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最終更新: 2025年11月17日 12時35分

藤のある庭
高校に入学して3週間、和明は同級生の少年・玖珂翠惟という存在に心を奪われていた。 だれとも交わらず冷ややかな孤立をまといながら、まるで現実から浮き上がったような美しさを持つ翠。その不可思議な魅力に惹かれつつも、和明は彼の心の奥底に触れられないまま、距離を保った奇妙な関係を続けていた。 しかし突然翠は学校に姿を見せなくなる。 担任に頼まれ、連絡係として翠の家を訪ねる役目を負った和明は、胸のざわつきを抱えたまま彼の暮らす家を訪れる。 そこにいたのは、翠によく似た儚げな美しさを宿した女性・華椰だった。 彼女は和明を迎え入れ、翠の繊細な気質について漏らすが、その穏やかさとは裏腹に、彼らの家にはどこか閉ざされた空気が流れていた。 短い期間ながら、和明に深く刻まれた翠の影。 その理解できないほど脆く激しい心は、和明にとって思春期のただなかで出会った忘れ難い謎として残り、後の人生にまで消えない印となって刻まれていくのだった。
雨の向こうに
29歳会社員の栄理子は、10歳年下の大学生、由鷹に絶望的な恋をしていた。 けれど、それも今日で終わり。 由鷹と別れるなら、雨の日と決めていた。 彼の好きな服を着て、彼の好きな物をテーブルに並べて、彼の好きな音楽をかけて。 栄理子は由鷹を待っていた。 全6話。毎朝9時に公開します。
Liminal
平凡なサラリーマン、田中。 いつも通りの帰宅途中、気がつくと、彼は奇妙な空間に立っていた。 白いタイル、誰もいないプール、波の立たない水面。 そこは、どこかで見たような――だが現実には存在しない場所。 出口も、時間の流れも、誰かの気配もない。 あるのは、機械的に並べられた無機質な照明と、規則的な水音だけ。 やがて彼は気づく。 この場所では、何かを得ることはできないのだと。
摩耗
『マンション南天(なんてん)』に新たに誰かがやって来た。 『私』はずっと昔から、紡がれてゆく物語を見つめている。
甥っ子はミノタウルス
吉野牛郎(ごろう)、彼はどこにでもいる普通の小学生である……牛頭であること以外は。 母は物心つく前に失踪し、父は顔すら知らない。 そんな彼は、伯父・拓馬の元で牧場生活を送っている。 牛頭な小学生のほのぼのしていながらも、シュールなコメディ作品。
春望~最初の花が開いたなら、その一枝を持って迎えに行きます~
「ぼく」には高校のときから好きな女性がいます。 みんなの憧れ、大学に入ってからは、西館のマドンナとひそかに呼ばれていた女性です。 完璧な彼女は、到底ぼくなんかの手の届く人じゃなくて……。 ずっと、ただの友達の1人でいることに満足していました。 そんなある日、彼女がお見合いをして、結婚をするために大学をやめて故郷に戻るというのを聞いて……。 ※昭和のイメージで書きました! 今風でなくてすみません!
