イタガ攻防戦 2
ー/ー
「クーラ様、治安維持部隊はどうなの?」
ルーが聞くとクーラは答える。
「最初は本当かと信じて貰えませんでしたが、アシノ様の名前をお出ししたら迎撃の準備を整えてくれる事になりました」
ムツヤ達は改めて勇者という地位とアシノの名前の凄さを思い知った。
「治安維持部隊と冒険者ギルドの連携はお任せしてもよろしいでしょうか? 我々はもっと魔人について調査し、夜は遊撃隊として戦いに参加をしたいと考えているのですが」
「かしこまりました、アシノ様。我々もこの街を守るために全力を尽くします」
アシノは立ち上がり、クーラの手を優しく握り部屋を出た。ムツヤ達も一礼してその後に続く。
残された時間はたった1日、しかしアシノはまた森へ入るわけでもなく、宿屋へと帰った。
「さてとムツヤ、カバンから適当に服や鎧を引っ張り出してくれ、後は私達で選んでおく」
「わがりました」
ムツヤはカバンに手を突っ込んでポイポイと服と鎧を取り出してベッドの上に投げる。
仲間たちはそれぞれムツヤが変装できそうな物をそこから見繕っていた。
「よーし、そろそろ止めて良いぞ」
3つあるベッドの上が服と鎧で山盛りになった頃にアシノは待ったをかけた。仲間たちもそれぞれムツヤに似合いそうな服を見つけたらしい。
1人ずつその服や鎧をムツヤに渡す。
「そんじゃ私達は後ろ向いててやるから着替え終わったら呼んでくれ」
「覗かないから安心してねー」
そう言って皆くるりと後ろを向いたが、ふと違和感に気付いてアシノは言う。
「おいユモト、お前は男なんだから別にこっち向かなくても良いだろ」
「え、あ…… 一応…… と言いますか」
「むしろ男のお前が着替えを手伝ってやれ、鎧は1人で身につけるの大変なんだぞ」
「ぼ、僕がですか!?」
「ユモトさーん、手伝ってくれるならお願いじます」
ムツヤにもお願いをされ慌てながらも目をつむったまま振り返りユモトはゆっくり目を開けた。
そこに居たのはパンツ一丁スタイルのムツヤだ。
「あ、あっすみませんムツヤさん!!」
「? どうして謝るんですか?」
後ろを向いたままルーはクスクスと笑っている。モモは何だかまた嫌な胸騒ぎを感じていた。
「え、これって服…… なんですか?」
「わがりませんけど、着てみますか」
最初に手に取った服を見てユモトとムツヤは不思議に思う。ゴソゴソと音がしてしばらくするとムツヤが声を出す。
「着替え終わりましたー」
その声を聞いて女性陣は後ろを振り返った。そこに居たのは全身黄色のタイツに身を包んだムツヤだった。
「……なんだそれ」
アシノが一言ポツリと言うと同時にルーは指をさして笑い始める。
「似合う、っぷくくく、似合うじゃない」
「選んだのお前か!! お前街を守りたいのか守りたくないのかどっちなんだ!!!」
アシノは思わずルーの頭を引っ叩くと「パプゥ」と変な声を出した。
「ふざけたわけじゃないわよ、あの黄色い服には何かとてつもないパワーを感じるの。そう、例えるなら宇宙のパワーを!!」
「宇宙ですか……」
モモも若干呆れたように言う。ヨーリィは興味なさげにぼーっとムツヤを見ている。
「何でずかね、この服を着ていると体を伸ばしたくなります」
言ってムツヤは手や足を伸ばし始めた。
「力が溜まっていく感じがします、大きな声で数も数えたくなってきました!!」
「いい加減にしろ、その服は却下だ却下」
ルーの選んだ黄色いタイツは却下されることになる。
「ユモト、そいつはアホみたいに強いから見た目重視でいけ」
「あ、はい、わかりました!」
そしてまた女性陣が後ろを向いてムツヤの着替えが始まった。
「うーん、見た目重視ですか……」
ユモトは悩み、置かれている服と鎧を顔を赤らめながらパンツ一丁スタイルのムツヤにかざしてみた。
「これとこれなんか良いんじゃないですか?」
「うーん、これ入りますかね」
「それじゃあ僕が広げて抑えているんで入れて下さい」
「じゃあいきますよ」
「あ、入った。そのまま動けますか?」
「ちょっと動かしてみますね」
カチャカチャと金属音が聞こえるのでおそらく鎧を身につけているだけだろう。だがモモは何か変な胸騒ぎが大きくなる。
それからしばらくしてユモトが「よしっ」と小さく言ってから皆に声をかけた。
「お待たせしました、もう大丈夫ですよ」
振り返るとそこには青い鎧に身を包んだムツヤがいた。顔も見事に隠れている。
「おぉ、良いんじゃないのか?」
アシノが言うとモモも同調した。
「確かに、これならばムツヤ殿とわかりませんね」
ちなみにこの鎧を選んだのはモモであり、少しだけ嬉しくなったみたいだ。
「ムツヤっちの変装はこれで決まりとして、私達はこれからどうするの?」
ルーがアシノに尋ねると、アシノはそれに答える。
「もちろん決まっているだろう。明日の夜まで待機だ」
アシノの言葉に全員が戸惑う。てっきり魔人やトロールの調査か、何なら奇襲でもかけるものだと思っていたからだ。
