俺を取り戻せ!③
ー/ー
もう穏便に話し合いは無理だ。一発ガツンとやってやらないと駄目な状況。
「やりずれぇ…ちっ!俺の爪も通らねぇ!」
「落ち着いて先を見て。きっと隙ができる時が―。」
流石壱弥。戦いなれてるというか自分の使役妖怪の扱いがちゃんとしてる。俺は実戦なんかしたことないし、一昨日くらいに流れで東雲とつながっただけだ。自分にあってる能力を持っているかとかそういうのは関係なくだ。だが、東雲自体のスペックは高いことはわかる。そりゃ喋れば一言多くてちゃちゃいれてくるようなふざけた奴だけど、夜兄の側にいた、いることを許されてたくらいだからな。
「おやおや…早く本気でかかってきてよ?私を止めるんでしょ?」
「余裕綽々でござるか…尻尾がないとバランスが取りづらいでござるな!!」
壱弥に向けて夜兄は砂々羅鬼を使って攻撃をしている。酒天と鵺はそれを防ぎながら、鬼火を使って、鋭い爪を使って…当たってはいるがダメージを与えているようには見えない。
東雲は…夜兄に向かって攻撃はしていない。壱弥の1番近くで酒天と鵺の合間をくぐって壱弥に向かってくる攻撃を退け、守ってる。
俺の思いは壱弥に危害を加えさせない。東雲の思いは夜兄大好きだから傷付けたくはない。故に護りの一手のみ。これじゃ先に進むことは難しいことはわかってはいる。
「どうする…防戦一方だ。血みどろの戦いをしたいわけじゃない。砂々羅鬼が規格外に強いのがなぁ…。」
「当たり前じゃないか秋緋。父様は始祖の鬼の血脈、純血の神鬼なんだから。」
あぁそうだったな。家にいる砂羅と砂鬼は神鬼の子だとか言ってたし砂々羅鬼が関係ないわけないもんな。つうことは…妖怪の元締めみたいなもんだ。
ただ魂だけなのと、意思を何らかの形で抑え込まれている。で、夜兄の使役妖怪として無理やり形をなしている状態…にもみえる。不完全な形で本来の力を全て出せるわけじゃないだろうけど…それでも力の差が明らか。
「秋くん。色々考えとるとこ悪いねんけど、俺らも無限に戦えるわけやないのも考えてや…!」
「そうですよ、秋緋様。体が戻ったんですからそれなりに働いてください。…よいしょっと。」
俺の背後、鬼門の穴が現れデカい黒い棺桶を背負って茨木がやっと来た。棺桶を俺のいる結界の中に放り込む。
「茨木!遅いわ!」
「はぁ?少し時間ずらして来いと言ったのは貴方達でしょうが。そんなこと言うなら帰りますよ。」
ごめんなさい、そうです。帰らないでください。
予定では壱弥の使役妖怪を使って、なにかしら妨害や邪魔されたとしても力尽くで抑え込んで、それからお互いの話聞いていい頃合いに茨木が来て大団円のはずでした。
その妨害ってのがまさかの砂々羅鬼の登場で押してるんだ。
「はっはぁ!!茨木童子じゃねぇか!久しいな!!とりあえずさっさと手伝え!!」
「酒呑童子…貴方ほどの方が使役されているなんて驚きましたよ。見つからないはずですね。いいでしょう、久しぶりに共闘と参りましょうか。」
「そりゃありがてぇけど…その話し方と容姿、気持ちわるっ!」
…あっ、聞いたことある名前だ。なんにも勉強してなくてもどこかしらの物語で見たことある鬼の名前だ。
「鬼同士のバトルといこうぜ、夜緋呂よぉ?」
「八塚くん、鵺さんを下げてください。紫炎の鬼火は焼き切れたとはいえ、その見た目の割に致命傷になりかねないものです。ここは任せて筒に収めて回復に努めてください。」
「茨木…真砂の人間に逆らうんだ?いい度胸だね?」
壱弥は茨木に言われた通り鵺を前線から下げた。鵺は「申し訳ござらん…」と、少し苦しそうに言って筒の中へ戻っていった。
確かに以前茨木は商店街で妖怪を簡単に焼き殺していた。鬼ってのはやっぱり妖怪の中でも抜きん出ているそんな存在なんだな。
「ほんなら俺も…。」
「あなたは駄目ですよ。万が一があります、八塚くんと秋緋様を守っててください。まさかそんなこともできないとか言いませんよねぇ?」
「かっちーん!あほんだら!それくらいよゆーでできるわ!ロリコン鬼こそしくじるんやないで?!」
罵ってるというかお互いに心配…配慮してる?やっぱり仲良しか。どこに仲良くなる要素があったのか謎すぎるが。
「ここからが本番ってことだね。父様、消してあげて。」
夜兄、容赦がないな…何がそこまで?俺の存在のせい?なら俺を消せばいいだけだったはずだ。家ごと潰そうとしてる理由は?
