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第3章〜白草四葉センセイの超恋愛学演習・基礎〜⑥

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週末から頭を悩ませていた懸念事項が思った以上に前向きに解決したことに気を良くしたオレは、クラス全員の提出書類を手に、足取りも軽く、晴れやかな気持ちでニ年A組の教室から廊下へと歩みを進める。
 しかし、気分良く教室の外へ足を踏み出したオレに、室内からは死角になっていた位置から声を掛けてくる人物がいた。

「ずいぶんとゴキゲンね? 黒田竜司くん」

「のわっ!?」

 思わず声をあげて反応し、声のした方へ目を向けると、そこには、オレに課題を課した自称・恋愛アドバイザーが立っていた。

「な、なんだ、白草か……脅かすなよ」

 不意を突かれて、思わず大声が出てしまったことに気恥ずかしさを覚えながら、小さく抗議の声をあげる。

「ふ〜ん、脅()か《・》す《・》な《・》ねぇ……超恋愛学の教え子が課題をやり遂げたか心配で見に来たきただけなのに……声を掛けられたくらいで驚くほうがおかしいんじゃない? それとも、なにか、わたしに知られたくない、やましいことでもあるのかな?」

 口調そのものは穏やかだが、言葉の内容の随所に刺々しさが読み取れるうえに、何より全身から禍々しい負のオーラが感じられる。

「な、なんだよ急に!? やましいことなんて、なにもないゾ!?」

 やや取り乱したようすで答えると、こちらの表情をチラリと一瞥した四葉は、

「あっそ……それで、首尾はどうだったの?」

 結果報告を求められ、教室内に残っていた紅野が支度を終えて、廊下に出てくることを懸念したオレは白草に問う。

「お、おう! 今すぐ報告が必要なら、歩きながらでイイか?」

 こちらの申し出にに「ええ」と短く応じた彼女は、スタスタと歩き出した。
 自身の速い歩調に遅れないように着いて行くオレに対して、

「で?」

マドンナ講師は、再び短くたずねる。

「あぁ! バッチリだったぜ!! 春休み前に一方的に想いを告げて戸惑わせてしまったことも、勝手に自分の動画をアップして迷惑を掛けてしまうかもしれないことも、素直に謝ったら、理解してもらえた。これからも、委員会の仕事を行うペ《・》ア《・》として、変わらずに接してくれるそうだ」

 この吉報を恩師であるアドバイザーと分かち合おうと、喜色満面の表情で四葉の背中越しに答えると、彼女は振り返りもせず、さらに、歩みを早めながら応えた。

「あっ、そう……へぇ〜、()()()()()ねぇ。それはそれは……また、ずいぶんと仲のヨロシイことで……」

 相変わらず険のある彼女の言動に、

(なんだよ、その態度は……心配になって見に来たんじゃなかったのかよ)

などと、戸惑いながら、

「な、なにか、マズかったのか?」

と、問い掛ける。
 背後のこちらには表情を見せないまま、廊下から階下につながる階段に移動した彼女は、

「別に……」

と、かつて、主演映画の初日舞台あいさつの場を凍り付かせた若手女優(当時)のように、にべもない返答で応じたあと、質問をしてきた。

「ところで……彼女がカンタンに許してくれたってことは、なにか交換条件みたいなモノがあったんじゃないの?」

 その問いに、オレは思案しながら回答する。

「交換条件――――――と言えるほどのモノかはワカランが……紅野は吹奏楽部の練習が忙しくなるから……なるべく彼女のクラス委員の仕事の負担が減るように、出来る限りオレが引き受けるよ。って、コチラから提案させてもらった」

 白草のあとに着いて、階段を下りながら、紅野アザミと交わした約束のことを素直に伝えると、彼女は、突拍子もないことを口にしだした。

「ふ〜ん……さすが、紅野サンには、優しいのね。黒田クンは、料理の腕にも自身があるみたいだし……結婚したら、パートナーの女性の仕事にも理解を示して家事にも精を出すタイプなのかな?」

 さらに続けて、不機嫌オーラ全開で、たずねてくる。

「でも、男の子のヒトに家事を任せるタイプの女性は、外で浮気しがちなんだけどな〜。それでも、イイんだ?」

「ハァ!? 急になにを言ってるんだ……? 紅野と結婚とか、今の段階で、そんなこと考えてるワケじゃね〜よ!」

 こちらも、反論するように言葉を述べつつ、なかば、あきれながら、語りかける。

「白草が、こうして、アドバイスをしてくれるのはありがたいと思うが……けど、いまは結婚とか、そんな話しをかんがえてるワケじゃないぞ? 恋愛アドバイザーの次は、()()()()()()()()にでもなるつもりなのか?」

