皆様、ごきげんよう。
お久しぶりの方も、初めましての方もおられると思いますが――私の名はリリヤナ。
かの偉大なるイェラン帝の末娘ヴィクトリアを曾祖母に持つ、名門ファルケンブルク家の、そのまた分家であるファルツフェルド伯爵家の末娘です。
これからお話しするのは、私が18歳から27歳くらいまでの間の出来事です。
当時、私は、訳あって長兄夫妻の住まうファルツフェルド本邸を出て、ファルケンブルクの本邸で従兄たちと暮らしておりました。
その従兄たちから頼まれて「おつかい」に出たときの話や、義姉や婚約者と旅行したときの話など、帝国の各地を旅した逸話を披露したいと思います。
そのためには、まず、この帝国の版図について説明しておくべきでしょうね。
私の住むこの帝国は、9つの国や地域から成り立っています。
ファルケンブルク一族が居を構えるのは、ロイシュライゼという国で、帝国のほぼ中央に当たります。この「中央」から北東には、セルセティア大公国が、そのすぐ北には、学都エリスファリアがあります。そこから海を挟んでちょっと西へ向かえば、リーフリヘリオスという肥沃な島国があり、その島の更に北に、イザールという、帝国全体から見れば辺境の大きな島があります。イザールを東に行けば、首都ベルクリースを擁するユークレイで、ここはイザールと並んで極めつけの北国です。ロイシュライゼに戻って南西を見れば、そこにはノルディオンという豊かな土地が広がっています。そのノルディオンから海を挟んで東、ロイシュライゼのちょうど南方辺りに、パルレキアとマルレキアという穀倉地帯が仲良く並んでいる――…駆け足で説明しましたが、これが大体の帝国の地図でございます。
それでは、物語と共に帝国各地を旅して参りましょう――…!