年の瀬も押し迫った土曜日の朝、透はカーテンの隙間から差し込む光で目が覚めた。
──さむっ……。
起きようか、カーテンをきちんと閉めてもう少し寝直すか、と迷いながら掛布団の縁に手を掛けた途端、暖かい布団の中とは段違いの冷たい空気に震え上がってしまう。
「もう十時じゃん。よし、起きるか!」
一人暮らしの職員寮の一室。
古い建物とはいえきちんと二重窓なのにも拘らず、沁みるような寒気が部屋の中まで容赦なく忍び入って来る。
これが雪国の冬の平常なのか。
大学を卒業して、小学校の教員になってまだ一年目。
同じ県内とはいえまったく縁もなかった日本海に近いこの街に赴任して来て、透は初めての冬を迎えている。
雪が降ることはあっても、ほとんど積もらない県庁所在地に育った。そのため、文字通り雪に埋もれるこの土地にはまだ慣れたとは言えない。
年内の授業もつい先日終わった。もちろん教員は児童と同様に即冬休み、とは行くわけもないのだが。
「しんじょうせんせー、さよーならー」
「はーい、さようなら。休みだからってダラダラ過ごしちゃダメだよ。年末年始も早寝早起きの習慣は崩さないようにしようね」
担任クラスの児童と交わした今年最後の挨拶が脳裏に浮かぶ。
「……大掃除はするとしても、やっぱその前にちょっと片付けないとなぁ。大晦日までほっといたら、もう面倒でそのままになりそうでヤバい」
ベッドの上に起き上がって、雑然としか表現のしようもない狭い部屋を見回してみた。
子どもたちに向かって、机やロッカーの整理整頓を口うるさく指導する立場の人間が、こんな汚部屋で年を越しては教え子に顔向けできない。
そんな大袈裟な感情に苛まれてしまった。