「秋緋!準備!」
「あっ、あぁ!」
紫炎が飛び交う境内、安全なのは俺のいる結界の中だけ。壱弥も中に入り、次の段階の準備をすることに。
「だんだん昔みたいに動けてきたじゃねぇか!」
「やかましいっ!集中しろってんだ!」
黒い棺桶に手を付けつつ、横目で茨木と酒天の様子を見る。
茨木は鬼の姿に戻り、本気モード。ちゃんとこの姿を見るのは始めてだな。サラッサラの長い髪振り乱してイケメン度上がってんじゃないの?
ん?右腕が何だか砂々羅鬼と同じような見え方をしている…肉体がないってことなのか…?でもやっぱり当主付の鬼なだけある。得意の紫炎の鬼火を織り交ぜた殴り攻撃、酒天とうまく合わせ交互に攻撃を当てていく。強い。コンビとしても相性がいいのもあってか今度は確実にダメージがあるように見える。
でも砂々羅鬼の攻撃の速度も威力もが衰えない。もう紫炎というか黒炎に近い鬼火。腕や足を降るだけで刃のような黒炎が飛んでいき、酒天や茨木に打撃が当たれば衝撃波が巻き起こる。
「これはあれやなぁ…夜くんの溜め込んでる霊力が底なしやで。さとりくんは消耗しとるんちゃう?大丈夫?」
「ご心配ありがとう。でも平気。僕だって半妖だからそんなにやわじゃないよ。さ、秋緋も余所見してないで!開けるよ。」
棺桶の蓋がギギギと、木材同士が擦れる音を出して暴かれる。その中で眠っているのはもちろん。
「夜兄…。」
大事に保管されていた夜兄の体。
バトルは酒天と茨木に任せて…次の段階を踏むことにする。
「夜兄!!こっちで兄弟喧嘩しようぜ!」
月夜に浮かぶ夜兄に、俺は宣戦布告した。
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「やりずれぇ…ちっ!俺の爪も通らねぇ!」
「落ち着いて先を見て。きっと隙ができる時が―。」
流石壱弥。戦いなれてるというか自分の使役妖怪の扱いがちゃんとしてる。俺は実戦なんかしたことないし、一昨日くらいに流れで東雲とつながっただけだ。自分にあってる能力を持っているかとかそういうのは関係なくだ。だが、東雲自体のスペックは高いことはわかる。そりゃ喋れば一言多くてちゃちゃいれてくるようなふざけた奴だけど、夜兄の側にいた、いることを許されてたくらいだからな。
「おやおや…早く本気でかかってきてよ?私を止めるんでしょ?」
「余裕綽々でござるか…尻尾がないとバランスが取りづらいでござるな!!」
壱弥に向けて夜兄は砂々羅鬼を使って攻撃をしている。酒天と鵺はそれを防ぎながら、鬼火を使って、鋭い爪を使って…当たってはいるがダメージを与えているようには見えない。
東雲は…夜兄に向かって攻撃はしていない。壱弥の1番近くで酒天と鵺の合間をくぐって壱弥に向かってくる攻撃を|退け《しりぞ》、守ってる。
俺の思いは壱弥に危害を加えさせない。東雲の思いは夜兄大好きだから傷付けたくはない。故に護りの一手のみ。これじゃ先に進むことは難しいことはわかってはいる。
「どうする…防戦一方だ。血みどろの戦いをしたいわけじゃない。砂々羅鬼が規格外に強いのがなぁ…。」
「当たり前じゃないか秋緋。父様は始祖の鬼の血脈、純血の神鬼なんだから。」
あぁそうだったな。家にいる砂羅と砂鬼は神鬼の子だとか言ってたし砂々羅鬼が関係ないわけないもんな。つうことは…妖怪の元締めみたいなもんだ。
ただ魂だけなのと、意思を何らかの形で抑え込まれている。で、夜兄の使役妖怪として無理やり形をなしている状態…にもみえる。不完全な形で本来の力を全て出せるわけじゃないだろうけど…それでも力の差が明らか。
「秋くん。色々考えとるとこ悪いねんけど、俺らも無限に戦えるわけやないのも考えてや…!」
「そうですよ、秋緋様。体が戻ったんですからそれなりに働いてください。…よいしょっと。」
