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第67話 不死者と吸血鬼狩り

ー/ー



翌日、昨晩あったことをみんなに話した。
アンデッドと聞いて、メニィや輝などは若干怯えていた。
それ以外の面々も困惑しており、柳助でさえ「マジかよ…」という顔をしていたあたり、アンデッドというのは異形以上に厄介な存在であるのかもしれない。
「なんで奴らがこの町に…?まあいい、現れたなら片付けるだけだ」
唯一猶だけは、あまり反応しなかった。
「でも、1体だけってのはおかしいな。奴らは普通群れで動くもんなんだが…」

「だから、私も変だなって思って。でも、私達だけじゃちょっと…色々とキツいでしょ?」

「…たしかにな」
猶は少し考え、
「よし、じゃあ本職のハンターの所に行こう」
と言い出した。
「ハンター…でもこの辺にいるの?」

「ここから南東の村に『ジャック』の連中がいたはずだ。通達依頼を受けた時に来たことがある」

「なるほどね。それなら大丈夫そうね」
ここで紗妃は俺の方を向き、何の話をしてるのか説明してくれた。
「私達が言ってるのは『吸血鬼狩り』って組織の話よ。この世界のアンデッドはね、普通の方法では殺せないの。だから、奴らを狩る事を専門にしてる吸血鬼狩りって組織が存在する。一応、普通の人でも光の魔法か銀製の武器を使えばやれるけど…でもやっぱり、吸血鬼狩りに任せるに越したことはないわ」

「へえ…あれ、でも昨日紗妃は…」

「一応、殺人者もアンデッドを殺せるからね。でも、私は吸血鬼狩りじゃない。だから本職の連中に任せた方がいいと思って」
獲物はアンデッドなのに吸血鬼狩りなのか…と思ったが、まあ突っ込まないでおこう。
南東の村までは歩いて向かえる距離らしいので、俺と紗妃と樹とラギルで向かう事にした。



「しかし、なぜ突如アンデッドが…」
ラギルがうかない顔をしていたので、一応聞いてみる。
「奴らを知ってるのか?」

「ああ。奴らは俺達の町にも現れる事がある。だが、俺達が見かけるのは蘇った死体…いわゆる『ゾンビ』がほとんどだ。吸血鬼など、見たことがない」
すると、樹が言った。
「それはそうかもな。町とか村に入ってくるのは大抵ゾンビ系のアンデッドだから」

「他の所では違うのか?」

「ああ。洞窟とかのダンジョンではゾンビの他に骨しかない骸骨系、骨も肉体もない霊体系のアンデッドがよく出てくる。吸血鬼は…あんまり見かけないな。
てか、そういやあいつらって結局何系のアンデッドなんだろう…?」
樹の疑問には紗妃が答えた。
「吸血鬼は吸血鬼系っていう独自のグループに属するアンデッドよ。まあ、要は『生き血を吸う動く死体』だから、広義にはゾンビ系に含まれるけどね」
ここで、一応イメージとの違いを確認しておく。
「吸血鬼、ってやっぱり高位のアンデッドなのか?」

「うーん…まあ、アンデッド全体では高位と言えるかもね。奴らに知能があるのは間違いないから。
吸血鬼の世界には強さに応じて階級があって、シャドー、ダーク、ディープ、アビスの順に強くなるの。昨日私と姜芽が見たメルエールはシャドー階級のやつね。シャドーの吸血鬼は、はっきり言って雑魚よ。なんなら昨日の奴みたいに喋れないやつだっているわ」
影、悪、深み、深淵…という事か。
なんか、地味にツボる。

「てことは、最高位…アビスの吸血鬼は相当強いのか?」

「だと思う。私は詳しく知らないけど…もし吸血鬼狩りじゃない奴が遭遇したら、まず生きては帰れない…なんて聞いたことある」
いや、殺意高すぎだろ。
まあ、そりゃそうかもしれないが。



さて、歩き始めて数時間で村へついた。
思ったより近かった―というのはさておき、この村に吸血鬼狩りとやらがいるのか。
見張りに盗賊ではない事を説明し、門をくぐらせてもらうことができた。
見た限り、ごく普通の村なのだが…本当にここにアンデッド退治の専門家がいるのだろうか。
猶には、「村長の家に行って、猶の使いだって言えばわかってもらえると思う」と言われたが…どうなのだろうか。

