12
ー/ー
「なんで勝手に決めつけんのよ。私がいつ、かけるんのことを都合のいい友達だって言った?」
口調はキツいけれど、七海の表情はさっきまでのように険しくはない。いけ、言っちゃえ。
「だってななみん、セフレいるじゃん。俺もそういう枠なのかなって」
「いたよ! いたけど、お別れしたし! かけるんとエッチしたあと、ソッコーで!」
「え、マジ?」
私は、口元がニヤけてしまうのを必死で抑えていた。やばい、嬉しい。友達のことで、こんなに嬉しい気持ちになるなんて。最高のバレンタインデーじゃない?
「……ちゃんと責任取ってよね。私を本気にさせた責任」
そう言った七海は、やっぱり恋する女の子の顔をしていた。
桔平くんが私の肩をつついて、店を出ようと目で訴える。そして奢られに来たとか言っておきながら、きちんとテーブルの上にお金を置いていた。
七海と翔流くんは、もうふたりの世界に入っちゃったみたい。私たちがそっと出て行ったのには、まったく気がつかなかった。
「はぁ~なんか無駄に疲れたわ」
帰宅すると、桔平くんが不機嫌な表情でこぼした。
「ごめんね、巻き込んじゃって」
「まったくだ。ガキじゃねぇんだから、自分たちだけでやってろっつーの」
悪態をついているけれど、本当はふたりのこと心配だったんでしょ。私には分かるもんね。そうじゃなきゃ、あそこで翔流くんにビシッと言ったりしないはずだし。やっぱり、桔平くんは優しい。
「さっき、七海からLINEきたよ。ちゃんと付き合おうって言われたみたい。桔平くんにも、ありがとーだって」
「あっそー」
脱いだコートをポールラックに雑に掛けながら、全然興味なさそうに返事をする。そして盛大なため息とともに、ベッドへ仰向けに倒れた。
「はい。ハッピーバレンタイーン!」
私はキッチンカウンターに置いていた紙袋を取って、寝転がる桔平くんの横に置いた。付き合わせてごめんねの意味も込めて。
「そうそう、これだよ。これ食わねぇと今日が終わらん」
ガバっと起き上がって、一気にご機嫌な表情になる。こういうところ、子供みたいで可愛いのよね。
「すげぇ。デコレーション、綺麗じゃん。いただきまーす」
私は隣に座って、桔平くんが食べる姿をドキドキしながら見つめた。
「……味、どう?」
「めちゃくちゃウマい」
ああ、よかった。お菓子の味だけじゃなくて、完全に桔平くんの機嫌が直ったことにも安心する。
「愛茉も食う?」
「ううん、私は」
言い終わる前に、口の中にチョコレートの味が広がった。
「どう?」
唇を離してそう訊いてくる桔平くんの顔は、さっきとは一変してとても色っぽくて、一気に心臓が早鐘を打ち始める。
「……すごく、甘い」
「んじゃ、一緒に味わおうぜ。甘い物は別腹なんだろ?」
バレンタインは、恋人たちの日。七海と翔流くんも、幸せな時間を過ごしているのかな……なんて、そんなことを考える余裕は、すぐになくなった。
自分の指をペロリと舐めたあと、桔平くんが私のワンピースのファスナーを下ろしながら、体を優しく押し倒す。
大好きな人とチョコレートの香りに包まれながら、とっても幸せなバレンタインの夜が過ぎていった。
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「なんで勝手に決めつけんのよ。私がいつ、かけるんのことを都合のいい友達だって言った?」
口調はキツいけれど、七海の表情はさっきまでのように険しくはない。いけ、言っちゃえ。
「だってななみん、セフレいるじゃん。俺もそういう枠なのかなって」
「いたよ! いたけど、お別れしたし! かけるんとエッチしたあと、ソッコーで!」
「え、マジ?」
私は、口元がニヤけてしまうのを必死で抑えていた。やばい、嬉しい。友達のことで、こんなに嬉しい気持ちになるなんて。最高のバレンタインデーじゃない?
「……ちゃんと責任取ってよね。私を本気にさせた責任」
そう言った七海は、やっぱり恋する女の子の顔をしていた。
桔平くんが私の肩をつついて、店を出ようと目で訴える。そして奢られに来たとか言っておきながら、きちんとテーブルの上にお金を置いていた。
七海と翔流くんは、もうふたりの世界に入っちゃったみたい。私たちがそっと出て行ったのには、まったく気がつかなかった。
「はぁ~なんか無駄に疲れたわ」
帰宅すると、桔平くんが不機嫌な表情でこぼした。
「ごめんね、巻き込んじゃって」
「まったくだ。ガキじゃねぇんだから、自分たちだけでやってろっつーの」
悪態をついているけれど、本当はふたりのこと心配だったんでしょ。私には分かるもんね。そうじゃなきゃ、あそこで翔流くんにビシッと言ったりしないはずだし。やっぱり、桔平くんは優しい。
「さっき、七海からLINEきたよ。ちゃんと付き合おうって言われたみたい。桔平くんにも、ありがとーだって」
「あっそー」
脱いだコートをポールラックに雑に掛けながら、全然興味なさそうに返事をする。そして盛大なため息とともに、ベッドへ仰向けに倒れた。
「はい。ハッピーバレンタイーン!」
私はキッチンカウンターに置いていた紙袋を取って、寝転がる桔平くんの横に置いた。付き合わせてごめんねの意味も込めて。
「そうそう、これだよ。これ食わねぇと今日が終わらん」
ガバっと起き上がって、一気にご機嫌な表情になる。こういうところ、子供みたいで可愛いのよね。
「すげぇ。デコレーション、綺麗じゃん。いただきまーす」
私は隣に座って、桔平くんが食べる姿をドキドキしながら見つめた。
「……味、どう?」
「めちゃくちゃウマい」
ああ、よかった。お菓子の味だけじゃなくて、完全に桔平くんの機嫌が直ったことにも安心する。
「愛茉も食う?」
「ううん、私は」
言い終わる前に、口の中にチョコレートの味が広がった。
「どう?」
唇を離してそう訊いてくる桔平くんの顔は、さっきとは一変してとても色っぽくて、一気に心臓が早鐘を打ち始める。
「……すごく、甘い」
「んじゃ、一緒に味わおうぜ。甘い物は別腹なんだろ?」
バレンタインは、恋人たちの日。七海と翔流くんも、幸せな時間を過ごしているのかな……なんて、そんなことを考える余裕は、すぐになくなった。
自分の指をペロリと舐めたあと、桔平くんが私のワンピースのファスナーを下ろしながら、体を優しく押し倒す。
大好きな人とチョコレートの香りに包まれながら、とっても幸せなバレンタインの夜が過ぎていった。