 すると、『婚活アドバイザー』というキーワードが、自称・恋愛アドバイザーのツボを刺激したのか、一階の廊下に足を着けたタイミングで、彼女は、肩をピクリと震わせて、ポツリとつぶやく。

「――――――()え《・》て《・》る《・》ワケじゃないんだ……」

 さらに、

「そうね! フォロワーさんに需要があるなら、そのうち、そういう分野を開拓してみるのもイイかもね」

と、サッパリした笑顔で、これまでの語り口とは一転、朗らかな口調で答えた。
 それと同時に、つい先ほどまで彼女が発していたダークカラーの空気が霧散する。
 白草四葉がまとっていた負のオーラが消えつつあることに安堵したオレは、苦笑しながら、言葉を返した。

「おいおい! なんの冗談だよ……どこまで活動の幅を拡げるんだ!?」

 ここで、

「いや、紅野は、そんな風に相手を蔑ろにするタイプじゃねぇだろ?」

と、クラス委員のパートナーをフォローしなかったことが、このアドバイザーの機嫌を損ねずに済んだという事実にオレが気付くのは、かなり後になってからのことだ。
 そして、機嫌をなおした白草は、こちらの抱えている紙束に目をとめて、

「それ、職員室に持って行くんでしょ? 校内のことを色々と知っておきたいし……一緒に行ってもイイ?」

と、たずねてきた。

「ん? 転入して来てから、職員室にも、まだ行ってなかったのか? このあとで良いなら、校内の案内をさせてもらうが……」

 そう答えると、

「うん! お願い!!」

満面の笑みで、白草は答えた。
 そんなやり取りをしながら職員室にたどり着き、ドアをノックして、校内ルールに従い、

「失礼します! 二年A組の黒田竜司です。谷崎先生にクラスのアンケート用紙を持ってきました!」

と、声をかけて入室する。
 続いて白草四葉も、

「失礼します! 二年A組の白草四葉です。黒田クンの付き添いで来させてもらいました!」

と言って、オレに続いて職員室に入室してきた。
 彼女の発した一言に、最初は、怪訝な表情を見せた職員室入り口付近の座席の教師陣も、明るい口調と極上の営業スマイルをたたえた転入生に姿を目にして口にする。

「あぁ〜、ウワサの転入生か〜。早速、クラスの仕事を請け負ってくれて、感心だな!」

 一瞬で和んだ職員室の雰囲気を感じながら、オレは、

「おい、付き添いを頼んだ覚えはないゾ!?」

と、彼女に忠告したあと、

「しかし、『愛嬌◎』のスキルを持ってるヤツはイイな。初対面でも好感度爆上げだ……」

苦笑しながらつぶやく。
 すると、こちらの発言に、笑みを絶やさないまま、小首をかしげる白草。
 彼女と会話を続けながら、広い職員室の中央にある二年生担当の教師陣の机が集まるシマに近づくと、オレたち二人に気付いた担任教師が、こちらより先に声を掛けてきた。

「ありがとう、黒田クン。あら、白草さんも一緒?」

「はい、谷崎先生! 黒田クンが、校内を案内してくれるらしいので、職員室に着いて来ちゃいました」

 嬉しそうに答える四葉の返答に、竜司からプリントの束を受け取りながら、

「へぇ〜、さすが、私が見込んだクラス委員! 白草さんが、早くクラスと学校に馴染めるよう、ヨロシクね」

と、男子クラス委員に声を掛ける。

「なに言ってんの? 委員決めが長引かないように、オレと紅野に仕事を押し付けただけのくせに……そうでしょ、()()()()()?」

 職員室というオフィシャルな場であるため、普段使いのファースト・ネーム呼びではなく、担任教師のファミリー・ネームを呼ぶように最低限の配慮はしたつもりだが、オレの目は、眠りに落ちるカピバラの瞳のように、か細く、光が宿っていなかったはずだ。

