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「はぁ、いいなぁ。浅尾さん、めっちゃかっこいいもんね。すっごく色気があるし、あの個性的な服装もクセになるし、スタイルも声もいいし。ねぇー、なんで今年の学祭は来てくれなかったのよー!」
「桔平くん、卒業制作で忙しいから……」

 っていうのは、建前。去年来てくれたとき、女の子にキャーキャー言われたのが嫌だったみたいで。今年は七海たちと楽しみなって、やんわり断られたんだよね。そもそも桔平くんは、人が多い場所に行くのは嫌いだし。女の子の相手をするのは、もっと嫌いだし。女子大の学祭なんて、地獄でしょう……。

「たまにはいい男を眺めて、目の保養がしたいんだよぉ! ここもバ先もオッサンばっかだもん! 結衣は若い男に飢えているの!」
「まぁ、結衣のその気持ちは分かるわ。浅尾っちみたいな人って、なかなかいないもんね。見るだけで、ご利益ありそう」
「だよねぇ⁉ 結衣さ、最近気づいたんだよ。葵とも話していたんだけど、やっぱり男は個性を出していかないとねって。そして個性と言えば、藝大じゃない?」

 結衣が、ずいっと身を乗り出してくる。……なんか、嫌な予感。

「そこで、愛茉にお願いがあるんだけどぉ……」

 私の予感は、よく当たる。案の定、結衣の「お願い」を断ることができなくて、重大な任務を任されてしまった。
 そして帰宅後。桔平くんに、その任務のことを話した。

「はぁ? 小林たちと合コン?」

 桔平くんが、これでもかというほど顔をしかめる。予想通りの反応。帰ってきた瞬間は、いつも通りニコニコしてくれたんだけどな。

 そう。重大な任務とは、結衣たちと藝大生との飲み会というか合コンというか、とにかくそのセッティングを頼まれたのです。頼まれたというか、押し切られたというか。とにかく、果たさなければならない任務なのです。

「合コンじゃなくて……ふ、普通の飲み会かなぁ? 七海と翔流くんも来るし」
「なんでオレまで行かなきゃなんねぇんだよ」

 言いながら、上着をベッドへ放り投げた。もう、ちゃんとハンガーに掛けてって、いつも言っているのに。

「……ば、場を和ませ」
「オレが和ませられると思ってんの?」

 ベッドサイドのひとりがけソファにどっかり座って、桔平くんがふんぞり返る。
 思いません。まったく、思いません。不機嫌な様子で、ひたすら食べ続ける姿しか想像できない。

 本当は、結衣と葵が桔平くんに会いたがってるんだよね……でもそんなことを本人に言ったら、絶対に断るだろうしなぁ。
 
「えっと……覚えてる? 私たちが出会った合コンに来ていた、結衣と葵……」
「まったく覚えてねぇな。そんな太古の昔のこと」

 あ、これは不機嫌スイッチが入っている。めちゃくちゃ顔に書いてあるし。「すげぇ面倒」って。そしてオーラが怖い。

 七海と翔流くんの一件でもそうだったけれど、桔平くんは他人の恋愛に首を突っ込むのを極端に嫌っている。特に合コンなんて聞くと、関わりたくないって思っちゃうんだろうな。


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「はぁ、いいなぁ。浅尾さん、めっちゃかっこいいもんね。すっごく色気があるし、あの個性的な服装もクセになるし、スタイルも声もいいし。ねぇー、なんで今年の学祭は来てくれなかったのよー!」
「桔平くん、卒業制作で忙しいから……」
 っていうのは、建前。去年来てくれたとき、女の子にキャーキャー言われたのが嫌だったみたいで。今年は七海たちと楽しみなって、やんわり断られたんだよね。そもそも桔平くんは、人が多い場所に行くのは嫌いだし。女の子の相手をするのは、もっと嫌いだし。女子大の学祭なんて、地獄でしょう……。
「たまにはいい男を眺めて、目の保養がしたいんだよぉ! ここもバ先もオッサンばっかだもん! 結衣は若い男に飢えているの!」
「まぁ、結衣のその気持ちは分かるわ。浅尾っちみたいな人って、なかなかいないもんね。見るだけで、ご利益ありそう」
「だよねぇ⁉ 結衣さ、最近気づいたんだよ。葵とも話していたんだけど、やっぱり男は個性を出していかないとねって。そして個性と言えば、藝大じゃない?」
 結衣が、ずいっと身を乗り出してくる。……なんか、嫌な予感。
「そこで、愛茉にお願いがあるんだけどぉ……」
 私の予感は、よく当たる。案の定、結衣の「お願い」を断ることができなくて、重大な任務を任されてしまった。
 そして帰宅後。桔平くんに、その任務のことを話した。
「はぁ? 小林たちと合コン?」
 桔平くんが、これでもかというほど顔をしかめる。予想通りの反応。帰ってきた瞬間は、いつも通りニコニコしてくれたんだけどな。
 そう。重大な任務とは、結衣たちと藝大生との飲み会というか合コンというか、とにかくそのセッティングを頼まれたのです。頼まれたというか、押し切られたというか。とにかく、果たさなければならない任務なのです。
「合コンじゃなくて……ふ、普通の飲み会かなぁ? 七海と翔流くんも来るし」
「なんでオレまで行かなきゃなんねぇんだよ」
 言いながら、上着をベッドへ放り投げた。もう、ちゃんとハンガーに掛けてって、いつも言っているのに。
「……ば、場を和ませ」
「オレが和ませられると思ってんの?」
 ベッドサイドのひとりがけソファにどっかり座って、桔平くんがふんぞり返る。
 思いません。まったく、思いません。不機嫌な様子で、ひたすら食べ続ける姿しか想像できない。
 本当は、結衣と葵が桔平くんに会いたがってるんだよね……でもそんなことを本人に言ったら、絶対に断るだろうしなぁ。
「えっと……覚えてる? 私たちが出会った合コンに来ていた、結衣と葵……」
「まったく覚えてねぇな。そんな太古の昔のこと」
 あ、これは不機嫌スイッチが入っている。めちゃくちゃ顔に書いてあるし。「すげぇ面倒」って。そしてオーラが怖い。
 七海と翔流くんの一件でもそうだったけれど、桔平くんは他人の恋愛に首を突っ込むのを極端に嫌っている。特に合コンなんて聞くと、関わりたくないって思っちゃうんだろうな。