10年前の雪山で命を落とした蓮。目を覚ますとそこは、風も痛みもない「白い空間」だった。
目の前に現れたのは、10年の歳月を経て時計職人となった親友・悠真。そして、空間の主が告げたのは『世界の破滅』と引き換えに『蓮を蘇生させる』という残酷な取引だった。
蓮の言葉を「呪い」として生き延び、彼のいない世界を拒絶し続けた悠真は、迷わず世界の終わりを選択する――。世界を巻き込む、あまりにも静かで、あまりにも純粋な破滅の物語。
白い空間に揺れる闇と愛
本作は、死と再生を巡る闇の契約を、白い空間という抽象的舞台で描く、重厚な恋愛小説である。
悠真と蓮の切ない対話や、時計職人という象徴的なモチーフは感情を鋭く掘り下げ、読者を引き込む。白い空間の描写は冷徹でありながら詩的で、世界の破滅という概念を哲学的に問いかける。しかし、展開が緩慢で説明的な箇所が散在し、テンポが滞りがちである点はやや残念だ。加えて、登場人物の心理描写が過度に内省的で、読者が感情移入しにくい場面もある。
暗く深いテーマを好むBL読者には響くだろう。万人向けではないが、刺さる読者はいる。
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