蜘蛛と男 5
ー/ー
まだ朝日が登るか登らないかの時間にムツヤの連絡石から声がした。
「ムツヤくん、ムツヤくん、起きてくれ」
目を覚ましたのはムツヤではなく、魔力をもらうために手を握って一緒に寝ているヨーリィだった。
ヨーリィはムツヤの頬を軽くペチペチと叩いて起こす。
「うーん? おはようヨーリィ」
「起きたかムツヤくん」
「あぁ、ギルスさん。おはようございます」
「朝早くにすまないね、探知盤に反応があったんだ。北西の方角から裏の道具持ちが近づいてきている」
裏の道具という言葉を聞いてムツヤは一気に目が覚めた。
「わがりました、すぐに皆と行きます!」
ムツヤは皆を起こして周り、事情を説明する。
「まったく、朝っぱらからキエーウの奴らもご苦労なことだね」
宿屋の外に出るとアシノがぼやいた。ひんやりとした朝の空気が心地よい。
「北西って言うとあの山の辺り? 私もう山登りしたくなーい!!」
ルーは駄々をこねるがアシノに襟首を掴まれて連れて行かれる。
探知盤をルーが持ち後衛に。前衛はモモとユモトだ、裏の道具持ちに合うまでは2人の訓練も行う。
襲いかかる魔物をモモは切り裂き、ユモトは氷の魔法で貫き、雷で黒焦げにする。
そんな調子で戦いながら進むと探知盤で分かる裏の道具の場所付近までムツヤ達はたどり着いていた。
ムツヤは探知魔法で周辺に人の気配が無いか調べていた。するとある事に気づいてルーに告げる。
「探知盤の裏の道具の場所に2人居ます」
「まずいな、裏の道具持ちふたりを相手に戦うのか」
アシノは少し不安そうに言った。
「まぁまぁ、大丈夫よ。こっちにはムツヤっちもいるしー」
「そうだな……、悩んでいても仕方ない、ゆっくり近づくぞ」
前衛をムツヤとヨーリィに任せて一行は歩き始めた。
ムツヤなら不意打ちにも対応できるし、ヨーリィは1度ぐらい致命傷を負っても枯れ葉から再生ができるからだ。
「そろそろね」
ルーがそう言ったその時だった。少し開けた場所に居たのは、クモの体を持ち、上半身が人間の。
アラクネだった。
「なっ、どうしてアラクネがここに!?」
アシノは目を疑った。裏の道具持ちだけでも厄介なのにアラクネまで一緒に鉢合わせするとは思わなかった。
「ど、どうしますか?」
ユモトは慌ててアシノに聞いた。アシノは急いで頭を回転させて何か策を考える。
「ひとまず様子を見るぞ、どういう状況なのか知りたい」
確かに今の状況は何もかもがおかしい。まずは落ち着いて状況を確認をした。
アラクネの前に立つ男と、フードを深く被った男が2人いる。多分彼等がムツヤの感じ取った人の気配だろう。
フードを被った男は何かを手渡し、何処かへと走り去っていった。それと同時にアシノは飛び出し、ムツヤ達もそれに続いた。
「おい、そこのお前!! アラクネから離れろ!!」
アシノの声を聞いて男は振り返る。
「お、お、お前達な、なんだ!?」
体格の良い男は虚ろな目でアシノを見た、そしてアラクネを庇うように立ちはだかった。
「とりあえず武器を捨てろ、そしてアラクネから離れるんだ」
男は金属製の棍棒を持っていた。
しかし、アシノの警告に従う素振りはない。それどころかこちらに向けて棍棒を構えている。
「な、な、ナリアは俺が守る!!」
そう言って男は一歩も動かずにいた。ルーは探知盤で確認をしていたが、去っていった男は裏の道具を持っていないらしい。
つまり、目の前の男だけが裏の道具を持っていた。
「お前の持っている武器は危険だ、良いから早く手放せ!!」
アシノは大声で言うが、男はフゥーフゥーと荒い息をして敵意を向けている。
「ムツヤ、あの武器の特性はわかるか?」
アシノがムツヤに尋ねると、うーんと考えて思い出す。
「あれは軽く殴っても、もの凄い威力になる棒です」
厄介だなとアシノは思った、そして覚悟を決める。
「あの男を傷つけずに武器を取り上げるぞ!!」
全員が返事をして一斉に飛びかかる。まずはムツヤが風のように走り、男の棍棒を奪おうとした。
しかし男は軽々と棍棒を振り回して近づけない。ムツヤは男に気を取られていて、別の敵の事を忘れている。
アラクネがムツヤに向かって糸を吐いた。身をよじってギリギリでかわすが、バランスを崩して危うく棍棒を食らうところだった。
モモが隙を見て男の棍棒を弾き飛ばそうとするが、思い切り振り下ろされた棍棒が盾に直撃する。無力化の盾でなければモモの腕の骨は粉々に砕けていただろう。
