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第39話 おやつ勉強会3~本心~

ー/ー



「え、私?」
「そうですよ」

 夏美センパイは梨絵に『夏芽が憎いはず』と言われて考えている。もしかしたら、夏美センパイも迅くんが好きだったのだろうか……。

「ん? あぁ、迅くん?」
「そうだよ!! 迅先輩が東京に引っ越す前までも友だちで、今も友だちだったら、どこかの時点で恋愛感情はあっただろ!!」

 梨絵はマジメな性格だ。中等部の先生にも麻実センパイにも、夏美センパイにも基本的に敬語だ。滅多に砕けた口調にならないし、怒った口調にならない。9月の途中からの付き合いだけど、親友と思っているから、これくらいはわかる。
 
 でも、今は興奮して夏美センパイに強い口調で話している。

「んー、迅くんがこっちに戻ってきてすぐは、嬉しかったし、懐かしいと思ってたけど、転校生だから大変だろうなぁと世話は焼いたけど、恋愛感情の好きはなかったかなぁ」
「え、待って、なっちゃん、迅のこと好きじゃなかったの?」
「まやまで!?」
「それに今は日辻くんがいるし」
「いやいや、今の話じゃなくて、迅が転校してきてからずっとの話だよ」

「麻実先輩はどうだったんです!? 麻実先輩だって、見てる限り迫ってる感じありましたよ!!」

 夏美センパイと麻実センパイが話し始めた。迅くんの同級生に思いはなかったみたいだ。そして、梨絵の怒りの矛先が全員に向いている。梨絵の気持ちにわたしだって気付いていなかったわけじゃない。クリスマス会実行委員の時の学校の泊りがけの時に、けっこう遅くまで迅くんと何か外で話していたみたいだったし、3学期始まってからも結構な頻度で迅くんの話をしていた。でも、わたしには迅くんのことを相談できるのは梨絵だけだから甘えていた。

「ウチ、行ってくる!!」

 この状況で梨絵がどこに行くつもりかは全員わかっている。迅くんに告白だろう。告白でなくても、迅くんの家に行くのだろう。梨絵は『する』と言えば、『する』のだ。でも、この状況で迅くんの家に向かうのは賛成できない。それはわたしたちみんな同意見なのだろう。夏美センパイも必死に部屋や窓の施錠をして止めている。麻実センパイは言葉で説得している。

 わたしはどうすべきだろう。どう止めるべきだろう。これを考えていたはずだ。それがいつの間にか、梨絵と彩莉先輩にとられたくない。『迅くんはわたしだけの彼氏』という思いがいっぱいになった。

「梨絵に……」

 わたしは何を言いたいんだろう。

 『梨絵に何がわかるの!?』なのか『梨絵に迅くんを譲るよ』なのかがわからない。

「わたしだって、わたしだって……」
「夏芽だってなんなのよ!! 言えないならそれは本心じゃないんだよ!!」

 わたしだって聖人君子じゃない。この言葉が詰まるのは『本心』がわからないからだ。

「わかんないから!! わたしが迅くんとどうなりたいかだってわかんないし、もしかしたら、迅くんと梨絵が付き合ったほうがいいとか、同級生だし初恋なんだし彩莉先輩とうまくいった方が迅くんにとって幸せなのかしれないって思うんだよ!! わたしの心の中を見たかのような発言しないでよ!!」

 梨絵もわたしも思ったことを言っても落ち着かない。

 このまま迅くんの家に向かうこととなった。

 梨絵もわたし、麻実センパイ、夏美センパイみんなで向かって白黒つけようとなった。


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次のエピソードへ進む 第40話 迅の家へ1~梨絵の味方~


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「え、私?」
「そうですよ」
 夏美センパイは梨絵に『夏芽が憎いはず』と言われて考えている。もしかしたら、夏美センパイも迅くんが好きだったのだろうか……。
「ん? あぁ、迅くん?」
「そうだよ!! 迅先輩が東京に引っ越す前までも友だちで、今も友だちだったら、どこかの時点で恋愛感情はあっただろ!!」
 梨絵はマジメな性格だ。中等部の先生にも麻実センパイにも、夏美センパイにも基本的に敬語だ。滅多に砕けた口調にならないし、怒った口調にならない。9月の途中からの付き合いだけど、親友と思っているから、これくらいはわかる。
 でも、今は興奮して夏美センパイに強い口調で話している。
「んー、迅くんがこっちに戻ってきてすぐは、嬉しかったし、懐かしいと思ってたけど、転校生だから大変だろうなぁと世話は焼いたけど、恋愛感情の好きはなかったかなぁ」
「え、待って、なっちゃん、迅のこと好きじゃなかったの?」
「まやまで!?」
「それに今は日辻くんがいるし」
「いやいや、今の話じゃなくて、迅が転校してきてからずっとの話だよ」
「麻実先輩はどうだったんです!? 麻実先輩だって、見てる限り迫ってる感じありましたよ!!」
 夏美センパイと麻実センパイが話し始めた。迅くんの同級生に思いはなかったみたいだ。そして、梨絵の怒りの矛先が全員に向いている。梨絵の気持ちにわたしだって気付いていなかったわけじゃない。クリスマス会実行委員の時の学校の泊りがけの時に、けっこう遅くまで迅くんと何か外で話していたみたいだったし、3学期始まってからも結構な頻度で迅くんの話をしていた。でも、わたしには迅くんのことを相談できるのは梨絵だけだから甘えていた。
「ウチ、行ってくる!!」
 この状況で梨絵がどこに行くつもりかは全員わかっている。迅くんに告白だろう。告白でなくても、迅くんの家に行くのだろう。梨絵は『する』と言えば、『する』のだ。でも、この状況で迅くんの家に向かうのは賛成できない。それはわたしたちみんな同意見なのだろう。夏美センパイも必死に部屋や窓の施錠をして止めている。麻実センパイは言葉で説得している。
 わたしはどうすべきだろう。どう止めるべきだろう。これを考えていたはずだ。それがいつの間にか、梨絵と彩莉先輩にとられたくない。『迅くんはわたしだけの彼氏』という思いがいっぱいになった。
「梨絵に……」
 わたしは何を言いたいんだろう。
 『梨絵に何がわかるの!?』なのか『梨絵に迅くんを譲るよ』なのかがわからない。
「わたしだって、わたしだって……」
「夏芽だってなんなのよ!! 言えないならそれは本心じゃないんだよ!!」
 わたしだって聖人君子じゃない。この言葉が詰まるのは『本心』がわからないからだ。
「わかんないから!! わたしが迅くんとどうなりたいかだってわかんないし、もしかしたら、迅くんと梨絵が付き合ったほうがいいとか、同級生だし初恋なんだし彩莉先輩とうまくいった方が迅くんにとって幸せなのかしれないって思うんだよ!! わたしの心の中を見たかのような発言しないでよ!!」
 梨絵もわたしも思ったことを言っても落ち着かない。
 このまま迅くんの家に向かうこととなった。
 梨絵もわたし、麻実センパイ、夏美センパイみんなで向かって白黒つけようとなった。