因縁 3
ー/ー
「すげー! 見て下さいユモトさんふかふかのベッドですよ!」
ムツヤはテンションを上げて言う、ユモトは「そうですね」とニコニコしていた。
ヨーリィは一番左端のベッドにちょこんと座る。ムツヤは右端のベッドに走って飛び込んでいた。
「おー、はねるはねる。すげーっすよユモトさん! ヨーリィ!」
「お兄ちゃんが楽しそうでなにより」
ヨーリィは上半身を反らせてムツヤを逆さまに見つめる。
「あー、いい匂いもするし良いお店ですね!」
こちらの世界に来てから安宿にしか泊まったことのないムツヤは喜んでいた。
いや、この宿も安いのだが、値段にしては上質すぎるのだ。
ムツヤは修学旅行生の様にベッドの上でぴょんぴょん飛び跳ねていた。
そんな時ドアをノックされ、ムツヤはベッドから飛び降りようとしたのだが、予想以上に跳ねてしまい目の前に座るユモトに向かって行ってしまった。
「あ、あぶない!」
ユモトはとっさにムツヤを受け止めようとするが、そのままベッドに2人して倒れてしまう。
「っと、いうことがありまして……」
ユモトが説明するとアシノはムツヤの頭にワインボトルのフタをパコンと飛ばした。
「調子に乗るな、馬鹿」
「すみません……」
ムツヤはすっかりテンションが下がってしまった。
エルフの村、クロースで宿を取ることにしたムツヤ達。それは大正解であった。
美味しい料理を堪能した後は旅の疲れを癒やす風呂に入ることが出来たのだ。
「見てみてー! 花びら浮いてる!」
8人ほどが入れそうな大きさの風呂には花びらやハーブが入れられており、芳しい匂いがしていた。
「本当、良いですね」
モモもその光景をみてウットリとして言った。アシノも満足そうな顔をしている。
「さぁさぁ、体洗ってさっさと入るわよ!」
ルーは張り切ってシャワーを浴び、石鹸を泡立てて体を洗い始めた。
「ヨーリィちゃんこっちおいで、頭洗ってあげるから!」
「いえ、自分で洗えますので」
「洗った後お風呂に髪が入らないように結ってあげるから!」
ルーに押し切られたヨーリィは観念したのか椅子にちょこんと座る。
皆が体を洗い終えて風呂に入った。
温かい湯は旅の疲れによく効く。そしてこのハーブ達の香りでウトウトとし始めてしまった。
「あー気持ちいい寝ちゃいそうー」
ルーは浴槽にもたれ掛かりながら言う。そんな時にコンコンコンとノックの音がする。
「失礼します、お湯加減はいかがでしょうか?」
ドアが開くと先程のエルフの娘カノイが居た。
「あぁ、いい湯加減だ」
アシノがそう答えると笑顔でカノイは言う。
「そうでしたか、良かったー下等な人間と下劣なオークにもこのお湯の良さは分かるのですね」
皆がいきなり信じられない言葉を浴びせられて固まってしまった。
「すまないな、なんて言ったかよく分からなかった」
アシノは浴槽から立ち上がって聞き返した。目には警戒心が宿っている。
「あら、失礼しました。下等な人間にはもっと簡単な言葉じゃなければダメでしたね!」
他の皆も異常に気付き、立ち上がった。
「おバカな人間とクソみたいなオークさんにもお湯の良さは分かるんですねって言ったんですよ」
エルフの宿屋の娘、カノイは笑顔で言い直す。
「何々、急にどうしたってのよ」
ルーはカノイを見据えたまま近付く。その瞬間、何かを察知したヨーリィが風のように走り、投げつけられたナイフを木の杭で撃ち落とす。
「あらあら、面白いことができるんですね! ですが、あなた達には死んでもらいます」
後ろからゾロゾロとエルフ達がやってきた。
「お風呂覗きなんていい趣味してるわね」
追い込まれていることを悟られないようにルーは虚勢を張ったが、人数の差は大きすぎる。モモも危険を察していた。
相手は武装したエルフの集団。こちらはタオル1枚体に巻いただけ。
モモとアシノは武器が無く、ルーは杖という触媒無しには弱い精霊しか召喚できない。
唯一まともに戦えそうなのはヨーリィだけだ。
「お姉ちゃん達は下がっていて」
ヨーリィを中心に枯れ葉を巻き込んだ竜巻が起き、収まるといつもの服へと着替え終わっていた。
「ヨーリィちゃんのそれ、こういう時便利ね」
「言ってる場合か! お前も精霊を出せ!」
「あーもう、分かってるわよ!」
ルーは風呂の湯を触媒にしていつもより弱めの水の精霊を召喚した。
「いくわよ、ヨーリィちゃん!!」