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「ムツヤくん、ムツヤくん、起きてくれ」
目を覚ましたのはムツヤではなく、魔力をもらうために手を握って一緒に寝ているヨーリィだった。
ヨーリィはムツヤの頬を軽くペチペチと叩いて起こす。
「うーん? おはようヨーリィ」
「起きたかムツヤくん」
「あぁ、ギルスさん。おはようございます」
「朝早くにすまないね、探知盤に反応があったんだ。北西の方角から裏の道具持ちが近づいてきている」
裏の道具という言葉を聞いてムツヤは一気に目が覚めた。
「わがりました、すぐに皆と行きます!」
ムツヤは皆を起こして周り、事情を説明する。
「まったく、朝っぱらからキエーウの奴らもご苦労なことだね」
宿屋の外に出るとアシノがぼやいた。ひんやりとした朝の空気が心地よい。
「北西って言うとあの山の辺り? 私もう山登りしたくなーい!!」
ルーは駄々をこねるがアシノに襟首を掴まれて連れて行かれる。
探知盤をルーが持ち後衛に。前衛はモモとユモトだ、裏の道具持ちに合うまでは2人の訓練も行う。
襲いかかる魔物をモモは切り裂き、ユモトは氷の魔法で貫き、雷で黒焦げにする。
そんな調子で戦いながら進むと探知盤で分かる裏の道具の場所付近までムツヤ達はたどり着いていた。
ムツヤは探知魔法で周辺に人の気配が無いか調べていた。するとある事に気づいてルーに告げる。
「探知盤の裏の道具の場所に2人居ます」
「まずいな、裏の道具持ちふたりを相手に戦うのか」
アシノは少し不安そうに言った。
「まぁまぁ、大丈夫よ。こっちにはムツヤっちもいるしー」
「そうだな……、悩んでいても仕方ない、ゆっくり近づくぞ」
前衛をムツヤとヨーリィに任せて一行は歩き始めた。
ムツヤなら不意打ちにも対応できるし、ヨーリィは1度ぐらい致命傷を負っても枯れ葉から再生ができるからだ。
「そろそろね」
ルーがそう言ったその時だった。少し開けた場所に居たのは、クモの体を持ち、上半身が人間の。
アラクネだった。
「なっ、どうしてアラクネがここに!?」
アシノは目を疑った。裏の道具持ちだけでも厄介なのにアラクネまで一緒に鉢合わせするとは思わなかった。
「ど、どうしますか?」
ユモトは慌ててアシノに聞いた。アシノは急いで頭を回転させて何か策を考える。
「ひとまず様子を見るぞ、どういう状況なのか知りたい」
確かに今の状況は何もかもがおかしい。まずは落ち着いて状況を確認をした。
アラクネの前に立つ男と、フードを深く被った男が2人いる。多分彼等がムツヤの感じ取った人の気配だろう。
フードを被った男は何かを手渡し、何処かへと走り去っていった。それと同時にアシノは飛び出し、ムツヤ達もそれに続いた。
「おい、そこのお前!! アラクネから離れろ!!」
アシノの声を聞いて男は振り返る。
「お、お、お前達な、なんだ!?」
体格の良い男は虚ろな目でアシノを見た、そしてアラクネを庇うように立ちはだかった。
「とりあえず武器を捨てろ、そしてアラクネから離れるんだ」
男は金属製の棍棒を持っていた。
しかし、アシノの警告に従う素振りはない。それどころかこちらに向けて棍棒を構えている。
「な、な、ナリアは俺が守る!!」
そう言って男は一歩も動かずにいた。ルーは探知盤で確認をしていたが、去っていった男は裏の道具を持っていないらしい。
つまり、目の前の男だけが裏の道具を持っていた。
「お前の持っている武器は危険だ、良いから早く手放せ!!」
アシノは大声で言うが、男はフゥーフゥーと荒い息をして敵意を向けている。
「ムツヤ、あの武器の特性はわかるか?」
アシノがムツヤに尋ねると、うーんと考えて思い出す。
「あれは軽く殴っても、もの凄い威力になる棒です」
厄介だなとアシノは思った、そして覚悟を決める。
「あの男を傷つけずに武器を取り上げるぞ!!」
全員が返事をして一斉に飛びかかる。まずはムツヤが風のように走り、男の棍棒を奪おうとした。
しかし男は軽々と棍棒を振り回して近づけない。ムツヤは男に気を取られていて、別の敵の事を忘れている。
アラクネがムツヤに向かって糸を吐いた。身をよじってギリギリでかわすが、バランスを崩して危うく棍棒を食らうところだった。
モモが隙を見て男の棍棒を弾き飛ばそうとするが、思い切り振り下ろされた棍棒が盾に直撃する。無力化の盾でなければモモの腕の骨は粉々に砕けていただろう。