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 あ、まずい。私の中で、浅尾さんの株が急上昇している。
 ダメダメ、口説かれているのは私のほうなんだから。こっちが優位に立たないと。私は追いかけちゃダメ。追いかけられる側にならなきゃ。

 浅尾さんが頼んだミックスジュースを、店員が運んでくる。注文を受けた店員とは別の人だったからか、ミックスジュースは私の前に置かれた。

「オレが飲むと思ってねぇな、あの店員」
 
 浅尾さんのちょっと拗ねた顔と言い方が可愛くて、思わず笑ってしまった。

「今日、朝からなにも食っていなくてさ。だから栄養補給」
「私もミックスジュースにしたらよかったかな。美味しそう」
「飲む? まだ口つけてねぇし」
「え、でも」
「ここのミックスジュース、ミカンが強くてオレ好みなんだよ。美味いから、飲んでみ」

 浅尾さんに促されて、ストローに口をつける。リップ、色落ちしないかな……。
 ミックスジュースって、果物の量とか配分で全然味が違ってくるけど。浅尾さんの言う通り、このお店のはミカンが強めで、爽やかな酸味と甘みが口の中に広がった。

「あ、美味しい。私もミックスジュースはミカン強めが好きなの」
「もっと飲んでいいよ」
「でも、浅尾さんの栄養が……」

 浅尾さんが声を上げて笑った。あぁもう。笑い声も笑顔も、いちいちかっこいいのは、なんでなの。

「オレの体を心配してくれてんの? 大丈夫だよ、もともと1食しか食わねぇことが多いし」

 そう言えば合コンのときも、朝からなにも食べていないとか言ってたっけ。
 でも別にそこまでガリガリに痩せているようには見えないし、体格はしっかりしているのよね。一体どういう生活をしているんだろう。

「もうひとつ頼むから、それは飲んでいいよ。オレが待たせたせいで、コーヒーを飲み干しちゃってるみたいだし。そのお詫びってことで」

 浅尾さんは店員を呼んで、もうひとつミックスジュースを注文した。
 やっぱり優しいよね、この人。七海の言う通り、ヤリモクだから優しいの?

 100%信じ切れているわけではないけれど、私にはそうは見えない。見た目とか上辺の言動だけ見たら、チャラチャラして軽そうって感じるけれど。でもなんだか不思議な魅力があって、やっぱり浅尾さんのことをもっと知りたいと思ってしまった。

「今日、いきなり誘ってごめんね。連絡くれたのが嬉しかったからさ。はやく会いたくなっちゃって」

 浅尾さんにこんなことを言われて、ドキドキしない人なんているんだろうか。心臓の音が浅尾さんにも聞こえてしまうような気がして、ミックスジュースを飲んで誤魔化した。

 すると、浅尾さんが口元に笑みを浮かべながら、じっと見つめてくる。


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 あ、まずい。私の中で、浅尾さんの株が急上昇している。
 ダメダメ、口説かれているのは私のほうなんだから。こっちが優位に立たないと。私は追いかけちゃダメ。追いかけられる側にならなきゃ。
 浅尾さんが頼んだミックスジュースを、店員が運んでくる。注文を受けた店員とは別の人だったからか、ミックスジュースは私の前に置かれた。
「オレが飲むと思ってねぇな、あの店員」
 浅尾さんのちょっと拗ねた顔と言い方が可愛くて、思わず笑ってしまった。
「今日、朝からなにも食っていなくてさ。だから栄養補給」
「私もミックスジュースにしたらよかったかな。美味しそう」
「飲む? まだ口つけてねぇし」
「え、でも」
「ここのミックスジュース、ミカンが強くてオレ好みなんだよ。美味いから、飲んでみ」
 浅尾さんに促されて、ストローに口をつける。リップ、色落ちしないかな……。
 ミックスジュースって、果物の量とか配分で全然味が違ってくるけど。浅尾さんの言う通り、このお店のはミカンが強めで、爽やかな酸味と甘みが口の中に広がった。
「あ、美味しい。私もミックスジュースはミカン強めが好きなの」
「もっと飲んでいいよ」
「でも、浅尾さんの栄養が……」
 浅尾さんが声を上げて笑った。あぁもう。笑い声も笑顔も、いちいちかっこいいのは、なんでなの。
「オレの体を心配してくれてんの? 大丈夫だよ、もともと1食しか食わねぇことが多いし」
 そう言えば合コンのときも、朝からなにも食べていないとか言ってたっけ。
 でも別にそこまでガリガリに痩せているようには見えないし、体格はしっかりしているのよね。一体どういう生活をしているんだろう。
「もうひとつ頼むから、それは飲んでいいよ。オレが待たせたせいで、コーヒーを飲み干しちゃってるみたいだし。そのお詫びってことで」
 浅尾さんは店員を呼んで、もうひとつミックスジュースを注文した。
 やっぱり優しいよね、この人。七海の言う通り、ヤリモクだから優しいの?
 100%信じ切れているわけではないけれど、私にはそうは見えない。見た目とか上辺の言動だけ見たら、チャラチャラして軽そうって感じるけれど。でもなんだか不思議な魅力があって、やっぱり浅尾さんのことをもっと知りたいと思ってしまった。
「今日、いきなり誘ってごめんね。連絡くれたのが嬉しかったからさ。はやく会いたくなっちゃって」
 浅尾さんにこんなことを言われて、ドキドキしない人なんているんだろうか。心臓の音が浅尾さんにも聞こえてしまうような気がして、ミックスジュースを飲んで誤魔化した。
 すると、浅尾さんが口元に笑みを浮かべながら、じっと見つめてくる。