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モニカのクラス

ー/ー



ついにきたこの日を、待ちわびたものがどれだけいるだろうか。魔法使いを目指すもの達が一堂に会するこの日は世界各国から注目される、ノーチェスの一大行事だ。


「それではこれより、バウディアムス魔法学園、入学式を執り行う」

「ひゅ〜、ビシッとしてるね〜アステシア先生」

「黙れ」


 普段は露出の多い服装をしている獄蝶のジョカも、今日ばかりは礼服を着こなしている。


「新入生、入場」


 アステシアの合図とともに扉が開き、今年の新入生たちが続々と姿を現す。緊張で落ち着かないものや、不安をものともしないもの。そもそも興味がなく早く終わらないかと思うものもいた。


(ここが!)

(ここで……)


 ただ1つ、この新入生たちは同じ志を持っている。


(あのバウディアムス!)

(俺が大魔法使いに……)


 このバウディアムス魔法学園は、ノーチェスに存在するすべての魔法使いの出発点だ。


「新入生代表挨拶、新入生代表パーシー・クラウディア」

「あれが今年の首席……」

「去年ほど強そうじゃないね〜」


 パーシーが席を立った瞬間、ざわりと会場から声が漏れる。


「え〜と、私こういう堅苦しいの苦手なので、簡単な挨拶と一言だけで失礼します」


 とても代表挨拶とは思えない言葉に、会場全体が静まり返る。教師も在校生も、新入生も、パーシーから目を離さない。


「今日私たちは、このバウディアムスの新入生として入学式を迎えることができたことを誇らしく思います。ここを、魔法使いへの出発点として、仲間と共に一致団結し、大魔法使いを目指したいと思います」


 全員が固唾を呑んでパーシーの言葉に耳を傾ける。まるで宣戦布告をするみたいに、にやりと笑いパーシーは言った。


「ま、1番に大魔法使いになるのは私なんですけど。みんなで頑張ろ〜」


 パーシーがマイクに向かってそう言い放った瞬間、どっと、会場に怒号やら叫びが溢れる。反響し、共鳴し、鼓膜を破りそうなほど大きな声で責め立てる。


「はぁ……どうして首席の馬鹿どもは毎年こうなんだ……」

「分かりきってたことだろう? あの子は毎年の恒例を知っててやったのさ、偉いじゃないか」


 こんな状況でも、席に戻るパーシーを楽しそうに見守るもの達もいる。


「わぁ、パーシー大盛り上がりだねぇ」

「いやこれめちゃくちゃ煽ってるやつです。煽るだけ煽って満足して戻ってきましたよ……」


 頭に乗るソラとモニカが小さな声で会話する。モニカの感想は7割ほどパーシー贔屓が入っている。怒号は収まる様子がなく、時間が経つ度に激しくなっていく。


「はっ、この手の煽りが1番効いてるのがセンパイかよ」

「こら旭、囃し立てるな」


 対して旭はこの状況を楽しんでいるのか、業火に火をくべるように囃し立てようとする。


「静まれ」


 マイクを手に、アステシアが会場を黙らせる。先程までの雰囲気のせいか、重苦しい空気がまだ漂う。しんと静まる会場にアステシアの声だけが響く。


「続いては学長挨拶……のはずだったが、何故か不在のため次は校歌斉唱だ」

「なんでいないの?」

「そんなこと私が知るか」


 そんなことがあった入学式がようやく終わる。少し不穏な空気を残して、モニカたち新入生は次の予定に移る。


「次はクラス分けか〜。一緒のクラスだといいね、モニカ」

「私、パーシーと同じクラスじゃなかったら死んじゃうかも……」

「それは言いすぎ!」


 続く予定は『クラス分け』。バウディアムスでの5年間を共にする仲間が決まる瞬間が訪れる。


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ついにきたこの日を、待ちわびたものがどれだけいるだろうか。魔法使いを目指すもの達が一堂に会するこの日は世界各国から注目される、ノーチェスの一大行事だ。
「それではこれより、バウディアムス魔法学園、入学式を執り行う」
「ひゅ〜、ビシッとしてるね〜アステシア先生」
「黙れ」
 普段は露出の多い服装をしている獄蝶のジョカも、今日ばかりは礼服を着こなしている。
「新入生、入場」
 アステシアの合図とともに扉が開き、今年の新入生たちが続々と姿を現す。緊張で落ち着かないものや、不安をものともしないもの。そもそも興味がなく早く終わらないかと思うものもいた。
(ここが!)
(ここで……)
 ただ1つ、この新入生たちは同じ志を持っている。
(あのバウディアムス!)
(俺が大魔法使いに……)
 このバウディアムス魔法学園は、ノーチェスに存在するすべての魔法使いの出発点だ。
「新入生代表挨拶、新入生代表パーシー・クラウディア」
「あれが今年の首席……」
「去年ほど強そうじゃないね〜」
 パーシーが席を立った瞬間、ざわりと会場から声が漏れる。
「え〜と、私こういう堅苦しいの苦手なので、簡単な挨拶と一言だけで失礼します」
 とても代表挨拶とは思えない言葉に、会場全体が静まり返る。教師も在校生も、新入生も、パーシーから目を離さない。
「今日私たちは、このバウディアムスの新入生として入学式を迎えることができたことを誇らしく思います。ここを、魔法使いへの出発点として、仲間と共に一致団結し、大魔法使いを目指したいと思います」
 全員が固唾を呑んでパーシーの言葉に耳を傾ける。まるで宣戦布告をするみたいに、にやりと笑いパーシーは言った。
「ま、1番に大魔法使いになるのは私なんですけど。みんなで頑張ろ〜」
 パーシーがマイクに向かってそう言い放った瞬間、どっと、会場に怒号やら叫びが溢れる。反響し、共鳴し、鼓膜を破りそうなほど大きな声で責め立てる。
「はぁ……どうして首席の馬鹿どもは毎年こうなんだ……」
「分かりきってたことだろう? あの子は毎年の恒例を知っててやったのさ、偉いじゃないか」
 こんな状況でも、席に戻るパーシーを楽しそうに見守るもの達もいる。
「わぁ、パーシー大盛り上がりだねぇ」
「いやこれめちゃくちゃ煽ってるやつです。煽るだけ煽って満足して戻ってきましたよ……」
 頭に乗るソラとモニカが小さな声で会話する。モニカの感想は7割ほどパーシー贔屓が入っている。怒号は収まる様子がなく、時間が経つ度に激しくなっていく。
「はっ、この手の煽りが1番効いてるのがセンパイかよ」
「こら旭、囃し立てるな」
 対して旭はこの状況を楽しんでいるのか、業火に火をくべるように囃し立てようとする。
「静まれ」
 マイクを手に、アステシアが会場を黙らせる。先程までの雰囲気のせいか、重苦しい空気がまだ漂う。しんと静まる会場にアステシアの声だけが響く。
「続いては学長挨拶……のはずだったが、何故か不在のため次は校歌斉唱だ」
「なんでいないの?」
「そんなこと私が知るか」
 そんなことがあった入学式がようやく終わる。少し不穏な空気を残して、モニカたち新入生は次の予定に移る。
「次はクラス分けか〜。一緒のクラスだといいね、モニカ」
「私、パーシーと同じクラスじゃなかったら死んじゃうかも……」
「それは言いすぎ!」
 続く予定は『クラス分け』。バウディアムスでの5年間を共にする仲間が決まる瞬間が訪れる。