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「うん、大丈夫。お金のほうは問題ないよ」
「恩に着ます。いつか絶対、稼げるようになるんで……」

 まるでヒモみたいな発言。いまも、桔平くんの稼ぎのほうが圧倒的に多いのに。まぁ「絵で稼げるようになる」ってことなんだろうけど。
 これはそのための投資。大丈夫。出費は増えるけれど、私が節約とバイトを頑張れば問題ない。いままでの貯金に手を出さなくて済むはず。

「もう借りる部屋のあたりはつけているの?」
「んー、なんとなくネットは見てんだけど。時期が時期だから、そんなに多くねぇんだよな」
「あぁそっか……もう4月だもんね」
「まぁ、いますぐ描き始めるわけじゃねぇからさ。どっかはあるだろ。最悪どこでもいいんだよ、絵が描けりゃさ」
「じゃあ、私も探しておくね」
「ああ、ありがとう」

 こうやってゆっくり、ふたりでご飯を食べる日は減るかもしれないな。桔平くんは制作に熱が入ると寝食を忘れるタイプだし、きっとお互いの誕生日もお祝いどころじゃなくなる。だけど今回は仕方ない。今後の人生を左右することだもん。

 いろいろなものが動き出す4月。桔平くんと私の生活も変わろうとしている。一気になにかが転がり出したような、そんな感じ。たとえその先が断崖絶壁だったとしても、一緒に転がる覚悟は決めた。

 私は強くなる。なにがあっても、桔平くんの心を守れるように。可愛い彼女じゃなくていい。肝っ玉になるの。
 自分の夢を叶えるためだよ。自分勝手と言われようが、それが最上級の幸せにつながっているって、絶対に信じてるから。

「学校の制作もあるし……かなり忙しくなるけど、ごめんな」
「なんで謝るのよ。一緒に頑張るんでしょ」
「そうだな。んじゃ……よろしく、だな」

 お互い顔を見合わせて、頷いた。いよいよ、桔平くんと私の勝負の年が始まるんだ。

 そして私の大学生活も、もう3年目に入る。早く就職したいという気持ちは強まる一方だけど、いまは目の前の勉強を頑張らないとね。

 進級しても、七海とは相変わらずいつも一緒。最近の七海は翔流くんに対する文句も減ってきて、穏やかに愛を育んでいるって感じ。翔流くんは将来の目標をしっかり持っているから、それがいい刺激になっているみたい。
 
「デパートでの個展って、すごいよね。一気に有名画家じゃん」

 七海にだけは、個展の件を話した。桔平くんが、翔流くんにも相談していたみたいだし。

 まだたくさんの人に話す段階ではないけれど、本当に信頼できる人にならいいって、スミレさんも言っていたから。やっぱり、事情を知ってサポートしてくれる人がいるのは心強いしね。


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「うん、大丈夫。お金のほうは問題ないよ」
「恩に着ます。いつか絶対、稼げるようになるんで……」
 まるでヒモみたいな発言。いまも、桔平くんの稼ぎのほうが圧倒的に多いのに。まぁ「絵で稼げるようになる」ってことなんだろうけど。
 これはそのための投資。大丈夫。出費は増えるけれど、私が節約とバイトを頑張れば問題ない。いままでの貯金に手を出さなくて済むはず。
「もう借りる部屋のあたりはつけているの?」
「んー、なんとなくネットは見てんだけど。時期が時期だから、そんなに多くねぇんだよな」
「あぁそっか……もう4月だもんね」
「まぁ、いますぐ描き始めるわけじゃねぇからさ。どっかはあるだろ。最悪どこでもいいんだよ、絵が描けりゃさ」
「じゃあ、私も探しておくね」
「ああ、ありがとう」
 こうやってゆっくり、ふたりでご飯を食べる日は減るかもしれないな。桔平くんは制作に熱が入ると寝食を忘れるタイプだし、きっとお互いの誕生日もお祝いどころじゃなくなる。だけど今回は仕方ない。今後の人生を左右することだもん。
 いろいろなものが動き出す4月。桔平くんと私の生活も変わろうとしている。一気になにかが転がり出したような、そんな感じ。たとえその先が断崖絶壁だったとしても、一緒に転がる覚悟は決めた。
 私は強くなる。なにがあっても、桔平くんの心を守れるように。可愛い彼女じゃなくていい。肝っ玉になるの。
 自分の夢を叶えるためだよ。自分勝手と言われようが、それが最上級の幸せにつながっているって、絶対に信じてるから。
「学校の制作もあるし……かなり忙しくなるけど、ごめんな」
「なんで謝るのよ。一緒に頑張るんでしょ」
「そうだな。んじゃ……よろしく、だな」
 お互い顔を見合わせて、頷いた。いよいよ、桔平くんと私の勝負の年が始まるんだ。
 そして私の大学生活も、もう3年目に入る。早く就職したいという気持ちは強まる一方だけど、いまは目の前の勉強を頑張らないとね。
 進級しても、七海とは相変わらずいつも一緒。最近の七海は翔流くんに対する文句も減ってきて、穏やかに愛を育んでいるって感じ。翔流くんは将来の目標をしっかり持っているから、それがいい刺激になっているみたい。
「デパートでの個展って、すごいよね。一気に有名画家じゃん」
 七海にだけは、個展の件を話した。桔平くんが、翔流くんにも相談していたみたいだし。
 まだたくさんの人に話す段階ではないけれど、本当に信頼できる人にならいいって、スミレさんも言っていたから。やっぱり、事情を知ってサポートしてくれる人がいるのは心強いしね。