「押し付けたんじゃなくて、黒田くんへの信頼の証よ? 現に、白草さんもアナタを頼っているみたいだし! ()()()()()()()()()()()わよ〜」

 男子生徒をなだめるように言う担任教師に、一瞬ピクリと反応しながらも、

「いや、ホント、そういうの良いッスから……」

オレは、ぶっきらぼうに返答し、この場から退散することを告げる。

「他に用がないなら、もう行きますよ?」

「はい、アリガトね! それじゃ、白草さんの校内案内をお願い! でも、仲良くしすぎて、他の男子に妬まれないように気を付けて」
 
 留学経験のある英語教師らしく、軽いジョークを交えた言葉に、ふたたび「ナニ言ってんスか……」と、呆れ口調で応じつつ、

「それじゃ、失礼します」

と言ってから、かたわらの四葉に退散をうながす。
 職員室から廊下に歩みを進めた白草の表情は、なぜか機嫌の良いモノに変わっていた。


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 しかし、気分良く教室の外へ足を踏み出したオレに、室内からは死角になっていた位置から声を掛けてくる人物がいた。
「ずいぶんとゴキゲンね? 黒田竜司くん」
「のわっ!?」
 思わず声をあげて反応し、声のした方へ目を向けると、そこには、オレに課題を課した自称・恋愛アドバイザーが立っていた。
「な、なんだ、白草か……脅かすなよ」
 不意を突かれて、思わず大声が出てしまったことに気恥ずかしさを覚えながら、小さく抗議の声をあげる。
「ふ〜ん、脅《・》か《・》す《・》な《・》ねぇ……超恋愛学の教え子が課題をやり遂げたか心配で見に来たきただけなのに……声を掛けられたくらいで驚くほうがおかしいんじゃない? それとも、なにか、わたしに知られたくない、やましいことでもあるのかな?」
 口調そのものは穏やかだが、言葉の内容の随所に刺々しさが読み取れるうえに、何より全身から禍々しい負のオーラが感じられる。
「な、なんだよ急に!? やましいことなんて、なにもないゾ!?」
 やや取り乱したようすで答えると、こちらの表情をチラリと一瞥した四葉は、
「あっそ……それで、首尾はどうだったの?」
 結果報告を求められ、教室内に残っていた紅野が支度を終えて、廊下に出てくることを懸念したオレは白草に問う。
「お、おう! 今すぐ報告が必要なら、歩きながらでイイか?」
 こちらの申し出にに「ええ」と短く応じた彼女は、スタスタと歩き出した。
 自身の速い歩調に遅れないように着いて行くオレに対して、
「で?」
マドンナ講師は、再び短くたずねる。
「あぁ! バッチリだったぜ!! 春休み前に一方的に想いを告げて戸惑わせてしまったことも、勝手に自分の動画をアップして迷惑を掛けてしまうかもしれないことも、素直に謝ったら、理解してもらえた。これからも、委員会の仕事を行うペ《・》ア《・》として、変わらずに接してくれるそうだ」
 この吉報を恩師であるアドバイザーと分かち合おうと、喜色満面の表情で四葉の背中越しに答えると、彼女は振り返りもせず、さらに、歩みを早めながら応えた。
「あっ、そう……へぇ〜、|ペ《・》|ア《・》|と《・》|し《・》|て《・》ねぇ。それはそれは……また、ずいぶんと仲のヨロシイことで……」
 相変わらず険のある彼女の言動に、
(なんだよ、その態度は……心配になって見に来たんじゃなかったのかよ)
などと、戸惑いながら、
「な、なにか、マズかったのか?」
と、問い掛ける。
 背後のこちらには表情を見せないまま、廊下から階下につながる階段に移動した彼女は、
「別に……」
と、かつて、主演映画の初日舞台あいさつの場を凍り付かせた若手女優(当時)のように、にべもない返答で応じたあと、質問をしてきた。
「ところで……彼女がカンタンに許してくれたってことは、なにか交換条件みたいなモノがあったんじゃないの?」
 その問いに、オレは思案しながら回答する。
「交換条件――――――と言えるほどのモノかはワカランが……紅野は吹奏楽部の練習が忙しくなるから……なるべく彼女のクラス委員の仕事の負担が減るように、出来る限りオレが引き受けるよ。って、コチラから提案させてもらった」
 白草のあとに着いて、階段を下りながら、紅野アザミと交わした約束のことを素直に伝えると、彼女は、突拍子もないことを口にしだした。
「ふ〜ん……さすが、紅野サンには、優しいのね。黒田クンは、料理の腕にも自身があるみたいだし……結婚したら、パートナーの女性の仕事にも理解を示して家事にも精を出すタイプなのかな?」
 さらに続けて、不機嫌オーラ全開で、たずねてくる。
「でも、男の子のヒトに家事を任せるタイプの女性は、外で浮気しがちなんだけどな〜。それでも、イイんだ?」
「ハァ!? 急になにを言ってるんだ……? 紅野と結婚とか、今の段階で、そんなこと考えてるワケじゃね〜よ!」
 こちらも、反論するように言葉を述べつつ、なかば、あきれながら、語りかける。