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ムツヤはテンションを上げて言う、ユモトは「そうですね」とニコニコしていた。
ヨーリィは一番左端のベッドにちょこんと座る。ムツヤは右端のベッドに走って飛び込んでいた。
「おー、はねるはねる。すげーっすよユモトさん! ヨーリィ!」
「お兄ちゃんが楽しそうでなにより」
ヨーリィは上半身を反らせてムツヤを逆さまに見つめる。
「あー、いい匂いもするし良いお店ですね!」
こちらの世界に来てから安宿にしか泊まったことのないムツヤは喜んでいた。
いや、この宿も安いのだが、値段にしては上質すぎるのだ。
ムツヤは修学旅行生の様にベッドの上でぴょんぴょん飛び跳ねていた。
そんな時ドアをノックされ、ムツヤはベッドから飛び降りようとしたのだが、予想以上に跳ねてしまい目の前に座るユモトに向かって行ってしまった。
「あ、あぶない!」
ユモトはとっさにムツヤを受け止めようとするが、そのままベッドに2人して倒れてしまう。
「っと、いうことがありまして……」
ユモトが説明するとアシノはムツヤの頭にワインボトルのフタをパコンと飛ばした。
「調子に乗るな、馬鹿」
「すみません……」
ムツヤはすっかりテンションが下がってしまった。
エルフの村、クロースで宿を取ることにしたムツヤ達。それは大正解であった。
美味しい料理を堪能した後は旅の疲れを癒やす風呂に入ることが出来たのだ。
「見てみてー! 花びら浮いてる!」
8人ほどが入れそうな大きさの風呂には花びらやハーブが入れられており、芳しい匂いがしていた。
「本当、良いですね」
モモもその光景をみてウットリとして言った。アシノも満足そうな顔をしている。
「さぁさぁ、体洗ってさっさと入るわよ!」
ルーは張り切ってシャワーを浴び、石鹸を泡立てて体を洗い始めた。
「ヨーリィちゃんこっちおいで、頭洗ってあげるから!」
「いえ、自分で洗えますので」
「洗った後お風呂に髪が入らないように結ってあげるから!」
ルーに押し切られたヨーリィは観念したのか椅子にちょこんと座る。
皆が体を洗い終えて風呂に入った。
温かい湯は旅の疲れによく効く。そしてこのハーブ達の香りでウトウトとし始めてしまった。
「あー気持ちいい寝ちゃいそうー」
ルーは浴槽にもたれ掛かりながら言う。そんな時にコンコンコンとノックの音がする。
「失礼します、お湯加減はいかがでしょうか?」
ドアが開くと先程のエルフの娘カノイが居た。
「あぁ、いい湯加減だ」
アシノがそう答えると笑顔でカノイは言う。
「そうでしたか、良かったー下等な人間と下劣なオークにもこのお湯の良さは分かるのですね」
皆がいきなり信じられない言葉を浴びせられて固まってしまった。
「すまないな、なんて言ったかよく分からなかった」
アシノは浴槽から立ち上がって聞き返した。目には警戒心が宿っている。
「あら、失礼しました。下等な人間にはもっと簡単な言葉じゃなければダメでしたね!」
他の皆も異常に気付き、立ち上がった。
「おバカな人間とクソみたいなオークさんにもお湯の良さは分かるんですねって言ったんですよ」
エルフの宿屋の娘、カノイは笑顔で言い直す。
「何々、急にどうしたってのよ」
ルーはカノイを見据えたまま近付く。その瞬間、何かを察知したヨーリィが風のように走り、投げつけられたナイフを木の杭で撃ち落とす。
「あらあら、面白いことができるんですね! ですが、あなた達には死んでもらいます」
後ろからゾロゾロとエルフ達がやってきた。
「お風呂覗きなんていい趣味してるわね」
追い込まれていることを悟られないようにルーは虚勢を張ったが、人数の差は大きすぎる。モモも危険を察していた。
相手は武装したエルフの集団。こちらはタオル1枚体に巻いただけ。
モモとアシノは武器が無く、ルーは杖という触媒無しには弱い精霊しか召喚できない。
唯一まともに戦えそうなのはヨーリィだけだ。
「お姉ちゃん達は下がっていて」
ヨーリィを中心に枯れ葉を巻き込んだ竜巻が起き、収まるといつもの服へと着替え終わっていた。
「ヨーリィちゃんのそれ、こういう時便利ね」
「言ってる場合か! お前も精霊を出せ!」
「あーもう、分かってるわよ!」
ルーは風呂の湯を触媒にしていつもより弱めの水の精霊を召喚した。
「いくわよ、ヨーリィちゃん!!」