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ルーが聞くとクーラは答える。
「最初は本当かと信じて貰えませんでしたが、アシノ様の名前をお出ししたら迎撃の準備を整えてくれる事になりました」
ムツヤ達は改めて勇者という地位とアシノの名前の凄さを思い知った。
「治安維持部隊と冒険者ギルドの連携はお任せしてもよろしいでしょうか? 我々はもっと魔人について調査し、夜は遊撃隊として戦いに参加をしたいと考えているのですが」
「かしこまりました、アシノ様。我々もこの街を守るために全力を尽くします」
アシノは立ち上がり、クーラの手を優しく握り部屋を出た。ムツヤ達も一礼してその後に続く。
残された時間はたった1日、しかしアシノはまた森へ入るわけでもなく、宿屋へと帰った。
「さてとムツヤ、カバンから適当に服や鎧を引っ張り出してくれ、後は私達で選んでおく」
「わがりました」
ムツヤはカバンに手を突っ込んでポイポイと服と鎧を取り出してベッドの上に投げる。
仲間たちはそれぞれムツヤが変装できそうな物をそこから見繕っていた。
「よーし、そろそろ止めて良いぞ」
3つあるベッドの上が服と鎧で山盛りになった頃にアシノは待ったをかけた。仲間たちもそれぞれムツヤに似合いそうな服を見つけたらしい。
1人ずつその服や鎧をムツヤに渡す。
「そんじゃ私達は後ろ向いててやるから着替え終わったら呼んでくれ」
「覗かないから安心してねー」
そう言って皆くるりと後ろを向いたが、ふと違和感に気付いてアシノは言う。
「おいユモト、お前は男なんだから別にこっち向かなくても良いだろ」
「え、あ…… 一応…… と言いますか」
「むしろ男のお前が着替えを手伝ってやれ、鎧は1人で身につけるの大変なんだぞ」
「ぼ、僕がですか!?」
「ユモトさーん、手伝ってくれるならお願いじます」
ムツヤにもお願いをされ慌てながらも目をつむったまま振り返りユモトはゆっくり目を開けた。
そこに居たのはパンツ一丁スタイルのムツヤだ。
「あ、あっすみませんムツヤさん!!」
「? どうして謝るんですか?」
後ろを向いたままルーはクスクスと笑っている。モモは何だかまた嫌な胸騒ぎを感じていた。
「え、これって服…… なんですか?」
「わがりませんけど、着てみますか」
最初に手に取った服を見てユモトとムツヤは不思議に思う。ゴソゴソと音がしてしばらくするとムツヤが声を出す。
「着替え終わりましたー」
その声を聞いて女性陣は後ろを振り返った。そこに居たのは全身黄色のタイツに身を包んだムツヤだった。
「……なんだそれ」
アシノが一言ポツリと言うと同時にルーは指をさして笑い始める。
「似合う、っぷくくく、似合うじゃない」
「選んだのお前か!! お前街を守りたいのか守りたくないのかどっちなんだ!!!」
アシノは思わずルーの頭を引っ叩くと「パプゥ」と変な声を出した。
「ふざけたわけじゃないわよ、あの黄色い服には何かとてつもないパワーを感じるの。そう、例えるなら宇宙のパワーを!!」
「宇宙ですか……」
モモも若干呆れたように言う。ヨーリィは興味なさげにぼーっとムツヤを見ている。
「何でずかね、この服を着ていると体を伸ばしたくなります」
言ってムツヤは手や足を伸ばし始めた。
「力が溜まっていく感じがします、大きな声で数も数えたくなってきました!!」
「いい加減にしろ、その服は却下だ却下」
ルーの選んだ黄色いタイツは却下されることになる。
「ユモト、そいつはアホみたいに強いから見た目重視でいけ」
「あ、はい、わかりました!」
そしてまた女性陣が後ろを向いてムツヤの着替えが始まった。
「うーん、見た目重視ですか……」
ユモトは悩み、置かれている服と鎧を顔を赤らめながらパンツ一丁スタイルのムツヤにかざしてみた。
「これとこれなんか良いんじゃないですか?」
「うーん、これ入りますかね」
「それじゃあ僕が広げて抑えているんで入れて下さい」
「じゃあいきますよ」
「あ、入った。そのまま動けますか?」
「ちょっと動かしてみますね」
カチャカチャと金属音が聞こえるのでおそらく鎧を身につけているだけだろう。だがモモは何か変な胸騒ぎが大きくなる。
それからしばらくしてユモトが「よしっ」と小さく言ってから皆に声をかけた。
「お待たせしました、もう大丈夫ですよ」
振り返るとそこには青い鎧に身を包んだムツヤがいた。顔も見事に隠れている。
「おぉ、良いんじゃないのか?」
アシノが言うとモモも同調した。
「確かに、これならばムツヤ殿とわかりませんね」
ちなみにこの鎧を選んだのはモモであり、少しだけ嬉しくなったみたいだ。
「ムツヤっちの変装はこれで決まりとして、私達はこれからどうするの?」
ルーがアシノに尋ねると、アシノはそれに答える。
「もちろん決まっているだろう。明日の夜まで待機だ」
アシノの言葉に全員が戸惑う。てっきり魔人やトロールの調査か、何なら奇襲でもかけるものだと思っていたからだ。