「白草が、こうして、アドバイスをしてくれるのはありがたいと思うが……けど、いまは結婚とか、そんな話しをかんがえてるワケじゃないぞ? 恋愛アドバイザーの次は、|婚《・》|活《・》|ア《・》|ド《・》|バ《・》|イ《・》|ザ《・》|ー《・》にでもなるつもりなのか?」
 すると、『婚活アドバイザー』というキーワードが、自称・恋愛アドバイザーのツボを刺激したのか、一階の廊下に足を着けたタイミングで、彼女は、肩をピクリと震わせて、ポツリとつぶやく。
「――――――考《・》え《・》て《・》る《・》ワケじゃないんだ……」
 さらに、
「そうね! フォロワーさんに需要があるなら、そのうち、そういう分野を開拓してみるのもイイかもね」
と、サッパリした笑顔で、これまでの語り口とは一転、朗らかな口調で答えた。
 それと同時に、つい先ほどまで彼女が発していたダークカラーの空気が霧散する。
 白草四葉がまとっていた負のオーラが消えつつあることに安堵したオレは、苦笑しながら、言葉を返した。
「おいおい! なんの冗談だよ……どこまで活動の幅を拡げるんだ!?」
 ここで、
「いや、紅野は、そんな風に相手を蔑ろにするタイプじゃねぇだろ?」
と、クラス委員のパートナーをフォローしなかったことが、このアドバイザーの機嫌を損ねずに済んだという事実にオレが気付くのは、かなり後になってからのことだ。
 そして、機嫌をなおした白草は、こちらの抱えている紙束に目をとめて、
「それ、職員室に持って行くんでしょ? 校内のことを色々と知っておきたいし……一緒に行ってもイイ?」
と、たずねてきた。
「ん? 転入して来てから、職員室にも、まだ行ってなかったのか? このあとで良いなら、校内の案内をさせてもらうが……」
 そう答えると、
「うん! お願い!!」
満面の笑みで、白草は答えた。
 そんなやり取りをしながら職員室にたどり着き、ドアをノックして、校内ルールに従い、
「失礼します! 二年A組の黒田竜司です。谷崎先生にクラスのアンケート用紙を持ってきました!」
と、声をかけて入室する。
 続いて白草四葉も、
「失礼します! 二年A組の白草四葉です。黒田クンの付き添いで来させてもらいました!」
と言って、オレに続いて職員室に入室してきた。
 彼女の発した一言に、最初は、怪訝な表情を見せた職員室入り口付近の座席の教師陣も、明るい口調と極上の営業スマイルをたたえた転入生に姿を目にして口にする。
「あぁ〜、ウワサの転入生か〜。早速、クラスの仕事を請け負ってくれて、感心だな!」
 一瞬で和んだ職員室の雰囲気を感じながら、オレは、
「おい、付き添いを頼んだ覚えはないゾ!?」
と、彼女に忠告したあと、
「しかし、『愛嬌◎』のスキルを持ってるヤツはイイな。初対面でも好感度爆上げだ……」
苦笑しながらつぶやく。
 すると、こちらの発言に、笑みを絶やさないまま、小首をかしげる白草。
 彼女と会話を続けながら、広い職員室の中央にある二年生担当の教師陣の机が集まるシマに近づくと、オレたち二人に気付いた担任教師が、こちらより先に声を掛けてきた。
「ありがとう、黒田クン。あら、白草さんも一緒?」
「はい、谷崎先生! 黒田クンが、校内を案内してくれるらしいので、職員室に着いて来ちゃいました」
 嬉しそうに答える四葉の返答に、竜司からプリントの束を受け取りながら、
「へぇ〜、さすが、私が見込んだクラス委員! 白草さんが、早くクラスと学校に馴染めるよう、ヨロシクね」
と、男子クラス委員に声を掛ける。
「なに言ってんの? 委員決めが長引かないように、オレと紅野に仕事を押し付けただけのくせに……そうでしょ、|谷《・》|崎《・》|セ《・》|ン《・》|セ《・》?」
 職員室というオフィシャルな場であるため、普段使いのファースト・ネーム呼びではなく、担任教師のファミリー・ネームを呼ぶように最低限の配慮はしたつもりだが、オレの目は、眠りに落ちるカピバラの瞳のように、か細く、光が宿っていなかったはずだ。
「押し付けたんじゃなくて、黒田くんへの信頼の証よ? 現に、白草さんもアナタを頼っているみたいだし! |頼《・》|れ《・》|る《・》|オ《・》|ト《・》|コ《・》|は《・》|、《・》|モ《・》|テ《・》|る《・》わよ〜」
 男子生徒をなだめるように言う担任教師に、一瞬ピクリと反応しながらも、
「いや、ホント、そういうの良いッスから……」
オレは、ぶっきらぼうに返答し、この場から退散することを告げる。
「他に用がないなら、もう行きますよ?」
「はい、アリガトね! それじゃ、白草さんの校内案内をお願い! でも、仲良くしすぎて、他の男子に妬まれないように気を付けて」
 留学経験のある英語教師らしく、軽いジョークを交えた言葉に、ふたたび「ナニ言ってんスか……」と、呆れ口調で応じつつ、
「それじゃ、失礼します」
と言ってから、かたわらの四葉に退散をうながす。
 職員室から廊下に歩みを進めた白草の表情は、なぜか機嫌の良いモノに変わっていた。