13
ー/ー「言っとくけど、オレは慣れてねぇからな」
頭の中を覗かれたのかと思って、ドキッとした。
「誰彼構わず、好きとか言わねぇし。そもそも、他人を好きだって思うことがそんなにないから」
一瞬だけ、浅尾さんの表情が陰った気がする。私、勘はいい方なのよね。きっと過去の人のことが頭をよぎったんだろうな。
いろいろあったのかもしれない。過去の恋愛のことは、触れられたくなさそうだったし。まだ元カノに気持ちが残っているとか? やだな。想像しただけで、すごく嫌。
「でもまぁ、いきなり言われてもって思うのは分かるし。だから提案なんだけどさ、とりあえず3回デートしねぇ?」
ネガティブな想像ばかりしてしまって押し黙る私に、優しく笑いかけながら浅尾さんが言った。
「もちろん手は出さない。一切お触りなしの、すっげぇ健全なデートだよ。それで、もっと一緒にいたいって思ったら、オレの彼女になってくれる?」
オレの彼女……っていう言葉の響きがとてもくすぐったくて、私はすぐに口を開くことができなかった。
「もちろん、いまの時点で『こいつねぇわ』って思ってるなら、無理強いはしないけど」
「そんなこと……ない」
あるわけがない。自分でも怖いぐらい、浅尾さんに惹かれている。
だからすごく嬉しい。そして同じくらい、不安な気持ちもある。それでも断る理由なんて、なにもなくて。
「と、とりあえず……3回ね」
私の言葉に、浅尾さんは嬉しそうな顔をして頷いた。
「よし、じゃあどっか行こうぜ」
「え、いまから?」
「そう、今日が1回目のデート。どこか行きたいところある?」
「行きたいところ……あんまり、よく分からなくて」
「渋谷だと、買い物か……あと、美術館もあるけど」
「え、美術館あるの?」
「あるよ。こっからだと、歩いて15分くらいかかるけどさ。行きたい?」
「うん、行きたい」
行き先が決まって、お互いにミックスジュースを飲み干してからカフェを出る。結局、また浅尾さんが全額支払ってくれた。オレは金を持ってるからいいの、だって。
そう言えば浅尾さんの洋服って、なにげに高そうなのよね。素材がいいというか。デザインはすごいけど。
「松濤美術館っていって、住宅地の中にあんの。小さいから、美術館というよりギャラリーって感じかな。白井晟一って建築家の設計でさ、建物そのものが芸術なんだよ」
並んで歩きながら、浅尾さんが美術館について説明してくれた。
この前より、ほんの少しだけ距離が近い気がする。お触りなしって言ったけれど……手ぐらいは繋いでもよくない? いや、ダメよね、うん。付き合っていないんだもん。絶対にダメ。
だけど、周りからはカップルに見えるのかな。やっぱり、もっと可愛い服にすればよかった。
「渋谷から少し歩いただけなのに、こんな住宅街があるんだね」
Bunkamuraを通り過ぎて歩いていくと、かなり空が開けてきた。
頭の中を覗かれたのかと思って、ドキッとした。
「誰彼構わず、好きとか言わねぇし。そもそも、他人を好きだって思うことがそんなにないから」
一瞬だけ、浅尾さんの表情が陰った気がする。私、勘はいい方なのよね。きっと過去の人のことが頭をよぎったんだろうな。
いろいろあったのかもしれない。過去の恋愛のことは、触れられたくなさそうだったし。まだ元カノに気持ちが残っているとか? やだな。想像しただけで、すごく嫌。
「でもまぁ、いきなり言われてもって思うのは分かるし。だから提案なんだけどさ、とりあえず3回デートしねぇ?」
ネガティブな想像ばかりしてしまって押し黙る私に、優しく笑いかけながら浅尾さんが言った。
「もちろん手は出さない。一切お触りなしの、すっげぇ健全なデートだよ。それで、もっと一緒にいたいって思ったら、オレの彼女になってくれる?」
オレの彼女……っていう言葉の響きがとてもくすぐったくて、私はすぐに口を開くことができなかった。
「もちろん、いまの時点で『こいつねぇわ』って思ってるなら、無理強いはしないけど」
「そんなこと……ない」
あるわけがない。自分でも怖いぐらい、浅尾さんに惹かれている。
だからすごく嬉しい。そして同じくらい、不安な気持ちもある。それでも断る理由なんて、なにもなくて。
「と、とりあえず……3回ね」
私の言葉に、浅尾さんは嬉しそうな顔をして頷いた。
「よし、じゃあどっか行こうぜ」
「え、いまから?」
「そう、今日が1回目のデート。どこか行きたいところある?」
「行きたいところ……あんまり、よく分からなくて」
「渋谷だと、買い物か……あと、美術館もあるけど」
「え、美術館あるの?」
「あるよ。こっからだと、歩いて15分くらいかかるけどさ。行きたい?」
「うん、行きたい」
行き先が決まって、お互いにミックスジュースを飲み干してからカフェを出る。結局、また浅尾さんが全額支払ってくれた。オレは金を持ってるからいいの、だって。
そう言えば浅尾さんの洋服って、なにげに高そうなのよね。素材がいいというか。デザインはすごいけど。
「松濤美術館っていって、住宅地の中にあんの。小さいから、美術館というよりギャラリーって感じかな。白井晟一って建築家の設計でさ、建物そのものが芸術なんだよ」
並んで歩きながら、浅尾さんが美術館について説明してくれた。
この前より、ほんの少しだけ距離が近い気がする。お触りなしって言ったけれど……手ぐらいは繋いでもよくない? いや、ダメよね、うん。付き合っていないんだもん。絶対にダメ。
だけど、周りからはカップルに見えるのかな。やっぱり、もっと可愛い服にすればよかった。
「渋谷から少し歩いただけなのに、こんな住宅街があるんだね」
Bunkamuraを通り過ぎて歩いていくと、かなり空が開けてきた。
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