反転世界で交わした約束は。~クロネコとコウヘイ
学校の課題で自然公園にやってきたコウヘイ。クラスメイトと協力して課題は順調に進んでいくが、最後の課題・彼岸花がみつからない。 手分けして探しているうちに、いつしかコウヘイは色々なものが反転した世界に迷い込んでしまう。 そこでしゃべるクロネコと出会い、クラスの謎解き課題に巻き込まれてしまう。 元の世界への帰る道が開けるという、クロネコの言葉を信じて、コウヘイはクラスメイトのアキと一緒にすべての謎解きに挑む。 ================ 小学5年生の男の子の友情と青春の物語。ちょっぴりのミステリーとファンタジーを添えてお届けします。
from eggs
『ときゑ(ときえ)弁当』の看板娘である園美(そのみ)ちゃんは、植木職人で毎日のようにお店にやって来る玲利(れいり)さんに胸ときめかせています。 それと・・・園美ちゃんにはとある秘密があるのです。
クロノ・シグナル 【Vol1.スリーピートラベラー】
パラレル的な現代日本。国力になる特別な能力を持つ者は年齢性別を問わず国から特命公務員に指名され、様々な任務を負う社会――。  佐々城大杜は優しくおとなしい少年であるが、一方でその能力の特性から、警視庁の高機能ロボットチームを従える高次犯罪対策室の室長としての側面もあった。自らの内向的な性格を変えたいと進学した高校で、ロボット製造企業の御曹司である松宮研矢と出会う。  個性的な友人たちと学校生活を送るうちに、心のありようを変えていく大杜。だがやがて警察官としての任務は級友たちを巻き込み、複雑な事件へと発展していく。
わたしは知っている、君の最期を。
高木柊には未来を見通す力があった。  それは特別便利なわけでもなく、運命というものに自分の未来が勝手に決められるような非情な能力だった。  どうせならと、人の役にたてるよう他人の人生に関わるが、他人の運命を変えるほど、自分の人生も変わった。  いつしか、自分の人生は悲劇のものとなり、高木柊は生きる事に絶望する。  しかし、高校生の時に高木柊の心を変える一人の男の子が現れたのだった……。
フォートレス・フロンティア・オンライン
軌道戦記シリーズ 第2弾 前作「AIDA -残響のオービット-」から57年後の世界。 eスポーツの世界で、僕らは『ガラクタ《ジャンク》』と呼ばれていた。あり合わせの機材で戦う、ダウンタウンの高校生チーム『ジャンク・キャッスル』。 クラフターのミシマ・リクは、ゲームの裏側で、自らの意志を持つ謎のAI『ユイ』と出会う。彼女との出会いが、最弱チームの運命を大きく変えていく。 リクの奇想天外な戦術と、ユイの超人的なサポート。仲間との絆を武器に、彼らはエリートたちが支配する大会で奇跡の快進撃を始める。 しかし、決勝の舞台裏では、コロニーの存亡を揺るがす巨大な陰謀がうごめいていた。これは、単なるゲームじゃない——。 少年とAIの絆が奇跡を起こす、青春eスポーツ物語! この作品の舞台となるゲームは、「ゼルダの伝説 ティアーズ・オブ・キングダム」の影響を大きく受けています。 ※本作はAIによる校正・表現の調整を行っております。あらかじめご了承ください。
たらればゾンビ
古き良き、足の遅くてヴァアアとしか声を発せないステレオタイプのゾンビが蔓延る現代。 ゾンビたちと当たり前に生活していることに、警鐘を鳴らし続ける主人公の物語。 カクヨム、小説家になろうにも掲載中。
空の番人メネル
