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古の常世に存在したと伝わる別世。そこに生きる人族の者は、自然の神々を崇め、妖を畏れる暮らしと共に在った。
神を祀る社(やしろ)を司る一族に生まれ、特異な能を持つ人族の女は『尊巫女(みことみこ)』と呼ばれ、十八になると神族の住む地にゆくという因習があった。彼らの神力を借りる梯子(はしご)となるのが、彼女達の役目だ。神族と人族の混血である、その地を統べる其々の長に認められれば子孫繁栄の為の伴侶、否な場合は贄として一族に喰われ、力ごと吸収されるという至極、酷な契約だった。
そんな中、己の生気と引き換えに治癒を与える花を召喚し、自然界の萌芽促進もさせるという、尊巫女の中でも稀な異能を持って生まれた、アマリという少女がいた。人族に持て囃される反面、脅威として畏れられてもいた彼女は、近年、頻繁に起こっている災厄を鎮める為、残虐な禍神と忌み嫌われる妖厄神への贄に出される。
端から伴侶にはされないだろうと見越したものだったが、いずれにしろ彼を懐柔して弱体化させるのが目的だった。その企みを察した妖厄神は彼女を避け、喰う事もせず、とりあえず屋敷の離れに置き、軟禁するという仕打ちをする。
既に全てを諦め、長年無気力に生きてきたアマリは、殺されない事に戸惑う反面、放置という名の歪んだ自由を知り、少しずつ自身を見直し始めていく。そんな彼女を監視していくうち、妖厄神の心情にも次第に変化が訪れる。自身が担う忌み嫌われる役目に虚しさを感じ、人族を嫌悪していた彼は、一風変わったアマリに興味を持ち始めたのだった。
※フィクションです。実在する名称、土地、出来事、伝承とは関係ありません。
※PG12程度の性的、残酷表現がありますのでご注意下さい。該当タイトルに★有り。
※表紙画はかんたん表紙メーカーで作成したものになります。
高校生、雪村星里奈。
彼女はプロ野球チーム、東京ヒーローズの熱狂的なファンである。
しかしながら、ヒーローズは最下位からの脱却が難しい弱小チーム。
だが、星里奈は心の底からチームを応援していた。
それは彼女の死んだ父が元ヒーローズのプロ野球選手だったからである。
「やっぱり、オープン戦と違って緊張感があるな」
3月×日、土曜日。
今年度のプロ野球が開幕した。
星里奈はヒーローズの本拠地であるレジェンド球場でチームを応援していた。
グラウンドを見つめていると、彼女は男に話しかけられた。
「君、野球は好きかい」
見ると異国風の顔立ちで若い男。
ストローハットを被り、赤いハイビスカス柄の派手なシャツを着ていた。
どこか飄々としているが、神秘的な雰囲気がある。
「どなたですか?」
星里奈が尋ねると、男はおかしなことを述べた。
「神様だよ」
――と。
これは少女が体験する不思議な物語。
ここは人間とアクマが共に暮らす世界。
彼らが手を結ぶきっかけを作ったアクマのランドールは、自らの過去を隠しながら、愛する妻と娘の為にモンスター討伐屋として働いていた。
一方、あらゆる世界を管理する「聖域」にて。
悪魔を滅ぼす為に活動している天使(通称 悪魔狩り)がランドールに目を付けた。
これは、ランドールが暮らす世界モルゲンレーテと聖域に暮らす神々による物語。
*この作品では多々暴力的、性的な表現をしています。苦手な方はご注意ください
*作者の気分で筆が遅くなる可能性があります。ご容赦ください