とりあえず村長の家を尋ねた。
村長は、意外にも若い男だった。
「おやおや、珍しいお客さんだな。いかがなさいました?」

「…俺達は、猶の使いだ」
そう言うと、村長の目つきは途端に変わった。
「…そうでしたか。ひとまず中へどうぞ」



そうして家の中へ連れ込まれた俺達は、詳しい説明を要求された。
ことの経緯を説明すると、村長は言った。
「では、速やかに向こうへ向かいましょう」

「あの、その前にあんたは何者なんだ?」
俺が尋ねると、村長は言った。
「私は志河亮(しかわりょう)、吸血鬼狩り組織ジャックの団長だ」





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翌日、昨晩あったことをみんなに話した。アンデッドと聞いて、メニィや輝などは若干怯えていた。
それ以外の面々も困惑しており、柳助でさえ「マジかよ…」という顔をしていたあたり、アンデッドというのは異形以上に厄介な存在であるのかもしれない。
「なんで奴らがこの町に…?まあいい、現れたなら片付けるだけだ」
唯一猶だけは、あまり反応しなかった。
「でも、1体だけってのはおかしいな。奴らは普通群れで動くもんなんだが…」
「だから、私も変だなって思って。でも、私達だけじゃちょっと…色々とキツいでしょ?」
「…たしかにな」
猶は少し考え、
「よし、じゃあ本職のハンターの所に行こう」
と言い出した。
「ハンター…でもこの辺にいるの?」
「ここから南東の村に『ジャック』の連中がいたはずだ。通達依頼を受けた時に来たことがある」
「なるほどね。それなら大丈夫そうね」
ここで紗妃は俺の方を向き、何の話をしてるのか説明してくれた。
「私達が言ってるのは『吸血鬼狩り』って組織の話よ。この世界のアンデッドはね、普通の方法では殺せないの。だから、奴らを狩る事を専門にしてる吸血鬼狩りって組織が存在する。一応、普通の人でも光の魔法か銀製の武器を使えばやれるけど…でもやっぱり、吸血鬼狩りに任せるに越したことはないわ」
「へえ…あれ、でも昨日紗妃は…」
「一応、殺人者もアンデッドを殺せるからね。でも、私は吸血鬼狩りじゃない。だから本職の連中に任せた方がいいと思って」
獲物はアンデッドなのに吸血鬼狩りなのか…と思ったが、まあ突っ込まないでおこう。
南東の村までは歩いて向かえる距離らしいので、俺と紗妃と樹とラギルで向かう事にした。
「しかし、なぜ突如アンデッドが…」
ラギルがうかない顔をしていたので、一応聞いてみる。
「奴らを知ってるのか?」
「ああ。奴らは俺達の町にも現れる事がある。だが、俺達が見かけるのは蘇った死体…いわゆる『ゾンビ』がほとんどだ。吸血鬼など、見たことがない」
すると、樹が言った。
「それはそうかもな。町とか村に入ってくるのは大抵ゾンビ系のアンデッドだから」
「他の所では違うのか?」
「ああ。洞窟とかのダンジョンではゾンビの他に骨しかない骸骨系、骨も肉体もない霊体系のアンデッドがよく出てくる。吸血鬼は…あんまり見かけないな。
てか、そういやあいつらって結局何系のアンデッドなんだろう…?」
樹の疑問には紗妃が答えた。
「吸血鬼は吸血鬼系っていう独自のグループに属するアンデッドよ。まあ、要は『生き血を吸う動く死体』だから、広義にはゾンビ系に含まれるけどね」
ここで、一応イメージとの違いを確認しておく。
「吸血鬼、ってやっぱり高位のアンデッドなのか?」
「うーん…まあ、アンデッド全体では高位と言えるかもね。奴らに知能があるのは間違いないから。
吸血鬼の世界には強さに応じて階級があって、シャドー、ダーク、ディープ、アビスの順に強くなるの。昨日私と姜芽が見たメルエールはシャドー階級のやつね。シャドーの吸血鬼は、はっきり言って雑魚よ。なんなら昨日の奴みたいに喋れないやつだっているわ」
影、悪、深み、深淵…という事か。
なんか、地味にツボる。
「てことは、最高位…アビスの吸血鬼は相当強いのか?」
「だと思う。私は詳しく知らないけど…もし吸血鬼狩りじゃない奴が遭遇したら、まず生きては帰れない…なんて聞いたことある」
いや、殺意高すぎだろ。
まあ、そりゃそうかもしれないが。
さて、歩き始めて数時間で村へついた。
思ったより近かった―というのはさておき、この村に吸血鬼狩りとやらがいるのか。
見張りに盗賊ではない事を説明し、門をくぐらせてもらうことができた。
見た限り、ごく普通の村なのだが…本当にここにアンデッド退治の専門家がいるのだろうか。
猶には、「村長の家に行って、猶の使いだって言えばわかってもらえると思う」と言われたが…どうなのだろうか。
とりあえず村長の家を尋ねた。
村長は、意外にも若い男だった。
「おやおや、珍しいお客さんだな。いかがなさいました?」
「…俺達は、猶の使いだ」
そう言うと、村長の目つきは途端に変わった。
「…そうでしたか。ひとまず中へどうぞ」
そうして家の中へ連れ込まれた俺達は、詳しい説明を要求された。
ことの経緯を説明すると、村長は言った。
「では、速やかに向こうへ向かいましょう」
「あの、その前にあんたは何者なんだ?」
俺が尋ねると、村長は言った。
「私は|志河亮《しかわりょう》、吸血鬼狩り組織ジャックの団長だ」