑った。
「何だよ。こっちが恥ずかしくなっちゃうじゃんか」
「でも、どうして……」
「あ、そうだ。裏山行かねぇ?」
「えっ?」
「一緒に行きたかった、とっておきの場所があるんだ」
 狐につままれる私の手を引き、彼は早足で歩き出した。


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 それは、いつも通りに高校から帰宅する途中。まさに、我が家に到着する直前のことだった。
「えっ……」
 私は思わず足を止めて、側の電柱に隠れた。だって、私の目がまるで信じられないものを捉えたから。
「どうして? どうして『私』が家から出てきてるの?」
 そう。信じられないことに、自分自身が私の家から出て来て、大急ぎでこちらとは反対方向に向かい、駆けて行ったのだ。
「これって、もしかして……ドッペルゲンガー?」
 突然のことに頭が真っ白になって。私はそのまま帰宅して考え込んだ。
私は確かに、私を見た。それって、所謂、自分のドッペルゲンガーを見たということ。
 すぐにネットで検索すると、『ドッペルゲンガーを見た者は近いうちに死ぬ』……そんなことが書かれていた。
 それを見た途端、私は途轍もなく恐ろしくなった。
 嫌だ、嫌だ。私はまだ、死にたくない。
 だって、まだまだやりたいことは沢山あるし、自分の想いを伝えていない人もいる。そう。片想い中のクラスメイト……達也(たつや)くんにまだ、想いを伝えていない。
 なのに……どうして? どうして、あんなのを見たの?
 でも……
 私はキッと、顔を上げた。
 考えていてばかりいても、仕方がない。あれはきっと、何かの見間違いだ。あいつの正体、私が暴いてやる!
 正体を確かめる決意をした私は家を出て、ドッペルゲンガーが歩いて行ったのと同じ方向へツイツイと歩き出した。
 だけれども……
 私の鼓動は速まる。
 あれが本当にドッペルゲンガーだったら……私、もうすぐ死ぬのかなぁ?
 そんなことを考えて、またガクガクと震えていた時だった。
「美咲(みさき)!」
 向こうから私の名前を呼びながら駆けて来る彼を見て……私は目を見開いた。
「達也くん……」
 私の元に駆けて来たのは、私の大好きな彼で。驚きとともに、私は金縛りにあったかのように動けなくなった。
「良かった。だってお前、俺の返事を聞かずに去ってしまうんだもん」
「えっ?」
「俺もお前のことが好きだ! だから……付き合ってくれ!」
 えっ……えぇ~~!?
 一体、どんな脈絡でそういうことになったのか、分からない。だけれども、彼のその言葉を聞いた私はまるで夢でも見ているのかと思えるほどに幸せで。
 ドッペルゲンガーのことも忘れて、私の瞳にはジワっと涙が込み上げてきた。
「み……美咲? どうしたんだ?」
 急に涙を流す私に、達也くんは驚き慌てだした。私は顔を上げて、そんな彼ににっこりと微笑んだ。
「大丈夫。ごめんね……私、達也くんの言葉が嬉しくて……嬉しすぎて、泣いちゃった」
 私のその言葉に、彼はクスっと笑った。
「何だよ。こっちが恥ずかしくなっちゃうじゃんか」
「でも、どうして……」
「あ、そうだ。裏山行かねぇ?」
「えっ?」
「一緒に行きたかった、とっておきの場所があるんだ」
 狐につままれる私の手を引き、彼は早足で歩き出した。