<隔月20日・一話ずつ更新 次回11/20予定> ※10/22 ep9の見直し改稿が完了しました 多少描写を変えましたが、内容に大きな変更はございません 空の番人メネル。 天気をあなたが望むように変えてくれるという、不思議な男の子。 ただし彼は気まぐれだから、出会えるかどうかは彼次第です。 そして叶えてもらうには、とある報酬を差し出さなければなりません。 あなたは代償を払ってでも、覆したい天気はありますか? それは誰のために。何のために……。 少しフシギな少年が人間の運命を左右する、新感覚ダークファンタジー! ◇ こちらでフレームキャラクター・メネルのイメージ画像をご覧いただけます。 よろしければどうぞ。 https://note.com/ichiha_kira/n/nf24303f83f37 一話完結です。 ep1~5までは、どのお話から読んでいただいても、お楽しみいただけます。 ※初話はメネルからの〝手厚い〟ご挨拶なので、最初にここだけはお読みになることをお薦めします。 ep6からは、この世界を既に知っているかた向けのストーリーになっております。 小休止はメネルの秘密に迫るエピソードを描いています。興味ありましたら是非。 一話分は少し文字数多めです(8000字以下にて努力目標 ※改行・空白除く換算時)。 ヒューマンドラマ要素強めで進行しますが、時々メネルが暴走します。 暴走エピソードにはタイトルに『暴走展開(弱・中・強)』と書きますので、大丈夫な方は是非。(グロくはないですが、暗い気持ちになります多分) メネルがもたらす運命の結果は、幸福かそれとも……。 長編連載を優先で執筆しますので、本作は隔月20日・一話ずつ更新となります。 本作はカクヨム様でも同時公開しております。
No cover image
世界に蔓延したゾンビ症。 かつては射殺の対象だった彼らだが、今や治療薬が完成し、『死者』ではなく人権を有した生きた『患者』となった。 これは、そんなゾンビ症の元感染者たちにより構成される『ゾンビ回収者』の物語。 『トム』と『チキン』の2人組は、今日も砂塵を巻き上げて、オンボロの車体を呪いつつ、“かつての自分たち”を回収に向かうのだった。
サマーバケーションダイアリー
鮮やかな世界はスクリーンの向こう側にしかないと思っていた。 漆黒の翼に導かれ、眩いほどの色彩を、視野を広げる大切さを知る。 動物たちとの触れ合い。自然の脅威。祖父との対話―― 心に鎧を纏う少年が世界と向き合い、自分の物語を綴る。 これは誰の心にもあった “最初の冒険” を描く、ひと夏の記録。
No cover image
自首する気はないが、本気で逃げるつもりもなかった真犯人が、目の前で冤罪を作られ唖然とする話。【表題作のあらすじ】
「ザ・ケルン・コンサート」まだ私は死なない!死ねない!
あの日のことを、私は今でも鮮明に覚えている。春休みの大学街はひっそりして、まるで時間が止まったようだった。明大の古い講堂でピアノを弾くのは、私のひそかな習慣だった。借りものの舞台と鍵盤に、キース・ジャレットの「ケルン・コンサート」を響かせる。譜面はない。自分の呼吸と記憶だけを頼りに、即興で再構築する。演奏しているあいだは、誰もいない世界にただひとり閉じ込められているような心地がする。  けれど、あの日は違った。弾き終えた瞬間、私は気づいたのだ。後方の暗がりに、ひとりの青年が座っていることに。ドアを開けた一瞬の光で、気配は感じていた。知らない男に覗かれていた、と一瞬、怒りが胸をよぎった。けれど、その怒りはすぐに戸惑いに変わった。彼の目が、演奏を汚すような視線ではなく、ただ真剣に聴いていた人の目だったからだ。  彼の名は宮部明彦。油絵を描き、物理を学び、そして偶然ここに迷い込んだという。私は「偶然」という言葉をあまり信じない。けれど、彼と話しているうちに、その偶然がどこか運命のように感じられた。ジャズの話、本の話、ユングやデミアン、相対性理論や犯罪心理学……私たちの会話は、初対面とは思えないほど滑らかに、深く潜っていった。  