俺の背後、鬼門の穴が現れデカい黒い棺桶を背負って茨木がやっと来た。棺桶を俺のいる結界の中に放り込む。
「茨木!遅いわ!」
「はぁ?少し時間ずらして来いと言ったのは貴方達でしょうが。そんなこと言うなら帰りますよ。」
ごめんなさい、そうです。帰らないでください。
予定では壱弥の使役妖怪を使って、なにかしら妨害や邪魔されたとしても力尽くで抑え込んで、それからお互いの話聞いていい頃合いに茨木が来て大団円のはずでした。
その妨害ってのがまさかの砂々羅鬼の登場で押してるんだ。
「はっはぁ!!茨木童子じゃねぇか!久しいな!!とりあえずさっさと手伝え!!」
「酒呑童子…貴方ほどの方が使役されているなんて驚きましたよ。見つからないはずですね。いいでしょう、久しぶりに共闘と参りましょうか。」
「そりゃありがてぇけど…その話し方と容姿、気持ちわるっ!」
…あっ、聞いたことある名前だ。なんにも勉強してなくてもどこかしらの物語で見たことある鬼の名前だ。
「鬼同士のバトルといこうぜ、夜緋呂よぉ?」
「八塚くん、鵺さんを下げてください。紫炎の鬼火は焼き切れたとはいえ、その見た目の割に致命傷になりかねないものです。ここは任せて筒に収めて回復に努めてください。」
「茨木…真砂の人間に逆らうんだ?いい度胸だね?」
壱弥は茨木に言われた通り鵺を前線から下げた。鵺は「申し訳ござらん…」と、少し苦しそうに言って筒の中へ戻っていった。
確かに以前茨木は商店街で妖怪を簡単に焼き殺していた。鬼ってのはやっぱり妖怪の中でも抜きん出ているそんな存在なんだな。
「ほんなら俺も…。」
「あなたは駄目ですよ。万が一があります、八塚くんと秋緋様を守っててください。まさかそんなこともできないとか言いませんよねぇ?」
「かっちーん!あほんだら!それくらいよゆーでできるわ!ロリコン鬼こそしくじるんやないで?!」
罵ってるというかお互いに心配…配慮してる?やっぱり仲良しか。どこに仲良くなる要素があったのか謎すぎるが。
「ここからが本番ってことだね。父様、消してあげて。」
夜兄、容赦がないな…何がそこまで?俺の存在のせい?なら俺を消せばいいだけだったはずだ。家ごと潰そうとしてる理由は?
「秋緋!準備!」
「あっ、あぁ!」
紫炎が飛び交う境内、安全なのは俺のいる結界の中だけ。壱弥も中に入り、次の段階の準備をすることに。
「だんだん昔みたいに動けてきたじゃねぇか!」
「やかましいっ!集中しろってんだ!」
黒い棺桶に手を付けつつ、横目で茨木と酒天の様子を見る。
茨木は鬼の姿に戻り、本気モード。ちゃんとこの姿を見るのは始めてだな。サラッサラの長い髪振り乱してイケメン度上がってんじゃないの?
ん?右腕が何だか砂々羅鬼と同じような見え方をしている…肉体がないってことなのか…?でもやっぱり当主付の鬼なだけある。得意の紫炎の鬼火を織り交ぜた殴り攻撃、酒天とうまく合わせ交互に攻撃を当てていく。強い。コンビとしても相性がいいのもあってか今度は確実にダメージがあるように見える。
でも砂々羅鬼の攻撃の速度も威力もが衰えない。もう紫炎というか黒炎に近い鬼火。腕や足を降るだけで刃のような黒炎が飛んでいき、酒天や茨木に打撃が当たれば衝撃波が巻き起こる。
「これはあれやなぁ…夜くんの溜め込んでる霊力が底なしやで。さとりくんは消耗しとるんちゃう?大丈夫?」
「ご心配ありがとう。でも平気。僕だって半妖だからそんなにやわじゃないよ。さ、秋緋も余所見してないで!開けるよ。」
棺桶の蓋がギギギと、木材同士が擦れる音を出して暴かれる。その中で眠っているのはもちろん。
「夜兄…。」
大事に保管されていた夜兄の体。
バトルは酒天と茨木に任せて…次の段階を踏むことにする。
「夜兄!!こっちで兄弟喧嘩しようぜ!」
月夜に浮かぶ夜兄に、俺は宣戦布告した。