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父さんを真似て世界中を旅したおかげで人嫌いが緩和され、芸術高校への進学を本條さんに勧められたときも、素直に受け入れられた。
そして高校へ通って翔流と出会い、友人と過ごす楽しさを知ったから大学へ行こうと思えたんだ。父さんが卒業した、この藝大へ。
オレの節目には、必ず父さんがいる。いつもオレの進む道を見守ってくれている。そのことに、やっと気がついたよ。
「はぁ、笑ったら腹減ったわ。カレー食お」
ひとしきり笑うと、急激に腹が減ってきた。
これが生きているということなのかもしれないな。ずっとひとりでいたら、絶対に感じられなかっただろう。
愛茉が笑顔を浮かべて、またカレーを食べ始めた。
「んふふぅ。レアなもの見たからぁー頑張れそうだぁー」
「宝くじ買うたら当たるかもしれへんな!」
「ようし! 帰りに買っちゃおー!」
はしゃぐふたりをよそに、長岡は柔らかく笑いながら、空いたテーブルの後片付けをしている。
まだまだ客足は途絶えない。どうやら、カレーの香りにつられて来るようだ。
「ふたりともぉー気にせずゆっくり食べてってねぇー」
またグループ客が入ってきて、ヨネは慌ただしく動き始める。
愛茉が手伝いをしたくてウズウズしていたが、中途半端に手を貸すのは逆効果になりかねないので、やんわり止めておいた。
15分程すると、一気に人が捌けた。野外ステージで、芸能人を招いたトークショーが開催されるらしい。
オレと愛茉は、食後のコーヒーをゆっくりと味わってから席を立った。
「浅尾きゅんも愛茉ちゃんもー忙しいのに来てくれてありがとうねぇー」
「ううん、来てよかった! カレーもコーヒーも、すっごく美味しかったし! ね、桔平くん」
「ああ、エネルギー貰ったわ。ありがとう」
すると、3人とも目を見開いて固まった。
「お、お礼言われたで……しかも笑顔で言われたで……! ああっ! ドキがムネムネするっ! やっぱり恋っ⁉」
「一佐くんが撃ち抜かれちゃったぁー! もぉー浅尾きゅんったらぁーキラースマイルなんだからぁー! ズギャーン!」
「びっくりした……けど、いい顔になったな、浅尾」
まともなコメントは、長岡だけ。これも平常運転だな。
これまでオレが描いてきた絵は、ちゃんとこいつらの心へ届いている。そのことがよく分かった。おかげでオレも、少しはまともな人間に近づけたと思う。
「いいなぁ」
ヨネダ珈琲を離れると、愛茉が呟いた。
「なにが?」
「同志って感じ。よかったね、桔平くん」
同志。そうだな。その単語が一番しっくりくるかもしれない。父さんにも、そう呼べる人間がいたのだろうか。そんなことを考えながら、愛茉と手をつないで祭りをまわる。
「なんだよー、桔平やつれすぎじゃん?」
「浅尾っち、今日は食べまくって太っちゃいなよ!」
途中で連絡が来て合流した翔流と七海ちゃんにも、痩せすぎだと散々言われた。
このふたりがいなければ、愛茉との出会いもなかったんだよな。いろいろな礼も兼ねて、クレープやらアイスやらあれこれと奢ってやった。
今年の大学祭は、これまでで一番印象深いものになった気がする。そしてこの日も、驚くほどよく眠れた。
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そして高校へ通って翔流と出会い、友人と過ごす楽しさを知ったから大学へ行こうと思えたんだ。父さんが卒業した、この藝大へ。
オレの節目には、必ず父さんがいる。いつもオレの進む道を見守ってくれている。そのことに、やっと気がついたよ。
「はぁ、笑ったら腹減ったわ。カレー食お」
ひとしきり笑うと、急激に腹が減ってきた。
これが生きているということなのかもしれないな。ずっとひとりでいたら、絶対に感じられなかっただろう。
愛茉が笑顔を浮かべて、またカレーを食べ始めた。
「んふふぅ。レアなもの見たからぁー頑張れそうだぁー」
「宝くじ買うたら当たるかもしれへんな!」
「ようし! 帰りに買っちゃおー!」
はしゃぐふたりをよそに、長岡は柔らかく笑いながら、空いたテーブルの後片付けをしている。
まだまだ客足は途絶えない。どうやら、カレーの香りにつられて来るようだ。
「ふたりともぉー気にせずゆっくり食べてってねぇー」
またグループ客が入ってきて、ヨネは慌ただしく動き始める。
愛茉が手伝いをしたくてウズウズしていたが、中途半端に手を貸すのは逆効果になりかねないので、やんわり止めておいた。
15分程すると、一気に人が捌けた。野外ステージで、芸能人を招いたトークショーが開催されるらしい。
オレと愛茉は、食後のコーヒーをゆっくりと味わってから席を立った。
「浅尾きゅんも愛茉ちゃんもー忙しいのに来てくれてありがとうねぇー」
「ううん、来てよかった! カレーもコーヒーも、すっごく美味しかったし! ね、桔平くん」
「ああ、エネルギー貰ったわ。ありがとう」
すると、3人とも目を見開いて固まった。
「お、お礼言われたで……しかも笑顔で言われたで……! ああっ! ドキがムネムネするっ! やっぱり恋っ⁉」
「一佐くんが撃ち抜かれちゃったぁー! もぉー浅尾きゅんったらぁーキラースマイルなんだからぁー! ズギャーン!」
「びっくりした……けど、いい顔になったな、浅尾」
まともなコメントは、長岡だけ。これも平常運転だな。
これまでオレが描いてきた絵は、ちゃんとこいつらの心へ届いている。そのことがよく分かった。おかげでオレも、少しはまともな人間に近づけたと思う。
「いいなぁ」
ヨネダ珈琲を離れると、愛茉が呟いた。
「なにが?」
「同志って感じ。よかったね、桔平くん」
同志。そうだな。その単語が一番しっくりくるかもしれない。父さんにも、そう呼べる人間がいたのだろうか。そんなことを考えながら、愛茉と手をつないで祭りをまわる。
「なんだよー、桔平やつれすぎじゃん?」
「浅尾っち、今日は食べまくって太っちゃいなよ!」
途中で連絡が来て合流した翔流と七海ちゃんにも、痩せすぎだと散々言われた。
このふたりがいなければ、愛茉との出会いもなかったんだよな。いろいろな礼も兼ねて、クレープやらアイスやらあれこれと奢ってやった。
今年の大学祭は、これまでで一番印象深いものになった気がする。そしてこの日も、驚くほどよく眠れた。