そして気がつけば、講堂を出て、山の上ホテルのバー「ノンノン」に座っていた。午後四時の空いたカウンターで、私はマーテルを、彼はメーカーズマークを頼んだ。ブランデーの琥珀色が、雨のしずくで曇った窓に映える。学生らしくない静けさと、少しだけ大人の時間。奇妙なことに、私はその時間を全然怖いとは思わなかった。むしろ、胸の奥にずっとあった孤独な旋律に、初めて和音が重なったように思えた。  女と男は、どこまでいっても分かり合えない、と口では言いながら、私は彼に話しつづけた。彼の笑顔や、少し考えこむ横顔が、曲の終わりに響く余韻のように心に残った。偶然が、たまたまが好きだという彼に、私の中の何かが静かにほどけていく。ペルソナも、仮面も、ここには必要ないような気がした。 「ねえ、四月から、あなたの学部にニセ学生として通ったらどうかしら」思わず口にしていた。彼は笑って「いいよ」と言った。  雨の土曜の午後、ケルン・コンサートから始まったこの出会いが、私にとってどんな物語になるのか、そのときの私はまだ知らなかった。
高校に入学して3週間、和明は同級生の少年・玖珂翠惟という存在に心を奪われていた。 だれとも交わらず冷ややかな孤立をまといながら、まるで現実から浮き上がったような美しさを持つ翠。その不可思議な魅力に惹かれつつも、和明は彼の心の奥底に触れられないまま、距離を保った奇妙な関係を続けていた。 しかし突然翠は学校に姿を見せなくなる。 担任に頼まれ、連絡係として翠の家を訪ねる役目を負った和明は、胸のざわつきを抱えたまま彼の暮らす家を訪れる。 そこにいたのは、翠によく似た儚げな美しさを宿した女性・華椰だった。 彼女は和明を迎え入れ、翠の繊細な気質について漏らすが、その穏やかさとは裏腹に、彼らの家にはどこか閉ざされた空気が流れていた。 短い期間ながら、和明に深く刻まれた翠の影。 その理解できないほど脆く激しい心は、和明にとって思春期のただなかで出会った忘れ難い謎として残り、後の人生にまで消えない印となって刻まれていくのだった。
29歳会社員の栄理子は、10歳年下の大学生、由鷹に絶望的な恋をしていた。 けれど、それも今日で終わり。 由鷹と別れるなら、雨の日と決めていた。 彼の好きな服を着て、彼の好きな物をテーブルに並べて、彼の好きな音楽をかけて。 栄理子は由鷹を待っていた。 全6話。毎朝9時に公開します。
平凡なサラリーマン、田中。 いつも通りの帰宅途中、気がつくと、彼は奇妙な空間に立っていた。 白いタイル、誰もいないプール、波の立たない水面。 そこは、どこかで見たような――だが現実には存在しない場所。 出口も、時間の流れも、誰かの気配もない。 あるのは、機械的に並べられた無機質な照明と、規則的な水音だけ。 やがて彼は気づく。 この場所では、何かを得ることはできないのだと。
『マンション南天(なんてん)』に新たに誰かがやって来た。 『私』はずっと昔から、紡がれてゆく物語を見つめている。
吉野牛郎(ごろう)、彼はどこにでもいる普通の小学生である……牛頭であること以外は。 母は物心つく前に失踪し、父は顔すら知らない。 そんな彼は、伯父・拓馬の元で牧場生活を送っている。 牛頭な小学生のほのぼのしていながらも、シュールなコメディ作品。
「ぼく」には高校のときから好きな女性がいます。 みんなの憧れ、大学に入ってからは、西館のマドンナとひそかに呼ばれていた女性です。 完璧な彼女は、到底ぼくなんかの手の届く人じゃなくて……。 ずっと、ただの友達の1人でいることに満足していました。 そんなある日、彼女がお見合いをして、結婚をするために大学をやめて故郷に戻るというのを聞いて……。 ※昭和のイメージで書きました! 今風でなくてすみません!
