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ド変態卑猥野郎

ー/ー



「村が心配? それともシヘンにでも惚れちゃったかしら?」

「なっ、違う! ただ、昨日襲われたばかりで、村は大丈夫なのかと思ってな」

「治安維持部隊だけじゃなく、軍も要請したわ。平気よ」

 道中、特に会話が思い浮かばずにいた。マルクエンは気まずく、何か話題をと話しかけ続けたが、ラミッタは素っ気なく返すだけだ。

 日が暮れ始め、二人は野宿の用意をする。焚き火を囲んでラミッタが尋ねた。

「宿敵。あなた料理は出来る?」

「いや、その……。城では飯が出てきたし、戦地では補給兵がいたしな……」

「出来ないってわけ」

 ニヤニヤとラミッタは笑ってから言う。

「仕方ないわね、私が作るわ。ただ、野獣の血を啜る私が作った料理が、お上品な騎士様の口に合うかわからないけどね」

「昼の事、まだ根に持っているのか……。すまなかった」

 ラミッタは干し肉を取り出し、細かく刻んでからにんにくの芽と生姜と一緒に鍋で炒め、じゃがいもや大根といった根菜類も入れて煮た。

 十分に煮えてスープが出来ると、鍋をどかし、フライパンに卵を落として目玉焼きを作る。

「はい、どうぞ」

 スープと目玉焼き、パンをマルクエンに寄こした。

「あぁ、ありがとう」

 祈りを捧げるマルクエンにラミッタは言う。

「それ、この世界では辞めておきなさいよ」

「あっ、そうか。イタダキマスだっけか」

 マルクエンは両手を合わせてそう言った。

 スープを口に運ぶ。干し肉から溶けた塩と旨味がいい具合に味を作っていた。にんにくの芽としょうがも体が温まり、ありがたい。

「美味いな」

 言われるとラミッタはそっぽを向いた。

「ただ干し肉を煮ただけよ。誰でも作れるわ」

「そうか、それじゃ俺にも教えてくれないか? これだけじゃなくて他の料理も」

 ラミッタは口を尖らせて返事をする。

「まぁ、どうしてもって言うなら……。わかったわ」

 一通り食事が済んだところでマルクエンは焚き火に照らされるラミッタの顔をぼんやりと見ていた。

 整った顔に不釣り合いな頬の傷を見て尋ねる。

「なぁ、ラミッタ。その頬の傷、あの時のだよな?」

「えぇ、あなたに付けられた傷よ」

「そうか、すまない」

 俯いて言うマルクエンを見てラミッタは呆れる。

「何で謝るの? 戦争でしょ? 背中の傷以外は名誉の負傷よ」

「そうだが、やはり女の顔に傷というのは。その、気にならんのか?」

 マルクエンに言われ、ラミッタはニヤリと笑う。

「何? 私を女扱いするの? 王国騎士マルクエンも焼きが回ったものね。あー助けてー襲われちゃーう」

「なっ、そういう意味ではない!!」

 マルクエンはそのまま疑問に思っていたことを聞いた。

「だが、私はこの世界に来て、あの戦いで付いた傷は全部、傷跡もなく治っていたぞ? 何故お前の頬の傷だけそのままなのだ?」

「知らないわよ」

 うーんと考えた後、ハッとしてマルクエンが言った。

「そうだ!! ラミッタ、胸を見せてみろ」

 その言葉にラミッタは固まった。

 しばらくして、ラミッタの顔が段々と紅潮していく。

「ばっ、おまっ、ほほ、本当に私をおしょ、襲う気!? このド変態卑猥野郎!!」


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「村が心配? それともシヘンにでも惚れちゃったかしら?」
「なっ、違う! ただ、昨日襲われたばかりで、村は大丈夫なのかと思ってな」
「治安維持部隊だけじゃなく、軍も要請したわ。平気よ」
 道中、特に会話が思い浮かばずにいた。マルクエンは気まずく、何か話題をと話しかけ続けたが、ラミッタは素っ気なく返すだけだ。
 日が暮れ始め、二人は野宿の用意をする。焚き火を囲んでラミッタが尋ねた。
「宿敵。あなた料理は出来る?」
「いや、その……。城では飯が出てきたし、戦地では補給兵がいたしな……」
「出来ないってわけ」
 ニヤニヤとラミッタは笑ってから言う。
「仕方ないわね、私が作るわ。ただ、野獣の血を啜る私が作った料理が、お上品な騎士様の口に合うかわからないけどね」
「昼の事、まだ根に持っているのか……。すまなかった」
 ラミッタは干し肉を取り出し、細かく刻んでからにんにくの芽と生姜と一緒に鍋で炒め、じゃがいもや大根といった根菜類も入れて煮た。
 十分に煮えてスープが出来ると、鍋をどかし、フライパンに卵を落として目玉焼きを作る。
「はい、どうぞ」
 スープと目玉焼き、パンをマルクエンに寄こした。
「あぁ、ありがとう」
 祈りを捧げるマルクエンにラミッタは言う。
「それ、この世界では辞めておきなさいよ」
「あっ、そうか。イタダキマスだっけか」
 マルクエンは両手を合わせてそう言った。
 スープを口に運ぶ。干し肉から溶けた塩と旨味がいい具合に味を作っていた。にんにくの芽としょうがも体が温まり、ありがたい。
「美味いな」
 言われるとラミッタはそっぽを向いた。
「ただ干し肉を煮ただけよ。誰でも作れるわ」
「そうか、それじゃ俺にも教えてくれないか? これだけじゃなくて他の料理も」
 ラミッタは口を尖らせて返事をする。
「まぁ、どうしてもって言うなら……。わかったわ」
 一通り食事が済んだところでマルクエンは焚き火に照らされるラミッタの顔をぼんやりと見ていた。
 整った顔に不釣り合いな頬の傷を見て尋ねる。
「なぁ、ラミッタ。その頬の傷、あの時のだよな?」
「えぇ、あなたに付けられた傷よ」
「そうか、すまない」
 俯いて言うマルクエンを見てラミッタは呆れる。
「何で謝るの? 戦争でしょ? 背中の傷以外は名誉の負傷よ」
「そうだが、やはり女の顔に傷というのは。その、気にならんのか?」
 マルクエンに言われ、ラミッタはニヤリと笑う。
「何? 私を女扱いするの? 王国騎士マルクエンも焼きが回ったものね。あー助けてー襲われちゃーう」
「なっ、そういう意味ではない!!」
 マルクエンはそのまま疑問に思っていたことを聞いた。
「だが、私はこの世界に来て、あの戦いで付いた傷は全部、傷跡もなく治っていたぞ? 何故お前の頬の傷だけそのままなのだ?」
「知らないわよ」
 うーんと考えた後、ハッとしてマルクエンが言った。
「そうだ!! ラミッタ、胸を見せてみろ」
 その言葉にラミッタは固まった。
 しばらくして、ラミッタの顔が段々と紅潮していく。
「ばっ、おまっ、ほほ、本当に私をおしょ、襲う気!? このド変態卑猥野郎!!」