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ー/ー



 でも負けないぞ。私のお願いは、最終的に絶対OKしてくれるはずだもん。分かっているんだからね。
 
「え、えっと。結衣はちょっとタレ目で唇がぽってりした子で、葵は黒髪ロングですっきりした顔の清楚系」
「覚えてねぇ」
「……とにかく、そのふたりが彼氏欲しいってずっと言っていて。私も七海も彼氏ができて、合コンに行かなくなっちゃったじゃない? いつも七海と翔流くんの人脈でメンバーを集めていたから、ふたりとも出会いが減っちゃったらしくて。だからセッティングしてあげることになったんだけど、藝大生と話してみたいって……」
「だからって、なんで小林と長岡なんだよ」
「だって私と七海が知っている藝大生メンズって、そのふたりだけなんだもん。小林さんと長岡さんにはヨネちゃんが伝えてくれて、ふたりともOKだったの。ただ、いきなり初対面の4人だけっていうのも不安だから、私たちも同席してほしいって結衣たちが……」
「翔流と七海ちゃんだけでいいじゃねぇか。大体、長岡が来るのに愛茉も行くわけ?」
「そ、それは……」

 どうやら長岡さんは、私のことをまだ好きみたい。先月、藝大の大学祭に行ったときにも会ったんだけど、私を見ると相変わらず頬を赤らめていた。とっても純粋だから、そう簡単にほかの人を好きになれないんだろうな。

 だけどやっぱり、長岡さんには報われる恋をしてほしいし。この合コン……もとい飲み会が、ほかの子に心を動かすきっかけになればいいなぁっていう気持ちがあるのも事実。

「愛茉がいたら、ほかの女には目ぇ行かねぇだろ」
「で、でも、ほら。別に、結衣と葵のどっちかと恋愛しろっていうわけじゃないし。長岡さんは女性が苦手って言っていたから、慣れるきっかけになるかもってことで……」
「長岡は、愛茉に会いたくてOKしただけじゃねぇのー?」

 え、なにその言い方。まさか拗ねている? ていうか、妬いている? ものすごく、つまらなそうな顔しているし。まるで子供みたい。

「……妬いてる?」
「妬いてねぇ」
「嘘だぁ。正直に吐きたまえ」
「妬いてねぇって」
「なんでよっ! 妬いてよこんがりとっ!」
「オレは妬かねぇって、前に言っただろ。そんな無意味なことしねぇの。つーか話がズレてんじゃねぇか。飲み会のことだろ?」

 はぐらかされた。妬いているくせに。無意味じゃないもん、私が嬉しいんだぞ。すんごく意味あるじゃない。
 思いきり口を尖らせて黙っていると、桔平くんは立っている私を抱き寄せて、自分の膝の上に座らせた。

「……はぁ、別にいいけどさ」
「え、いいの? 来てくれるの?」
「オレが断ったって、どうせ愛茉は行くんだろ? 小林がいるのに、愛茉をひとりにするわけにはいかねぇし……」
「さすが桔平くん! ありがとう~」

 私は思わず、桔平くんの頬にキスをした。
 ほら、やっぱり私には甘いんだから。どれだけ嫌がっていても、私のためならそう言ってくれるって思っていたんだよね。


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 でも負けないぞ。私のお願いは、最終的に絶対OKしてくれるはずだもん。分かっているんだからね。
「え、えっと。結衣はちょっとタレ目で唇がぽってりした子で、葵は黒髪ロングですっきりした顔の清楚系」
「覚えてねぇ」
「……とにかく、そのふたりが彼氏欲しいってずっと言っていて。私も七海も彼氏ができて、合コンに行かなくなっちゃったじゃない? いつも七海と翔流くんの人脈でメンバーを集めていたから、ふたりとも出会いが減っちゃったらしくて。だからセッティングしてあげることになったんだけど、藝大生と話してみたいって……」
「だからって、なんで小林と長岡なんだよ」
「だって私と七海が知っている藝大生メンズって、そのふたりだけなんだもん。小林さんと長岡さんにはヨネちゃんが伝えてくれて、ふたりともOKだったの。ただ、いきなり初対面の4人だけっていうのも不安だから、私たちも同席してほしいって結衣たちが……」
「翔流と七海ちゃんだけでいいじゃねぇか。大体、長岡が来るのに愛茉も行くわけ?」
「そ、それは……」
 どうやら長岡さんは、私のことをまだ好きみたい。先月、藝大の大学祭に行ったときにも会ったんだけど、私を見ると相変わらず頬を赤らめていた。とっても純粋だから、そう簡単にほかの人を好きになれないんだろうな。
 だけどやっぱり、長岡さんには報われる恋をしてほしいし。この合コン……もとい飲み会が、ほかの子に心を動かすきっかけになればいいなぁっていう気持ちがあるのも事実。
「愛茉がいたら、ほかの女には目ぇ行かねぇだろ」
「で、でも、ほら。別に、結衣と葵のどっちかと恋愛しろっていうわけじゃないし。長岡さんは女性が苦手って言っていたから、慣れるきっかけになるかもってことで……」
「長岡は、愛茉に会いたくてOKしただけじゃねぇのー?」
 え、なにその言い方。まさか拗ねている? ていうか、妬いている? ものすごく、つまらなそうな顔しているし。まるで子供みたい。
「……妬いてる?」
「妬いてねぇ」
「嘘だぁ。正直に吐きたまえ」
「妬いてねぇって」
「なんでよっ! 妬いてよこんがりとっ!」
「オレは妬かねぇって、前に言っただろ。そんな無意味なことしねぇの。つーか話がズレてんじゃねぇか。飲み会のことだろ?」
 はぐらかされた。妬いているくせに。無意味じゃないもん、私が嬉しいんだぞ。すんごく意味あるじゃない。
 思いきり口を尖らせて黙っていると、桔平くんは立っている私を抱き寄せて、自分の膝の上に座らせた。
「……はぁ、別にいいけどさ」
「え、いいの? 来てくれるの?」
「オレが断ったって、どうせ愛茉は行くんだろ? 小林がいるのに、愛茉をひとりにするわけにはいかねぇし……」
「さすが桔平くん! ありがとう~」
 私は思わず、桔平くんの頬にキスをした。
 ほら、やっぱり私には甘いんだから。どれだけ嫌がっていても、私のためならそう言ってくれるって思っていたんだよね。