学校の課題で自然公園にやってきたコウヘイ。クラスメイトと協力して課題は順調に進んでいくが、最後の課題・彼岸花がみつからない。 手分けして探しているうちに、いつしかコウヘイは色々なものが反転した世界に迷い込んでしまう。 そこでしゃべるクロネコと出会い、クラスの謎解き課題に巻き込まれてしまう。 元の世界への帰る道が開けるという、クロネコの言葉を信じて、コウヘイはクラスメイトのアキと一緒にすべての謎解きに挑む。 ================ 小学5年生の男の子の友情と青春の物語。ちょっぴりのミステリーとファンタジーを添えてお届けします。
『ときゑ(ときえ)弁当』の看板娘である園美(そのみ)ちゃんは、植木職人で毎日のようにお店にやって来る玲利(れいり)さんに胸ときめかせています。 それと・・・園美ちゃんにはとある秘密があるのです。
パラレル的な現代日本。国力になる特別な能力を持つ者は年齢性別を問わず国から特命公務員に指名され、様々な任務を負う社会――。  佐々城大杜は優しくおとなしい少年であるが、一方でその能力の特性から、警視庁の高機能ロボットチームを従える高次犯罪対策室の室長としての側面もあった。自らの内向的な性格を変えたいと進学した高校で、ロボット製造企業の御曹司である松宮研矢と出会う。  個性的な友人たちと学校生活を送るうちに、心のありようを変えていく大杜。だがやがて警察官としての任務は級友たちを巻き込み、複雑な事件へと発展していく。
高木柊には未来を見通す力があった。  それは特別便利なわけでもなく、運命というものに自分の未来が勝手に決められるような非情な能力だった。  どうせならと、人の役にたてるよう他人の人生に関わるが、他人の運命を変えるほど、自分の人生も変わった。  いつしか、自分の人生は悲劇のものとなり、高木柊は生きる事に絶望する。  しかし、高校生の時に高木柊の心を変える一人の男の子が現れたのだった……。
軌道戦記シリーズ 第2弾 前作「AIDA -残響のオービット-」から57年後の世界。 eスポーツの世界で、僕らは『ガラクタ《ジャンク》』と呼ばれていた。あり合わせの機材で戦う、ダウンタウンの高校生チーム『ジャンク・キャッスル』。 クラフターのミシマ・リクは、ゲームの裏側で、自らの意志を持つ謎のAI『ユイ』と出会う。彼女との出会いが、最弱チームの運命を大きく変えていく。 リクの奇想天外な戦術と、ユイの超人的なサポート。仲間との絆を武器に、彼らはエリートたちが支配する大会で奇跡の快進撃を始める。 しかし、決勝の舞台裏では、コロニーの存亡を揺るがす巨大な陰謀がうごめいていた。これは、単なるゲームじゃない——。 少年とAIの絆が奇跡を起こす、青春eスポーツ物語! この作品の舞台となるゲームは、「ゼルダの伝説 ティアーズ・オブ・キングダム」の影響を大きく受けています。 ※本作はAIによる校正・表現の調整を行っております。あらかじめご了承ください。
古き良き、足の遅くてヴァアアとしか声を発せないステレオタイプのゾンビが蔓延る現代。 ゾンビたちと当たり前に生活していることに、警鐘を鳴らし続ける主人公の物語。 カクヨム、小説家になろうにも掲載中。
<隔月20日・一話ずつ更新 次回11/20予定> ※10/22 ep9の見直し改稿が完了しました 多少描写を変えましたが、内容に大きな変更はございません 空の番人メネル。 天気をあなたが望むように変えてくれるという、不思議な男の子。 ただし彼は気まぐれだから、出会えるかどうかは彼次第です。 そして叶えてもらうには、とある報酬を差し出さなければなりません。 あなたは代償を払ってでも、覆したい天気はありますか? それは誰のために。何のために……。 少しフシギな少年が人間の運命を左右する、新感覚ダークファンタジー! ◇ こちらでフレームキャラクター・メネルのイメージ画像をご覧いただけます。 よろしければどうぞ。 https://note.com/ichiha_kira/n/nf24303f83f37 一話完結です。 