「でも天城さんて僕らが傍から見てるだけでも、娘さんのために凄い努力してる感じでしたもんね。やっぱ結局は、そういう積み重ねなんだろうな」
感心した風な達大に、圭亮は茶化さず真剣に返す。
「それは君も含めて、ここのみんなが協力的だったからってのも大きいよ」
「そうですね、僕も実感してますよ。正直、独身の頃はわかってなかった部分もあったんですけど。……うち共働きですし、保育園のお迎えとかで融通利かせてもらえて助かってます」
彼が声に力を籠めるのに、圭亮も頷いた。
「僕はもう娘も大きくなったし、これからは返して行く方だから。こういうのって順送りだろ。君もそう思って、今は甘えてればいいんだよ。今はね」
「はい、ありがとうございます。僕も、お返しできるように頑張ります」
「まーでも、べったりして来てくれるうちに十分堪能しとけよ。どんなに可愛がったって、いやでも離れて行くよ、子どもは」
冗談めかした圭亮の台詞に、達大は苦笑で応えた。
真理愛が懐いて来てくれるのは嬉しい。
本音を言えば、いつまでも己の手の中にいて欲しいとさえ考えている。けれど娘の成長を思えば、それでは駄目なのも理解していた。
達大の言葉通り、真理愛は徐々に親離れしているのだ。それを寂しく感じるのは、父として無理はないとも思っているのだが。
圭亮に必要なのは、心の準備なのだろう。
いざというときに、すんなり手を離してやれるように。我が掌から羽ばたく姿を、笑って見送ってやれるように。
……娘の重荷にだけはならないように。
誰よりも真理愛が大切で、愛しているからこそ。
~END~