ep1~5までは、どのお話から読んでいただいても、お楽しみいただけます。 ※初話はメネルからの〝手厚い〟ご挨拶なので、最初にここだけはお読みになることをお薦めします。 ep6からは、この世界を既に知っているかた向けのストーリーになっております。 小休止はメネルの秘密に迫るエピソードを描いています。興味ありましたら是非。 一話分は少し文字数多めです(8000字以下にて努力目標 ※改行・空白除く換算時)。 ヒューマンドラマ要素強めで進行しますが、時々メネルが暴走します。 暴走エピソードにはタイトルに『暴走展開(弱・中・強)』と書きますので、大丈夫な方は是非。(グロくはないですが、暗い気持ちになります多分) メネルがもたらす運命の結果は、幸福かそれとも……。 長編連載を優先で執筆しますので、本作は隔月20日・一話ずつ更新となります。 本作はカクヨム様でも同時公開しております。
世界に蔓延したゾンビ症。 かつては射殺の対象だった彼らだが、今や治療薬が完成し、『死者』ではなく人権を有した生きた『患者』となった。 これは、そんなゾンビ症の元感染者たちにより構成される『ゾンビ回収者』の物語。 『トム』と『チキン』の2人組は、今日も砂塵を巻き上げて、オンボロの車体を呪いつつ、“かつての自分たち”を回収に向かうのだった。
鮮やかな世界はスクリーンの向こう側にしかないと思っていた。 漆黒の翼に導かれ、眩いほどの色彩を、視野を広げる大切さを知る。 動物たちとの触れ合い。自然の脅威。祖父との対話―― 心に鎧を纏う少年が世界と向き合い、自分の物語を綴る。 これは誰の心にもあった “最初の冒険” を描く、ひと夏の記録。
自首する気はないが、本気で逃げるつもりもなかった真犯人が、目の前で冤罪を作られ唖然とする話。【表題作のあらすじ】
あの日のことを、私は今でも鮮明に覚えている。春休みの大学街はひっそりして、まるで時間が止まったようだった。明大の古い講堂でピアノを弾くのは、私のひそかな習慣だった。借りものの舞台と鍵盤に、キース・ジャレットの「ケルン・コンサート」を響かせる。譜面はない。自分の呼吸と記憶だけを頼りに、即興で再構築する。演奏しているあいだは、誰もいない世界にただひとり閉じ込められているような心地がする。  けれど、あの日は違った。弾き終えた瞬間、私は気づいたのだ。後方の暗がりに、ひとりの青年が座っていることに。ドアを開けた一瞬の光で、気配は感じていた。知らない男に覗かれていた、と一瞬、怒りが胸をよぎった。けれど、その怒りはすぐに戸惑いに変わった。彼の目が、演奏を汚すような視線ではなく、ただ真剣に聴いていた人の目だったからだ。  彼の名は宮部明彦。油絵を描き、物理を学び、そして偶然ここに迷い込んだという。私は「偶然」という言葉をあまり信じない。けれど、彼と話しているうちに、その偶然がどこか運命のように感じられた。ジャズの話、本の話、ユングやデミアン、相対性理論や犯罪心理学……私たちの会話は、初対面とは思えないほど滑らかに、深く潜っていった。  そして気がつけば、講堂を出て、山の上ホテルのバー「ノンノン」に座っていた。午後四時の空いたカウンターで、私はマーテルを、彼はメーカーズマークを頼んだ。ブランデーの琥珀色が、雨のしずくで曇った窓に映える。学生らしくない静けさと、少しだけ大人の時間。奇妙なことに、私はその時間を全然怖いとは思わなかった。むしろ、胸の奥にずっとあった孤独な旋律に、初めて和音が重なったように思えた。  女と男は、どこまでいっても分かり合えない、と口では言いながら、私は彼に話しつづけた。彼の笑顔や、少し考えこむ横顔が、曲の終わりに響く余韻のように心に残った。偶然が、たまたまが好きだという彼に、私の中の何かが静かにほどけていく。ペルソナも、仮面も、ここには必要ないような気がした。 「ねえ、四月から、あなたの学部にニセ学生として通ったらどうかしら」思わず口にしていた。彼は笑って「いいよ」と言った。  雨の土曜の午後、ケルン・コンサートから始まったこの出会いが、私にとってどんな物語になるのか、そのときの私はまだ知らなかった。